通話状態。
『メーデーメーデー。
こちら、疾原 秋磨。鈴原 堅汰よ、今すぐ応答されるべし』
AM5:30
prrrrr……という懐かしき黒電話の着信音を響かせて俺のスマホが振動した。うるさい。
俺は半分覚醒したままスマホに手を伸ばしてベッドから落ち、完全に覚醒して拾い上げたスマホを耳元につけた。画面眩しい。
そして、冒頭に至る。
「は?」
『おっはー。あたーらしー、あーさがきたー。』
「今から5秒間以内に、要件とお前の入る場所、ついでにお前の姉ちゃんのスリーサイズを言え。言えなかったらハーゲンダッツな。」
『要件は、特にありませんすみません。俺の入る場所は自宅の俺の部屋の中。姉ちゃんのスリーサイズは……スリーサイズ?』
残念8秒だ、そう言って俺はこいつに脅し的な何かが成立したのを喜んだ。馬鹿みたいな事ばかりするが、一応約束は守ってくれる疾原君サイコー。
疾原は、『くそおおぉぉぉお!!』と叫んでいた、後、スリーサイズ教えろ。
『何味?』
「俺が喰えるのは抹茶味と牡丹味のアイスだけだぜ。」
『ストロベリーな。』
「少しぐらいツッコンでくれてもいいじゃないか。後、抹茶にすらかすってない。」
ストロベリーもいいが、俺は抹茶だ。
どうでもいいが、静岡県には牡丹味のジェラートがマジである。ミルキーな味と、酸味と牡丹の香りが漂っていて俺は結構好きである 。(家族には「そうか?」って言われる)後、スリーサイズ教えろ。
「もう切っていいか?寝かせてくれぇ」
『えー、遊ぼうよぅ。』
本当にこいつは何しに電話をかけてきたのか。
俺が疾原に関する個人情報以外で分かる唯一無二の事が、【疾原の姉ちゃんは可愛い】だけだもんな。しかし、この姉弟全然似てないくせに顔が整っていらっしゃる。イケメンは死ね。
『お前、俺の姉ちゃんが好きなんだろ?』
「・・・何で知ってんだよ。」
『いや、お前見てたらそんなの分かるし。つか、お前分かりやすすぎ。』
「マジか~…。顔に出てたか。」
可愛いんだよ、こいつの姉ちゃん!
優しいし、ご飯美味しいし、可愛いし、マジで何時でも嫁になれる人なんだよ、こいつの姉ちゃん!
『あー……姉ちゃん彼氏いるから。あと、結婚予定だから。』
何時でも嫁に、なれる、人、なんだ、よおおぉぉぉお!!!
さようならアァァァァ!!!俺の初恋の人オォォォォ!!!
変更。
2014/02/16