悲しい気持ち②
次の日、私はいつもより早く起きて会社へ向かった。
そして、いつものようにパートさん達への挨拶。
「おはようございます。」
『じゅりちゃん、おはよう。』
昨日は、泣いたから目が腫れてると思う…。
こんな顔で、向井店長に会いたくないな…と思っていた。
『星倉ちゃん、おはよう。』
今、会いたくなかった人の声がして…振り向くと向井店長が立っていた。
「お…おはようございます。」
俯きがちに挨拶をした私。
だけど、向井店長の事が気になって顔を上げた。
店長は悲しそうな顔をして、私を見ていた。
「向井店長…?」
『昨日は、ごめんね…。』
「いえ。どうして、向井店長が謝るんですか…。」
『昨日、いきなり言ってしまって。俺だって、星倉ちゃんには、居てもらいたい…ずっと。だけど、新店に行ってスキルアップしてもらいたい…とも思ってる。俺じゃない店長と副店長に色々教えてもらって…成長してほしい。』
「店長…。」
その言葉を聞いた時、私は泣きそうになった。
向井店長が、私の事をそんな風に考えててくれたなんて…。
「私も、ここにはずっといたいです。向井店長と岡田さんの2人と。他の皆とも、いたかったです。」
『星倉ちゃん…、本当にごめん。』
「そんなに謝らないで下さい。」
向井店長が悪い訳じゃない…。
だから、謝っている姿を見ると悲しかった。
『星倉ちゃんが行くのは、星園店っていう所なんだ。』
「えっ…?この近くですよね?」
『そう…。今度、そこに新しく建てるみたいで…。』
「分かりました。私、そこに行きます。そして、スキルアップして帰って来ます!!」
『星倉ちゃん…。俺は、星倉ちゃんがこのお店からいなくなる事も嫌やけど、辞めるのはもっと嫌だ。』
向井店長は、私に力強くそう言った。
いつかこのお店に帰って来れるように、頑張ろう…と決めた。