店長と過ごす日々②
商品の補充をしていた私は、どのくらいの量を補充して良いのか分からなかった。
隣の売り場の商品を見ながら、確認をしていた。
「うーん、このくらいで良いのかな…。」
『うん。その位で大丈夫だよ。』
「はい。って…えっ…?」
後ろを振り向くと、向井店長が立っていた。
いつからいたんだろう…。
独り言、言ってたし。
恥ずかしい…。
『さすがです。ありがとう。』
「いえ…。」
“さすがです”と言われた時、すごく嬉しかった。
この気持ちは、何だろう…?
『次は、殺虫剤の補充でもしよっか。』
「はい!!」
『あそこにある箱をこっちに持って来て、補充してもらっていい?』
「分かりました。」
その箱はかなり重そうで、持てるかなぁ…と思っていた私。
『持てる?』と店長が聞いてくれた。
私は、頑張って持ってみようと思った。
「はい。多分、持てます。」
その箱は、殺虫剤が入っているみたいで…かなり重かった。
箱を1回持ち上げたけど、降ろしてしまった。
それを見ていた店長が、こう言ってくれた。
『俺が持って行くよ。』
「ありがとうございます。すみません…。」
『いいとよー。大丈夫。』
そう言ってくれたけど、申し訳なかった。
『補充が終わったら、教えて。』
「分かりました。」
店長は、その後どこかへ行ってしまった。
向井店長の後ろ姿を見ながら、優しい人だなぁ…と思っていた。
その時、自分の顔が火照っているような気がした。
何で…?
「あっ、補充…。」
補充しないといけない事を思い出した私は、急いで終わらせた。
向井店長の所に報告に行かなくちゃ…と思いながら、探していた。
売り場にはいないみたいだから、事務室かな?
事務室まで続く階段を何故かドキドキしながら、上った。
ドアをノックして、「失礼します。」と言った。
『はーい。』
この声は、向井店長。
事務室に入り、報告をした。
「さっきの殺虫剤の補充、終わりました。」
『ありがとう。』
「いえ。」
私と店長の日々は、あっという間に過ぎて行った。
今では、懐かしい想い出。