青田さんへの気持ち
青田さんが退院する日がやって来た。
この日、私はお休みだったから迎えに行ったの。
「青田さん。」
『星倉さん。今日は、わざわざありがとう。』
「いえ。体調は、大丈夫ですか…?」
お医者さんは、後遺症は残らないって言っていたけど…心配。
『うん。そういえば、俺の事呼んでくれたでしょ?』
それって、もしかして…あの時の事?
「聞こえてたんですか…?」
『うん。“帰って来て下さい”って言いながら、泣いてたから…。』
青田さんが聞いていたなんて、恥ずかしい…。
「あの…忘れて下さい…。」
恥ずかしくて、俯きながら私はそう言った。
『僕は、忘れたくない。』
「そんな、恥ずかしいです…。」
『星倉さんが言ってくれたお陰で、僕は帰って来れたんだ。その事を忘れるなんて、出来ないよ。』
「青田さん…。」
あの時の私は、青田さんに帰って来てほしくて必死だったの。
大切な青田さんが、いなくなっちゃったら…と思うと悲しくて。
『あっ、ここで大丈夫ですよ。ありがとう。星倉さんも気を付けて。』
「はい。さようなら。」
青田さんを家の近くまで送った私は、1人で歩きながらこの気持ちは何だろう…と思っていた。




