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干支物語  作者: 樹ミケオ
13/14

亥《眠る羊と眠らぬ思い》

月にたどり着いた動物達と神は驚愕した。


卯が倒れていた。猫魔人にゃんのすけは卯の能力で時間を止めさせられていて身動き一つしなかったが、卯が倒れている以上時期に解放されてしまうだろう。…卯がどれだけ頑張って時間を稼いでくれたのか。


「……。」


倒れた卯の前にしゃがみ込み神は涙を流す。言葉はなかった。何も喋らなかった。誰一人喋らなかった。


そのタイミングで猫魔人にゃんのすけの時間停止を解除された。


「……。」


頰を膨らませ、怒りの形相で動物達と神を睨む猫魔人にゃんのすけ。


「「「「「「「「……。」」」」」」」」


何も言わずとも動物たちは理解していた。これが最後の戦いだと。動物達の苦しい戦いは始まった。


猫魔人にゃんのすけは強かった。あらゆる能力を使い数の多い動物達の攻撃を防ぎ、躱し1匹ずつ倒していく。


動物達がまた1匹、1匹と倒れていく。だが、数が減りながらも戦いは拮抗し続けていた。猫魔人にゃんのすけの体力も無限ではなかったのだ。動物達は数が、猫魔人にゃんのすけは体力が、お互いの戦いで削られていく。だが、最後まで猫魔人にゃんのすけは倒れなかった。


「やはり、力を合わせてもお前を倒すことは出来ないか。」


最後に残ったのは猫魔人にゃんのすけと神だけだった。


「すまない。お前との約束を果たせなかった。……だが、このままにしない。」


「……。」


猫魔人にゃんのすけの周りが光り出した。


「…約束する。必ずお前を倒せる仲間を集めてやって来ると。」


「……。」


「それまで待っていてくれ。猫魔人にゃんのすけ。」


光りとともに猫魔人にゃんのすけの姿が消えていく。






「……ああ。信じているぞ。」






《猫組教室》


爆発により、教室だった部屋は完全になくなった。学校の地下にあったのに崩れなかったのが奇跡だと思えるほど剥き出しのコンクリートと鉄骨のみになっていた。


そこに動く人は鴉と冥のみ、陣と子子は未だにバリケードの中でねむっている。そして、藤見十炎は、


「……。」


壁にもたれかかるように座り込んでいた。全身火傷で身体中が腫れ上がり、手足のいく部分が吹き飛んでいた。


「…死んだのかな。」


「まだ生きてる。殺さないと。」


鴉はトドメを刺すために近づいていく。


「そ、そこまでしなくても!もう動くことすら出来ないよ!」


「冥!藤見十炎は動けないくらいじゃ死なない!彼の能力は!」


「…時間逆行の炎…っす。」


《鳳凰》逆炎


ゴオッといきなり藤見十炎の体が燃えだした。


「しまった!」


《統合》手+床


慌てた鴉が手を床と統合し、床から巨大な拳になって出てくる。それを燃えだした藤見十炎に向けて叩き込む。


「くらえ!」


「グオッ!」


言葉通りに藤見十炎はそれを避ける事もなく、受けて壁と巨大な拳に挟まれたような形で押し潰される。


だが、その間から炎がメラメラと溢れるように燃え、消える気配はない。その炎は次第にコンクリートの壁に、巨大な拳にも燃え移る。


「あっ!」


鴉の床と統合していた手が離れ巨大な拳は消え始める。


「何これ?」


冥が驚く。壁に燃え移る炎が拡がり続けていく。しかも、燃えている部分の壁が爆発で壊れてしまった状態から元の爆発前の状態に戻っていく。


「彼の能力、時空間系統と創造系統の複合系統の能力。炎で燃えている部分の時間を操る事が出来る能力。」


「そんな!つまり炎で燃えている部分を元に戻したりするって事は、さっきの傷も。」


冥が見ると燃えている藤見十炎の体が次第に爆発前の状態に戻ってきている。


「彼を倒すには一撃で殺すしかない。」


「その通りっす。」


燃え盛る炎に包まれながら藤見十炎はニヤリと笑う。


「如何なる攻撃も即死しなければ再生可能っす。…さっきはちょっと油断したっすけどね。」


藤見十炎は教室全体に炎を飛ばす。炎は教室の至る所に燃え移っていく。壁から床に天井に壊れた机や椅子に燃え移り、全てがあるべき姿に戻っていく。


「…流石に炭化した教室では戦いたくないから戻させてもらうっす。…次はないっす。」


藤見十炎の体から炎が傷とともに消えた。


「…負けない。」


《統合》手+床


鴉は両手を床につけると二本の巨大な手が藤見十炎の左右に現れる。


「潰れて!」


その巨大な手を左右から挟むようにとじる。


藤見十炎は両手を左右に広げ炎を出す。


《鳳凰》速炎


「きゃああああ!!」


炎に包まれた巨大な手が一瞬にして炭と化した。慌てて解除した鴉の手だが、その手は真っ黒に炭化していた。


「鴉ちゃん!」


「炎に触れた時間を操る事が出来るっすからね。別に巻き戻すだけじゃなく。時間を速める事も出来るんっすよ。……一瞬にね。」


「…う、」


鴉が少し手を動かそうとすると手に亀裂が入った。


「っっっっ!!」


あまりの痛みにうずくまる鴉。


「鴉ちゃん!」


「…冥。」


今すぐに駆け寄りたいのに手足の拘束が外れない。手足を引きちぎれるつもりで動かしているのにビクともしない。


「まぁ、君が悪いんすよ。猫組に入ってくるから、そして守ろうとするから。」


藤見十炎はゆっくり鴉に近づいていく。


「っ!やめろ!狙いは僕でしょ!鴉ちゃんに近づくな!」


「それは無理っす。こんな危険な後輩ちゃんをほっとけるわけないでしょ?…流石に殺しはしないっす。」


藤見十炎が鴉の顔を鷲掴む。


「…ただ、邪魔出来ないようにするだけっす。」


藤見十炎の右手に鷲掴みされている鴉を見て冥は一瞬で何をするか理解し、叫ぶ。


「まって!やめて!」


「…冥。」


「やめて!僕がころされるから!僕がころされるから!鴉ちゃんに何もしないで!」


「無理っす。自分も殺されかけたし、殺される覚悟もあるっすから。やめる理由がないっす。」


「だめええええ!!!」


冥は必死で手足を外そうとする。


「…冥。」


「鴉ちゃん!逃げて!」


「……ごめんね。」


「遅いっす。」


藤見十炎の右手から炎が現れる。


《鳳凰》炎


「きゃああああ!!」


鷲掴みされていた鴉の顔が燃やされた。


「鴉ちゃん!!!うわあああ!!!」


鴉の顔が炎に包まれ叫ぶ。


「目を潰させてもらったっす。…これで邪魔出来ないでしょう。」


鴉から手を離した藤見十炎は冥に近づいていく。


冥は近づいてくる藤見十炎を見ようとしない。体を震わせながら冥は鴉を見つめる。


「……。」


鴉の綺麗な顔が今は見る影もなくなっている。顔が、髪の毛も赤黒く焼け爛れている。


「…猫組に入ってしまった自分を恨んでくれっす。」


「……。」


藤見十炎は冥の前に立ち右手を向ける。冥は藤見十炎を見ようとしない。震わせながら冥は鴉だけを見つめる。


「なんか、言い残す事はないっすか?」


「……。」


「…じゃあ、死んでくれっす。」


《鳳凰》速炎


冥の体を炎が包む。






《ラビリンス内》




彼女を斬ろうとした刀が弾かれた。突然、目の前に岩の龍が横から飛び込んできたのだ。


「…邪魔ー。」


《鵺》


能力で岩の龍は細切れに切り裂かれ、岩で塞がれていた目の前が見えるようになる。


その奥には死んだはずの男が見えた。


「んー?なんでー生きてるのー?」


「はっ!殺し損ねたんだろ?」


そんな筈はないのに。…私の能力は絶対なのにー。


《鵺》


「ッグッ!」


晴明の体がバラバラに切り裂かれ倒れそうになる。


が、


体が少し光り出したかと思ったら斬られた傷が塞がり始めた。


「…あークソ!マジで反応出来ねぇ!」


そう言って倒れそうになった体を踏ん張って支える。


「…あれれー?」


おかしいなー確実に晴明君をバラバラに切り裂いた筈なのにーいったい何がー


化野がふと紫亥を見て閃く。



「…あー分かったー。紫亥の能力かー。」


「…え?」


紫亥は何のことかわからず困惑する。


「紫亥の創造でー晴明君を創造したんでしょー?凄いねー、」


人1人を完璧に創造する。…いったいどれだけ強い能力を使えばそんな無茶苦茶が通るのかー……危険だねー。


「…私の能力。」


紫亥が自分の手を見つめる。


「無自覚かーめんどくさー。」


これじゃあいくら晴明君を殺しても無駄だねー…まずは紫亥をー、


「させるかよ!」


《付与》生命


晴明は化野の考えを読んで自分と化野の前に巨大な龍を生み出し視界を塞ぐ。


「あー邪魔!」


《鵺》


またも一瞬でバラバラに切り裂いた。だが、瓦礫になっただけで視界が塞っていて見えない。


その一瞬の間に紫亥と晴明は逃げ出していた。








化野から距離を置くために紫亥を担いで晴明は全力で走っていた。


「はぁ!はぁ!ここまでくれば何とか!」


「晴明!離して!」


「ん?おお、悪い。」


晴明の腕の中で暴れる紫亥をゆっくりと離す。


「どういう事なの!晴明が生きてるのって…私の能力なの?」


「…違う。」


「じゃあ何で!…生きてるの?…もし私の能力なら時間が経ったら……。」


…今、ここにいる晴明は消えて無くなってしまう。いや、そもそも、もう存在してないんじゃ…。


紫亥は目の前に見える晴明の姿を不安そうな顔で見つめる。そんな顔で見られた晴明は呆れたような顔で見つめ返す。


「…なんだお前、本当に俺がお前の創造で作られたと思ってんのか?」


「だ、だって化野先輩が言ってたし。それに…それ以外の方法が思いつかないし。」


不安になる。……なんてものじゃない。恐怖だった。自分が死んだ人間を作り出したんじゃないのか。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のではないかという恐怖に頭が真っ白になる。体の震えが止まらなくなる。


「……安心しろ間違いなく俺は俺だ。」


「そんな事信じられるわけないじゃん!…だって、もしそうなら……」


「……。」


「…わ、私は、あふっ!」


晴明は紫亥の頭に手を乗せる。優しく、でも強くもない加減で紫亥の頭をくしゃくしゃと撫でまわす。


「…紫亥、よく聞け。」


「な、なんだ。」


「お前が俺を作り出したというのなら今の俺はお前の想像の中の俺だという事だ。」


「う、うん。」


「つまりだ。お前が想像すらしない事を俺がすれば俺が本物だという証拠になるだろ?」


「それは、そうかもだけど!…そんな事不可能だし!」


「何故だ?」


「…私に晴明が出来ないこと、やれない事があるなんて事を想像出来ないし。だから何をしたって多分驚かないし。」


思わず顔がニヤける晴明。


「…いや、簡単だ。…こうすればいい。」










晴明は紫亥にキスをした。










「………なゃ!!」


「愛してるぜ紫亥。この世界の誰よりも。」


「なゃゃゃ!!」


紫亥の顔が真っ赤に染まる。


「…想像してなかっただろ?たかが、お前の想像程度の俺に、俺が負けるかよ。」


え?……本当に?……私を……好き?


紫亥は未だ真っ赤な顔で瞳を潤ませながら晴明を見る。


「…そろそろ行ってくる。化野を倒さないとこのフィールドからも抜け出せないしな。」


紫亥の上に人型の紙が降りてくる。


「それに触れろ。そうすればお前は脱出出来る。」


「え?どう言う意味?」


「さっき死んだ時思いついた裏技だ。…というかバグだな。おかげで化野に勝つ方法も思いついたんだがな。」


晴明はニヤリと笑う。


「…本当に死なない?信じていいの?」


「ああ。」


紫亥が人型の紙に触れると体が光り出した。どうやら本当に脱出出来るみたいだ。


「絶対だからね!私とキスまでして死ぬなんて許さないし!」


笑顔で光の中で脱出し始めた紫亥を眺めながら晴明が尋ねる。


「………なぁ、なら返事は?」


紫亥の顔が固まる。


「え?」


「俺の告白の返事は?ないのか?」


「なゃ!!」


「お前の気持ちを聞いてもいいだろ?」


真剣な顔で聞いてくる晴明に、戸惑う紫亥。強く光輝くが未だ脱出には時間が掛かりそうだ。


「あ、あ、えと、それは、」


「…それは?」


「………まだ言えないし。」


紫亥は顔をそっぽ向けながら答える。


「…なんで?俺がお前の想像じゃないのは分かっただろ?」


「……わかってないし……まだ、消えて、ないし。」


「…は?」


「だ、だから!……想像じゃない可能性が!……消えてないし!」


…それは、つまり、


「……。」


…想像した事があるってことになるんじゃ。


「…ははっ!」


思わず晴明は笑った。


「笑うな!……だから!ここから出てから!そこでなら必ず言うし!」


真っ赤な顔で紫亥が叫ぶ。


「…それは、もう言ったようなもんだろ。」


「うるさい!とにかく勝って!」


「……ああ。」


「まってるし!」


紫亥が光りに包まれて消えた。






ピロリン♪


残り、2人になりました。ここでもう一度あの怪物が甦ります。充分注意しましょう。



「……。」


予想通り、牛の怪物も甦った。おそらく人数が変わる度にリセットされるのだろう。……おかげで作戦が使える。化野を倒す作戦が。


晴明はニヤリと笑い、化野のいるであろう道を歩きだす。









《猫組教室》



「…これで、自分も神組を卒業っす。」


安堵の溜息が漏れる。正直、猫組の生徒と戦わないといけないという()()()()()()()()戦いたくはなかったが仕方がない。…なんせ、本人の希望なのだから。


「ま、東郷ちゃんには悪いことしたっす。」


未だにメラメラと燃えている冥を確認してから鴉の方を見る。…もう終わったわけだし。自分の能力で元に戻してあげようと鴉の方に近づいていこうとして、……ありえないものを見た事に気付く。


「……()()()()()()()()()()()()()


藤見十炎は叫びもしない未だ燃えている冥を見る。自分の《鳳凰》速炎は燃やす速度を上げる能力。…本来ならもう消し炭になっていてもおかしくない。なのに、冥は燃えている。…いや、生きている!


「な、何が起きてるんすか?」


「…藤見先輩。」


燃えている冥が口を開いた。


「ひっ!」


あまりの事に驚き声がでてしまった。


「…今すぐ鴉ちゃんを元に戻して下さい。」


「な、何で君の言うことを聞く必要があるんすか!」


…あらためて、藤見十炎は後悔し始めていた。自分が神組に選ばれて猫組の生徒を倒すしかなかったとはいえ、


「…早くしろよ。…じゃないと。」


猫屋敷陣と同じ、あの怪物に選ばれた、


「お前を殺してしまう。」


…猫組に関わる事に。









《状態異常》???


能力を使うと冥から炎が消える。冥の体には火傷の痕すらない。


「……。」


《状態異常》???


手足の拘束が無くなる。冥は手足をさすり徐に立ち上がる。


「…なんで死んでないんすか?」


「…早く治せといったんだが、聞こえなかった?」


「ひっ!」


さっきまでと雰囲気の違う冥が藤見を睨む。


「く、来るんじゃないっす!」


《鳳凰》停炎


藤見十炎は冥に向けて炎を飛ばす。


「……。」


冥は避けず炎に包まれる。そして、そのまま歩いて近づいていく。


「…っ!だから、何で動けるんすか!」


《鳳凰》停炎は燃えてる物の時間を固定する能力。…のはずなのに歩いている。


「……。」


「君の能力は眠りだけのはず!なんすか!能力を隠してたんすか!」


「…隠してないよ。僕の能力は眠りだけだ。…それより早く鴉ちゃんを治せ。これ以上僕を怒らせるなよ。」


また一歩、藤見十炎に近づく。


「そんなわけ!ないだろ!」


藤見十炎は極大の炎を作り出す。


《鳳凰》大豪炎


「燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!」


小さな太陽のようにすら見える、訓練所で生徒が作っていた巨大な火の玉とは明らかに質の違うそれを冥にぶつける。


《状態異常》???


「……眠れ。」


だが、冥に触れた瞬間にその炎は消えた。まるで存在しなかったように。


「…は?マジで何なんすか?」


「…眠らせたんだよ。…こんな風に、」


冥は炎を消した後、そのまま藤見十炎に近づき左手に触れた。


《状態異常》???


途端に、藤見十炎の左手が消えた。


「はああああ!!!なっ!なにしやがるっすか!」


「…さっさと鴉ちゃんを治せ。じゃないと次は右手も同じ目にあうぞ。」


「…いいんすか?そんな態度とって?俺がいないと東郷ちゃんは治せないんすよ?何の能力か知らないっすけど、ちょっと攻撃出来るからといって…不死身の俺にこんな攻撃…。」


《鳳凰》逆炎


藤見十炎は自分の左手の消えた部分を炎で燃やす。


「…………あれ!」


だが、左手は元に戻らなかった。


「な、何で!何で戻らないんすか!」


「……次は右手だ。」


「ちょっ!ちょっと待つっす!おかしいっすよこんなの!あんたマジで何の能力すか!」


「……。」


「わかったっす!東郷ちゃんを治します!だから近づいてくるなっす!その能力をちょっと待つっす!」


藤見十炎は慌てて鴉を逆炎の炎で燃やす。


「……ん、」


すると時間が経っていたせいかスピードは遅いが少しずつ元に戻り始めた。


「……。」


「ほら!これでいいっすよね!だから、自分の左手が戻らない理由を教えてほしいっす。」


藤見は消えてしまった左手を冥に向けて見せる。冥はじっと鴉の方を見ていたが戻り始めたのを確認して徐に口を開いた。


「…だから眠らせたんだよ。…そう言っただろ。」


冥は何でもないかのように言ったが藤見は納得しない。


「いや!おかしいっすよ!何で眠らせて左手が消えるんすか!しかも、時間を戻してるのに治らないんすよ!」


「…時間じゃ戻らねえよ。俺の能力、眠りは感情の起伏によって眠りの深度が変わる。」


「は?深度?」


「浅い眠りは揺らせばすぐに起きる。あとは対象の感情の起伏にもよるがな、…だが最大限に深い眠りに落ちていくと完全に無くなるんだよ。存在自体もな。」


「そ、存在自体もなくなる眠りって。それはもう眠りじゃなくて。」


あまりにも強すぎる眠りは


「いや、でも時間を戻せば、」


「…言ったろ?俺の眠りは深度だと、今もどんどん深い眠りに落ちているんだよ。…お前の時間を戻すスピードよりもな。」


目を覚ますことのないのならそれは


「…そんな、」


「眠りがさらに深くまで落ちればいずれ、記憶にすら無くなるぜ。」


眠りじゃない……死と同じじゃないか。







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