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今、気が付いたんです…

短い…

 凛が驚いて振り返れば、男は心底嬉しそうな顔をしていた。


 何の含みもない、純粋な笑みだ。やはり、見たことがある…気がする。


「先ずは…そうだな、自己紹介から始めようか、母上」


 凛の関心を惹けたことが嬉しいのか、男は先程とは打って代わって始終ニコニコとしている。


 最初は気位の高そうな猫のような印象を受けたが、性格的なところは犬のようだ。それも大型犬、ゴールデン・レトリバー。


「我が名はアークウェルド・ヴェル・クルス。母、来栖凛を基に、父、来栖神楽により生み出された、異世界(サンサーラ)の管理者だ」


「サンサーラ?」


 その言葉に聞き覚えがあった。


『サンサーラ』


 それは病弱な神楽が凛の為だけに作り出した、PCゲームの舞台となる架空の世界の名前だ。


 ベッドから抜け出せない神楽の天才的なプログラミング能力と、その世話をし続けた凛の空想脳(中二病)をフル活用した、MMOベースのPCゲーム『名も無き騎士』は、神楽からの最期の贈り物だった。


「そう、その『サンサーラ』で私は管理者…まあ、神のようなものだと思ってくだされば良い。ともかく管理を任ぜられている」


「ちょっと待って!色々ついていけないんだけど!」


 突然変な白昼夢(まだ認めていない)見るわ、死んだ弟の名前が出てくるわでもうそろそろ喚き散らしたくなってきた凛は、外聞その他を気にすることなく、思いの丈を並び立てることにした。


「そもそもあれは神楽が仕事(ゲームプログラマー)に行き詰まってるって言うから、私がこんなゲームがしたいって適当な設定書いて渡しただけで…!いや、そう考えたら創ったの私と神楽なんだけど…そうじゃなくて!第一あれは唯のゲームで!お話で!こんなどっかの異世界トリップみたい…な…?」


 ごちゃごちゃと喚き立てていると気が付いた。


 否、気が付いてしまったと言うべきか…。


「い、異世界トリップかぁーーーー!!!!」


 来栖凛、24歳、そろそろ現実見ようと思います。



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