水木店へ…①
青田さんと一緒に水木店へ向かっていた。
『着きましたよ。』
「あ…ありがとうございます。」
お礼を言って車を降り、お店の中へ入った。
『いらっしゃいませ、こんばんは。』
私が知らない従業員の人がいて、水木店も変わってしまったんだなぁ…と思った。
『星倉さん、あそこ…。』
青田さんがそう言いながら指した所は、お薬コーナーにいた“あの人”だった。
「向井店長…。」
『行きましょうか…。』
「はい…。」
そう返事をして、2人で向井店長の元へ向かった。
「お疲れ様です…。」
『お久し振りです。』
『おっ、星倉ちゃんと青田じゃん。どうしたん?』
「あっ、帰りにちょっと寄ろうって話になって…。」
『そうなんですよ。ずっと来ていなかったので…。』
『そうやっちゃ。星園店、どんな?』
「色々大変ですけど、楽しいですよ。」
『そうかぁ。売り上げは?』
「お薬の売り上げが低いので、大変です…。」
『まだ、新店やからいっちゃが。こっちは、前の年を見てるから…。』
店長は、そう言ってどこか遠くを見つめていた。
『店長、化粧品は売り上げ高いじゃないですか。』
青田さんが、慌ててフォローしてあげた。
『うん。だけどねー。』
口を尖らせていじけている向井店長。
可愛いなぁ…と思ったのは、内緒。
「店長、時間は大丈夫ですか?」
夕方だから、忙しいかなぁ…。
『うん。今日は、岡田がしてくれてるから大丈夫だよ。』
ニヤリとしてそう言った。
私達は、何も言えなかった。
「…。」
『…。』
『だけど、星倉ちゃんと青田は偉いよ。心が折れんで、ここまで来て。』
向井店長…。
私は、店長がいたからここまで来れたんだよ。
『そうですね。ここまで来れたのは、皆のお陰です。』
『これからも、頑張れよ。』
「はい。」
『頑張ります。』
私が想っている気持ちを向井店長に伝えたい…。
だけど…。
『じゃ、俺タバコ吸いに行くわ。』
「はい。」
『僕達も、行っていいですか?』
きっと青田さんは、私が想っている事が分かっているはず。
だから、聞いてくれたんだ…。
『うん、良いよ。』
私達は、向井店長と一緒に外へ行く事にした。




