午《作戦会議》
次に現れたのは立派な四つ脚で風を切り山を駆けてやって来……
「付与《灼熱》の息吹!!」
辰がネコ魔人にゃんのすけと動物達諸共に息を吹きかけた。その息吹は辺り一面を焼き尽くす業火となり山ををも炭と化した。
「……落ち着きのないお前達。少しは頭は冷えたか?」
「「「「…こんがり焼けました。」」」」
「ふむ、ならば良し。では、最悪の敵猫魔人にゃんのすけを倒すために力を合わせようではないか!」
「では、次は誰を投げるか?」
「「「お前は黙ってろ!」」」
「……お前は午だ。力を与えよう。……生きてるか?」
「ヒッ!ヒーン!!いきなり殺されかけた!あいつら怖っ!!」
「…敵は猫魔人にゃんのすけなんだがな。」
《訓練場》
「は、上等だね。どこの誰か知らないが喧嘩を売ってくれるなら買うまでだ!」
「は?冗談だよね?どこの誰か知らないけど喧嘩売られても無理だから!」
「……お互いやる気満々だな!」
「僕は違うでしょ!何聞いてるの!」
「いや、似たような事言ってるし。」
「ニュアンスだけ!よく聞いて!言ってる事真逆だから!」
「…気持ちだけ受け取っておくさ。」
「しっかり!内容を!受け取れ!!」
「…お前達、本当に今日知り合ったのか?…それより、その神組の二人はどんなやつなんだ?」
陣と冥が馬鹿している間に晴明が子子達に聞く。
「はい、あの二人は性格は別として能力は神組に入って当然……私たちよりも上です。」
「陣君の馬鹿!話聞かなすぎ!」
「どんな能力なんだ?」
「冥が悪いんだよ!ここまできたら腹くくれ!」
「……二人とも私達みたいに一つの系統が特化した能力ではなく複合系統と言いますか。まったく別の系統を…いえ、新しい系統の能力者です。」
「くくれる訳ないでしょ!猫組に来てから、どんどんどんどん状況が悪化してるんですよ!もうノンストップで!」
「へぇ。陣みたいな能力か。」
「はっ!当たり前だろ?オレ達は猫組の落ちこぼれなんだから。…昔の事は忘れようぜ!」
「……はい、一人は《鳳凰》藤見十炎。炎を操ります。どんな物でも燃やしたり、その燃やした物を燃やす前に戻したりと不思議な使い方をする方です。もう1人が…」
「できるわけないでしょ!ちょっとは状況を見て言ってよ!本当にいい加減にして!」
《創造》銃
「お前らがな!」
ダンッ!ダンッ!
「「いったっあああ!!!」」
何もなかった紫亥の手に一丁の銃が現れ陣と冥に一発ずつ撃った。
「ゴム弾だし。…続けていいよ子子。」
「ありがとうございます紫亥さん。…それでもう1人が《鵺》化野幻実。彼女の能力は反則に近いです。過程を飛ばして結果を作る能力言いますか。例えば、彼女が人を斬りたいと思った時に剣を彼女が持っていれば、人が斬られたという結果を作り出す事が出来ます。分かりやすく言うと実現出来る状況にあればどんなに可能性が低かろうと彼女の思った結果が現実になります。…過程を飛ばして。」
「……無茶苦茶だな。」
「それはまぁ神組に入るような方ですから。……あなた達も負けてませんよ?」
子子は呆れたように笑う。
「よく、陣はその2人にやられなかったものだ。俺が猫組に入る少し前の事か。……お前達はいたのか?」
「いえ、私達もほぼ辰野君達と同じくらいに移動になりまして。それでも陣君の最悪さは嫌という程聞いてます、……猫屋敷陣には手を出すな。歴代の神組の先輩達も言っています。」
「……だろうな。これは確かに、俺と冥がその2人と当たるように仕向けられるか。……お前達はどうするんだ?」
その2人が、陣を倒せないのなら卒業するためには俺と冥のどちらかを消そうとするだろう。だが、今目の前にいる子子達はどう動くつもりなのか?神組として2人に便乗して消しに来ることも可能だ。逆に可能性は低いが来年のためにその2人からオレ達を守る可能性も一応ある。ただ、それが防げなかった場合、俺たちがやられてしまえば来年は陣しかいない状態で卒業資格を得ないといけなくなるわけだ。
「私達ですか?それはもちろん。」
三人が顔を見合わせる。どちらにしてもいつか戦わないといけないのだが。
「あなた達を守ります。神組の2人から。」
「晴明が退学になるなんて嫌だしね。」
「冥は、私が守る。」
「…そうか。」
どうやら来年に勝負する事になるのか。
「「「そして、必ず更生させます。」」」
「………俺や冥と戦わないと?」
「はい。」
「……陣もか?」
「当たり前です。彼に更生してもらわないと私が卒業出来ませんし。」
「退学に……消しにはこないのか?」
晴明の疑問に子子は呆れ紫亥は怒り鴉は哀れんだ。
「「「馬鹿ですか?」」」
「……。」
「「「友達の好きな人を退学にしたいなんて思わない。みんな一緒に卒業しようとおもうでしょ。」」」
「……。」
「まぁ、私は友達と卒業出来れば神組じゃなくても構いませんしね。」
「いいじゃん。陣と一緒に卒業しちゃいなよ!」
「…中々に難しいと思うので。」
「来年までに、頑張ろ?」
「……ですね。」
「そうだし。だから晴明もさっさと更生して元の組に戻るぞ?」
「冥は私が躾る。」
「…お前達は、……本当に良い女だな。」
「なゃ!!」
晴明は感動を覚えた。オレ達のためにここまでしてくれる奴がいるなんて。撃たれてまだ痛みに悶え横たわる陣と冥を見つめながら心から思った。
「変な男に捕まるなよ。」
「うるさい!」
「失礼ですよ!」
「冥オンリー。」
《猫組教室》
「さて、突然だが作戦会議だ。」
子子達三人と猫組三人は教室に移動して来た。
「いきなりやる気出してどうした?」
「俺と冥を狙っている神組二人がかなりヤバいみたいだからな。襲われる前にこっちから仕掛けようとおもってな。」
「ふーん。」
「作戦を練る前に自己紹介と全員の能力を教えてほしい。大丈夫か?」
「べつにいいですよ?」
一番に子子が応え、それに他の四人も頷く。
「じゃあ、まずは私から私の名前は小目子子子。元子組、能力系統は『消滅』触れたものを消滅させます。そのほかに消滅エネルギーとでも呼ぶものを具現化させ武器にして敵を消し斬ったり消し潰したり攻撃を消し防いだりが可能です。辰野君の土の龍なんかもですね。」
「普通の子組の生徒は手のひらくらいの物を消滅させるので限界だからな?あんな巨大な物を一瞬で消滅させるコネコちゃんが凄いんだよ。」
「その名で呼ばないでください!」
「次は私かな。想像紫亥元亥組、能力系統は『創造』無から思い描いた物を現実に創り出すことが出来る。ただ時間がたったら消えてしまう。材質は感覚、色は想像、大きさは思いの強さ、
基本は武器を創り出すのが得意だ。」
「普通のやつは武器の様な複雑な物を創造出来ないんだがな。…出来ても1種類くらいだ。思い描いた物を何でも創造出来るってのが凄いんだよ。」
「ほ、褒めるな!うるさい!」
「…東郷鴉。元酉組。能力系統『統合』。物と物を合体させる事が出来る。…冥と合体も。」
「しませんよ!えーと。眠氏冥です。元未組、能力系統は『状態異常』触れた相手を眠らせる事が出来ます。」
「俺か、辰野晴明元辰組、能力系統『付与』物に生命を付与して操る事が出来る。
」
「ん?最後か。猫屋敷陣元から猫組、能力系統『不明』13種類のフィールドを展開する事が出来る。人数自由、大きさ自由、ただしフィールドの種類で出られる方法が変わるから注意。」
「能力系統『不明』ってやっぱり陣君の能力って特殊なんですね。」
「まーな。」
「…それで、陣はどうやってあの二人から逃げのびたんだ。」
「フィールド『にゃんにゃん倶楽部』に連れて行ったらお前とはもう二度と戦いませんと言われた。」
「なにそれ!」
「凄い気になるな!」
「今度連れてってやるよ。」
「「よし!!」」
「冥。」
「晴明。」
「陣君。」
「「「………。」」」
「フ、フィールド!『ラビリンス』」
辺り一面が光り輝いた。