青田さんと…④ 幸輝side
「…ここは?」
気が付くと、雲の上みたいにふわふわした場所にいた。
『青田さん…、お願いだから…。』
あれ?あの声は、星倉さん…?
どうして泣いているの?
また向井店長の事で、何かあった…?
「星倉さん。」
呼んでみたけど、全然気付いていないみたい。
『星倉ちゃん。』
『あっ、向井店長。青田さんが…。』
向井店長、どうしたんだろう?
『大丈夫。きっと、大丈夫。あいつは、強いから…。』
「えっ、俺がどうしたんですか?」
俺が言う事など分からないみたいに、2人は話を続ける。
『青田さん、帰って来て…。』
帰って来て…?
俺は、死にそうなのか…!?
だけど、どうして…?
『反対車線の車が来なければ…良かったのに。青田さんがいないと、私…困るんです…。』
星倉さんの一言で、俺は一気に思い出した。
家に帰る途中、反対車線にいた車が…俺の車に当たったんだ。
それで、俺も…飛ばされたんだった…。
早く帰らないと。
星倉さんの涙を、止めてあげたい…。
『青田、聞こえてるかぁ!!お前はまだ、生きていないと駄目なんだ。こっちに、帰って来い!!』
向井店長。
『青田さん、お願い。』
星倉さん。
神様、お願いします。
俺はまだ、生きたいんです。
だから、帰らせて下さい!!
そう願ったと同時に、気が遠くなった。
「…。」
あれ…?ここは…?
『青田さん!!』
『青田っ!!』
俺は、帰って来れたみたいだ。
星倉さんが、泣いている…。
泣かないで…そう思いながら、俺は涙を拭ってあげた。
『じゃ、俺はお医者さんを呼んでくるよ。』
『お願いします。』
向井店長がいなくなり、俺と星倉さんの2人きりになった。
星倉さんは、『神様ありがとうございます。良かった…。』と俺を見ながら呟いていた。




