店長と私
「今日も、頑張ろう!!」
そう言って私は、店舗の裏口にあるシャッターをくぐる。
『おはよう、じゅりちゃん。』
「おはようございますっ!!」
パートさんとの挨拶。
これがまず、私がする事。
「まだ、来てないみたい…。」
来るまで、掃除でもしてようかな…。
私は、ある人を待っているの。
ほうきで倉庫の床を掃いていると、『おはよう。』と声がした。
この声は…私の待っている人の声。
振り返ってみると、待っていた向井店長がいた。
「あっ、お…おはようございます。」
『おはよ。』
何を言ったら良いのか、分からないよ。
どうしよう…なんて悩んでいた私。
『何してたん?』と向井店長が私に聞いてきた。
「早く来たんで、掃除でもと思って…。」
何か悪い事したのかな…と思いながら、向井店長の顔を見ると、笑顔でこう言ってくれた。
『きれいにしてくれて、ありがとう。』
「いえ…。」
私は、返事をするのやっとだった。
店長の笑顔を見たら、ドキドキしてしまったのだ。
向井店長は、朝の仕事をする為に2階の事務室へ行ってしまった。
その後ろ姿を眺めながら、また上手く話せなかったな…と思っていた。
そんな店長との出会いは、あの日だった。