好きの気持ち
私は、いつから向井店長の事を好きになっていたのかな…。
私が失敗しても、怒らないで『いいとよー。大丈夫。』と言ってくれた。
向井店長の後ろ姿を見て歩いたり、2人で頭を下げあったり、タバコを吸う姿を見たり、お客様のお子様がいたら、笑顔で見ていた所…好きな所がたくさん思い浮かぶ。
だけど、この想いは向井店長に言えないなぁ…。
私みたいな子供に告白されても、嫌だと思う。
そんな事を考えていたら、誰かに声をかけられた。
『星倉さん?』
急いで頭の中を仕事モードに戻した私は、声をかけてきた人に返事をした。
「はい。青田さん…?」
『うん。休憩行かないんですか?』
「あっ、行きます。」
この人は、青田 幸輝さん。青田さんは大卒の人で、同期なの。好きなアーティストが同じで、2人でよくそのグループのお話をしているんだ。
私は、急いで青田さんの元へ向かった。
「遅くなって、すみません。」
『大丈夫ですよ。どうかしたんですか?』
「いえ、何もないです。」
“向井店長の事を考えていました”なんて言える訳ない。
『そういえば、Sky dropまたCD出しましたね。』
「はい。私、買っちゃいました。」
『僕もです。今度のも、良いですよね。』
「すごく良かったです。私、特に好きなのが“Blue Sky”という曲なんです。」
あの曲は、今度のCDの中で一番好きだなぁ。
そういえば、向井店長とこんなお話した事ないなぁ…。
『星倉さん?』
「あっ、ごめんなさい。ボーっとしてました…。」
気が付くと、向井店長の事ばかり考えてしまう。
『大丈夫ですよ。確かに、Blue Skyは良かったです。』
青田さんも、あの曲好きなんだ。
私達は、その後もお話をしてまた仕事に戻った。
「じゃ、また後で。」
『楽しかったです。また後で。』
今日は、青田さんと帰る時間が同じ日なんだ。
確か、向井店長も一緒だったかな…と考えていたけど、ある事を思い出した。
それは、向井店長に商品の補充場所を聞く事。
早く探して、教えてもらおうと思いながら向井店長を探す旅が始まった。