過去との決別
僕の事なんて興味がなかった、とロッド王子は言っている。
だが私としては、何の話か分からない。
「……私は貴方の事が一番異性として好きだったわ」
「……嘘だ」
「どうしてそんな事を言うの?」
まさかの言葉に私は衝撃を受ける。
私はずっと、ロッド王子が好きだったのだ。
「私はロッド王子が好きで、そのための努力を欠かしませんでした。ですが、どうしてそのようなことをおっしゃられるのですか?」
「……気づいていないのか」
「何がです?」
意味が分からずに聞き返す私にロッド王子が、
「アニス嬢、君は、オズワルドと一緒に居る時が一番生き生きしていた」
「……は?」
「オズワルドを追いかけまわしているのをよく見たが、どちらも楽しそうで仲が良さそうに見えた。そのことは以前君のご両親にも話している」
「……それはただ単に私が本当に怒って追いかけまわしていただけです。それの何処をどう見れば“仲が良さそう”といったようになるのですか?」
私は頭痛がする頭を押さえたい衝動にかられながら問いかけるとロッド王子は、
「だって君は僕に本音も話さないし、取り繕った表情ばかりだった。僕は僕なりに君の中にある物を見ようと思ったけれど、君はそれを隠してばかりだった。どれだけ長く一緒に居ても、君は僕に心を許さず、“秘密”を語ることはなかった」
「そう、ですか」
ロッド王子にそう答え、私は、それが彼の“言い訳”でもあると思った。
それらも含めて私を貶めていいはずもないし、そして彼がデイジー嬢を愛してもいい理由にしてしまった事実は到底許されない、だから“言い訳”なのだ。
もうこの恋は初めから、私の一方通行で枯れるしかなかったのだろうと思うくらいに私の思いはこのロッド王子に届いていなかった。
私は深々と嘆息した。
そして、決めた。
「ロッド王子」
「……なんだ」
「私は、貴方の事が好きでした」
過去の恋と決別するために、私は……自分自身で思う最高の笑顔で、ロッド王子につげたのだった。




