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はたしじょう

作者: 空のかけら
掲載日:2016/09/11

拙著、「婚約破棄…??」、「先生になろう。」に続く、物語です。


そんなに大層なものではありませんが。



変なものが来た。朝、登校したら校舎の下駄箱の中に入っていた。


はたしじょう


決闘か?


誰から来たのか、何の影響か、それは分かっている。


昨日、学校の裏にあるお花屋さんの女の子に好きだ。これから恋人として、付き合ってほしいと告白したのが原因だと思う。

その女の子には、別に暮らしているお兄さんがいて、そのお兄さんは、妹である女の子を溺愛しているというのを、同級生から聞いたことがあった。


女の子…お花屋さんの一人娘で、将来の夢も、今のお花屋さんをお母さんから受け継ぐことを夢見ている(?)同級生。名前もお花屋さんにピッタリで、華という。僕は、華ちゃんと言っている。


僕は、”学校の成績”も普通だし、見た目も格好よくはない。これと言って、特技もないと”思われている”。実際のところ、特技はある。それが、”予見力”。事前に重大な事態が発生するかどうなのかを見極める能力。別名、予知能力。ただし、危機管理能力が優れていると言われても、まだ中学生になったばかりの僕にはよく分からない。でも、この能力のおかげで、危機的状況をひっくり返すことが多く、弁護士である父親に連れられて、”裁判所”等に行ったことがあった。

なぜ、僕を連れて行くことが多いのか?その理由を知ったのは、かなり後になってからだけど。(しかも、予見力と言ったのは、父親。)

母親は、近所の人から専業主婦と見られているが、非常勤パートで週に3日、1日7時間、保健所で働いている。保健所の職員だったらしいが、結婚と同時に退職。僕が成長したので、余暇を退職前の勤務場所で仕事をすることになったらしい(のちに、再雇用されて、常勤職員に返り咲いた)。事務処理のプロ。


実は、華ちゃんと僕は幼なじみだ。

華ちゃんのお父さんは、企業の社長だという。

何の企業なのだかは、よく分からないが、食品を扱う会社と聞いたことがある。

その関係か、うちのお父さんがその企業の顧問弁護士をしていたりする。

だから、学校が違っても面識はある。


そして、同級生のお話に出てきた、お兄さん情報。

妹(華ちゃんのこと)を守り抜くには、様々なところで強くないとダメだとかを日頃から言っているらしく、柔道・剣道・手技(?)などの体育系と法律・話術・占い(?)などの知識系を磨いている…らしい。

この情報は、華ちゃんから直接聞いたので、間違いないと思う。

なんでも、お店に来る人に、華ちゃんのお兄さんと言っている人がいて、いつもそんな話を言っているのだと言う。(華ちゃんは、たまにお店の前でお花に水をあげていることがある)


不可解な状況だけど、まずはこの”はたしじょう”だ。


卒業式で卒業生代表が読むような紙(答辞)みたいなものの中に、”はたしじょう”の本体が入っていた。


はなをきずつけたおまえにしをあたえるきょうの8じにがっこうのこうていにこいころしてやる


…読みにくい。漢字がない。句読点がない。しかも、ひらがなしかないのに、すごく字が汚い。

これを書いたのは、お兄さんだと思う(というか、他に思い付かない)。

華ちゃんから聞いた、知識系を磨いているという情報が怪しいと思いだした。


しかし、8時って、午後8時のことだよね。

普通は、外に出られないのでは?

学校が終わるのは、午後4時。

自宅に着くのは、午後4時15分。

塾には行っていないから、外に出歩く理由がない。当たり前だけど、はたし状が来たから、外出してくるなんていう言い訳が通るわけもなく、少し考えて”いたずら”として、無視することにした。

はたし状に、僕の名前も、出した相手の名前もないから。

念のため、お父さんに電話で連絡・説明したら、学校側にお父さんから説明する。同級生には、このことを言うな。その”はたしじょう”は、持ち帰ってこい…だった。


朝のちょっとした事”いたずら”により、校長室や職員室がある校舎1階が慌ただしくなりはじめたらしく、朝の朝礼が少し遅れるという事態になった。

僕としては、いたずら…ということで、大したことがないと思っていたんだけど。

遅れた朝礼で、校長先生が言ったことは、こんな感じ。


「今日の朝、当校の一生徒にあてて、大変なことが書かれた紙が見つかりました。これを受けて、私(校長先生)、教職員全員、警察などと、お話合いした結果、大事を取って今日の授業を全て取りやめることとします。地域ごとにまとまって、集団で下校することになります。また、帰宅後、絶対に自宅から出ないで下さい。明日以降の授業については、緊急連絡網でお知らせします。」


いたずらということで気にしないつもりが…なんだか大きな事件になってる!

しかも、学校周辺にあるミニラジオ局でもこの件を取り上げたらしく、学校だけではなく、地域全体がこの事件で大騒ぎになった。


持って帰ってきた、”はたしじょう”はお父さんに渡し、その後、警察の人に渡された。

お父さんは、警察の人とも知り合いらしく、自宅の1階にある法律事務所で話をしていた。

その際に、僕に事の経緯を聞いてきたので、華ちゃんへの告白と正体不明お兄さんの情報を言った。


警察の人は、華ちゃんへの告白というところで、それまでの怖い顔を崩して、なんだか嬉しいような顔をしていたし、お父さんは、誇らしげに「よくやった。さすが俺の息子だ」と言っていた。

お父さんはともかく、警察の人は、なんだろうか?


事情を知った、お父さんと警察の人は、俄然やる気が増したのか、もっと大々的にするということを言って、警察署に向かうことになった。僕も同行で…


警察署に着く前に、お父さんも乗ったパトカーが寄り道をした。

華ちゃんのお父さんが経営する企業が入った建物だった。

華ちゃんが避難しているらしい。

建物の1階はいつもと違い、衝立がいっぱい。外から建物の中を見えないようにしているらしい。

華ちゃんは、建物5階にある社長室隣接の和室にいた。

僕の姿を見ると、すぐに抱き着いてきた。少し泣いていたようで、小さな声で「よかった」と言っていた。

お父さんは、その状況を見て、ここに僕を残留させた上で電話の直通回線を開設。いつでも連絡できるようにすると言って、華ちゃんのお父さんと警察の人とで打ち合わせを始めていた。


華ちゃんは、小刻みに震えていて、抱き着いたまま。

”はたしじょう”は、僕に来ただけで、華ちゃんはその内容を知らないはずなのに…。


お父さんが警察署に行くと言ったので、この状況が大げさすぎないか?と聞いたところ、衝撃的な言葉が返ってきた。


華ちゃんの自宅。お花屋さんのポストに、非常に危険な感じのする手紙が入っていたという。

その手紙は見せてもらえなかったけど、内容は…


華ちゃんに近づく者は、全て殺す。

近いうちに、華ちゃんを守るため、他の人の邪魔にならない場所に連れて行く。

華ちゃんは、永遠に守られるから安心していい。


うん、これ、誘拐の予告状だね。

しかも、”はたしじょう”と同じく、内容はすべてひらがなで、漢字なし、句読点なし、字も汚い。共通点が多すぎて疑う余地もなし。こっちの方が、字数が多く、読むのが大変だったらしいが。

また、”はたしじょう”と同じく、差出人の名前がなかったという。


誘拐予告の情報は、地域に出さないと同時に、報道管制を引いて情報が拡散しないようにしているとのこと。

”はたしじょう”の情報は逆に、地域全体に広げ、報道各社に対して地域外にも報道されるようにお願いしているらしい。


しかも、”はたしじょう”と誘拐予告の差出人である犯人の目星はすでについているとのこと。

大きく報道しているのは、”はたしじょう”による被害者が他にいるか?という部分の掘り起こしと、犯人の背後関係の洗い出し、地域全体への防犯体制の向上など、事件とは関係が薄い部分を含めて、事件というより運動…防犯運動の前哨戦の意味あいもある…というわけのわからないことを言っていた(警察の人)。


”はたしじょう”と誘拐予告については、うちの学校のとある先生達(2人)に見せたところ、即座にだれが書いたかが分かったという。筆跡鑑定に出すまでもなく、名前と住所、年齢、そしてその人も書いた卒業アルバムまで、すぐ提示された…。その先生達(2人)も、捜査に協力しているらしいが、何でも恩返しだ…と言っていた(後日、その訳は教えてもらった)


犯人が住んでいるのは、お花屋さんの近くのアパートに住む男性で、仕事に就かず、家族もいない、それでいて、お金に困っているように見られないという怪しい人だった。

”人相が悪い人が出入りしている建物”に頻繁に出入りすることを目撃されていることから、その関係者ではないか?と近所の人から言われていたらしい。


しかし、その建物は…地下1階に、防犯用品を売っているお店。地上1階は、地域の防犯相談所。

2階より上は、立ち入り禁止なので、分からない。

警察の人いわく、”人相が悪い人が出入りしている建物”とは、警察の関連施設で、人相が悪いのは、その手(暴力団)を相手にしているうちにそうなってしまった。話せばわかるが、怖くない人。口調は乱暴だけど…と言っていた。


後日、実際に、その手?の人と話をして、何かの時に”おじさん凄い”と褒めたのだけど、その”おじさん”と言うのは止めてくれと言われて、”お兄さん”と言うようになった。


防犯用品のお店と言っても、自転車に貼る光を反射するシールとか、緊急時に鳴らす笛とか、”さすまた(2本組)”とか、”立ち入り禁止のテープ”とか、大したものは売っておらず、また、木刀やスタンガンなどの非殺傷系ではあるものの、武器にも使えるような物は、取り寄せることもしていなかった。

充実しているのは、どちらかと言うと、書籍。

防犯だけではなく、防災・格闘技等の書籍が地域の本屋よりも多く、店長(警察OB)の趣味全開なんだそうな。


犯人は、この防犯用品のお店に出入りしている人で、柔道、剣道、編み物、腹話術、運勢占いの本を買っていくという。お店の上が、防犯相談所(人がほとんど来ない)の影響か、無料の小冊子も配布していて、自転車に乗るときのマナーや路上駐車が禁止であることを記したパンフレット、地域の無料法律相談の案内なども、持っていくことが多かったという。


…あれ?

なんかどこかで、柔道とか剣道とか占いのこととか、聞いた気がする。

なんだったっけ?


大騒動になった、”いたずら”こと、”はたしじょう”の事件。

周囲の状況にも関わらず、その犯人の男は、アパートから出て、学校へ…

午後8時近くに、学校の校庭中心部に来た。

地域が大騒ぎになっているのに、全く気付いていない感じだった。


校庭の周囲は、ちょっとした森になっていて、校舎だけではなく、体育用具室や部活動棟、体育館やプールなどもあるため、校庭から見ると隠れる場所は結構ある。

それらの隠れることのできる場所のうち、校舎の陰に隠れる位置には、警察関係者。

校庭が見える校舎の3階には、地域の防犯関係者や学校の先生たち、僕と華の両親たち、それと僕と華ちゃんもいた。

華ちゃんは、抱き着いたままだったので、それを目撃した人からは、「頑張って」、「うらやましい」、「妻を守るのは、男の特権だ」とか、色々なことを言われてしまった。

左半身は、華ちゃんが抱き着いているので、華ちゃんの体温と震えが伝わってきて、複雑な感情が湧き上がってくるのを、なんだか必死に抑えていたような…。


午後8時になった。

犯人の男は、周囲を見渡すが、隠れているので、誰もいない…ように見える。


物凄い人数で、かくれんぼをしているような感じなんだけど。

しかも、校舎の屋上からは、校庭全体と犯人の男がいる場所に、カメラの焦点が合わされており、実況生中継ということもしていた。

いつもなら校庭は真っ暗なのだが、夜間に校庭を貸し出すこともしているので夜間照明もあるし、学校敷地内を素通り近道をする人もいるので、小道のあちこちに人感・光センサー付き照明がある。

その道を歩くと、センサーが反応して、小道沿いの全ての照明が点く仕組み。

今日は、夜間貸し出しがないので、本来であれば、校庭中心部は真っ暗なのだが、小道にある照明を強制点灯にしているため、校庭全部がうっすらと見える。


犯人の男は、それにも気づかないのか、そこから動かず、ただ突っ立っているように思える。


警察関係者と近くのミニラジオ局の人が来て、マイクを渡された。

何か話せ…ということらしい。


華ちゃんはくっついたまま。

右手には、マイク。

スピーカーは、校舎についたスピーカーらしい。


困惑した。

何を話せばいいのだろう。

ミニラジオ局の人は、「華ちゃんへの想いを言ったらどう?」と言う。


華ちゃんは、その言葉を聞いて、僕をじっと見ている。

何かを期待している感じがする。


「僕は、華ちゃんが好きだ!」


学校のスピーカーが突然、その言葉を大音量で流した。


その次の瞬間、その犯人の男は、校舎に向けて走り出した。

放送室がある当たりに突撃をしているようだ。


犯人の男は、そのスピーカーの声にも負けない大声で、


「そんなの認めない。そんな男は、おれが殺してやる。華は、お兄ちゃんである俺のものだ!」


今は、ストーカーという言葉があるが、昔はそんな言葉はなかった。

しかし、犯人の男は、まさにそのストーカーだった。


その言葉を待っていたのか、放送室のある校舎の1階部分に犯人の男が到達する前に、大量の警察官が犯人の男を取り押さえて、一連の事件は終わった。


結局、”はたしじょう”は、僕を含めて5人に送られていた。5人のうち、男は僕1人。他の4人は、みんな、華ちゃんの同級生だった。しかも、その4人は、”はたしじょう”を見ていない。学校側が朝の巡回時に不審な物、いたずらとして、処分をしていたからだった。


犯人の男には、協力者がいた。

協力者は、華ちゃんの会社のライバル会社の重役だった。その重役は、犯人の男を炊きつけて、華ちゃんを誘拐しようとしていた。動機は、不明だった。

しかし、今回の事件の際には、海外出張していたらしく連絡が取れない状況だった。

僕に来た”はたしじょう”は、華ちゃんに一番近い男として既にターゲットとして、下駄箱の位置も特定済みだった。

そして、告白の際に、それを偶然に聞いてしまったらしい。

誘拐のことは、重役と話していて、文面も決まっていた。ただし、誘拐後に出す文面で予告状ではなかった。予告状の文面は、好きで読んでいた漫画のセリフから取ったらしい。

しかも、全部ひらがな、句読点なし、だったのは、バカからの手紙を装ったらしい。実際のところ、やっていることが、バカそのものだったのには、気が付いていないようだったけど。

体育系と知識系を磨いているというのは、単にその系統の本を買ったから、その系統を習得したと思っていたらしい。表紙しか見ない、中身は全く読んでいなかったらしいが。

(犯人の男は、うわさの真偽について…手技は、編み物。法律は、無料の小冊子。話術は、腹話術の本と説明。防犯のお店の本の品揃えがよく分からなくなった気がする。)


協力者である、ライバル会社の重役は、帰国できなかった。

帰国するために、出張先の国の空港に向かっている時に、交通事故に遭い、死亡したからだ。


重役が誘拐を画策した動機が分からなくなった。

犯人の男は、誘拐すれば、ずっと一緒にいられる。お兄ちゃんでいることができると、言われたと言うが…


犯人の男の言動などが奇異に映ったため、その手の調査を行ったが、特段の問題は出なかった。

結局、犯人の男は、自分の理想像をそのまま演技していただけという結論で、うわさで言われていた中で、正確だったのは、学校の在校生だったという部分だけだった(1~2か月で転校を繰り返す生徒で、卒業直前に、転校していた。卒業アルバムを作っていた時に在学していて、在校していた期間は、わずか1か月)。


***


学校のスピーカーを使って、華ちゃんに2度目の告白をしてしまった僕は、一躍地域の有名人になってしまった。とある学校の先生は、自分たちと同じだね~と言っていたが、何のことだろうか?


***


この話は、中学1年生の時にあったお話。

父親に言われていた”予見力”は、実際には違う能力だったりしてびっくりしたこととか。

華ちゃんにも、不思議な能力の持ち主…?(植物の生育が違うらしい。ただし、見た目。)


とある学校の先生と華ちゃんが、実は遠戚関係だったとか、そんなことはどうでもいいけど。


華ちゃんとは、18歳の僕の誕生日の日に入籍。結婚した。

理由は、華ちゃんが待ちきれなくなったから。

中学1年生の事件後、早く…1日も早く一緒に暮らしたいと言い張って、うちの両親はもとより、華ちゃんの両親も困ってしまい。結局、華ちゃんの父親の英断(?)によって、近くの土地に新しい建物を作った。

2家族が住む、新しい家。

結婚しても、何も変わらず、将来の夢は、両親の仕事を継ぐこと。

ただし、継ぐのは、華ちゃんの父親がやっている、食材の卸業だけど。


僕と華ちゃんは、この地で生きていく。

まだ、18歳。

将来は、まだ決まっていない。

華ちゃんは、拙著『先生になろう。』で、出ていた幼なじみの女の子を保護したお姉さんの子供です。

捜査協力した先生たち(2人=夫婦)は、自分たちの幸せは、お姉さんがあの場で言ってくれたことのおかげとして、恩返しをしたいと日頃から思っていました。

お姉さんには、夫婦の結婚式にも呼びましたし、当然華ちゃんのことは知っています。華ちゃんの方は、お花屋さんに来る、常連さんというイメージが強いようです。


***


書き始める前に考えていた設定は、書き始めたと同時にどこかに飛んで行ってしまいました。

途中で文章の一部を入れ替えたため、文脈がおかしいところがあるかもしれません。


たぶん、そのうち、少し、変更するかもしれません。

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