ふらぐ
こうして何処に存在しているのかが分かったものの、ロゼッタが絶望的な顔をしながら、
「でも、王宮って、宝物庫ってどうやったらいけるんですか」
「そうね……実は知り合いに居たりするとか」
「……普通の町娘にそんな謎なつてがあるのでしょうか」
「ある日偶然貴族の男性と遭遇するかもしれないでしょう?」
「そんな物語のような素敵なイベント、覚えがないのですが」
ロゼッタが疲れたように言うが、私は考えてみる。
確か乙女ゲーム内でのイベントでは、ある男爵家の男性と遭遇を果たしていたはずなのだ、ロゼッタは。
ただそのイベントが起きた時期と、起こすためには選ばなければならないフラグ……人生の岐路があったはずで、確か……。
「すでにそのフラグは立っているはずなのよね」
「ふらぐ?」
「気にしないで。……確か昨日の出来事になるはずね、昨日は、そう、花屋に行った? それでも果物屋に行ったかしら」
「……どうしてどっちに行こうか迷ったのかご存じなのでしょう」
「知り合いのお見舞いの品がどちらがいいか、で迷ったのよね。それでどちらを選んだのかしら」
「そんな事で私の運命が変わったらそれはそれで嫌なのですが……果物屋です」
「やっぱり……」
私がそう呟くとロゼッタがびくりと体を震わせた。
そして恐る恐るといったように私を見上げて、
「あの、なにか」
「……それが原因で王宮の宝物庫から手に入れられる“つて”が無くなったわね」
「! そんな!」
「世の中本当に不思議な事ばかりね」
「そんな風に、他人事のように言わないでください、私、死んじゃうんですよ!」
「そうよね……どうしましょう」
私はそう呟きながら、今ロゼッタが泣きついている私が公爵令嬢だって、この人忘れているよなと思ったのだった。




