海でのお話③
どう話しかけようか考えていたら、青田さんが口を開いた。
『いきなりだけど、僕の好きな人の話しても良い…?』
「はい。」
青田さんの好きな人、どんな人なんだろう…?
『その人は、いつも一生懸命で優しい人なんだ。その人は、いつもニコニコしていて…可愛いなぁ…と思ってたよ。
だけど、“ある人”を見ているのに気付いたんだ。僕は、その人の役に立ちたいと思っていた…。
誰の事を話しているか、分かる…?』
それって…もしかして…。
『僕は、星倉さんの事を好きなんだよ。
悲しそうな顔を見るのが辛くて、さっきはつい呼んでしまったんだ…。
星倉さんには、いつも笑顔でいてほしいんだ。』
「青田さん、ごめんなさい…。」
私、自分の事ばかりで気付かなかった…。
『星倉さんは、悪くないよ。向井店長を好きな事、後悔しなくて良いと思う。』
「ありがとうございます…。」
まさか、青田さんが私の事を好きだったなんて…。
『帰りに、水木店に寄って行きませんか?』
急に、どうしたんだろう…。
「えっ、どうしてですか…?」
『だって、星倉さんは向井店長に会いたいと思ってるでしょ?』
「はい…。」
青田さんには、何でもお見通しなんだね。
『じゃ、行きましょう。』
私達は、水木店に行く事になったのだった。




