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復讐の後宮妃 この恨み絶対に忘れない  私を殺した悪徳妃に復讐を ー処刑された貴妃は、二度目の人生で牙を剥く―  作者: 島崎紗都子
第1章 新たな人生を生きる

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4 母を助けて

 母の手首に指先を当て、医者は難しい顔をする。

 寝台の上では母が青ざめた顔で、細い息を吐いていた。かたわらで雪蘭は胸に手を当て不安な面持ちで医者の言葉を待つ。

 屋敷を飛び出し、母が貯めたわずかな銀子を握り締め、町医者の元に飛び込み連れてきたのだ。


 お願い母上、どうか無事でいて。


 時間をかけて母の脈をとっていた医者は、雪蘭を見つめ、ゆっくりと首を振る。

 雪蘭の唇が震えた。

「残念だが、子どもは……」

 信じられないと雪蘭は首を振る。

「嘘ですよね……母上も私も、ずっとこの日を待ち望んでいました」

「男の子だったよ」

 弟が生まれる予定だった。

 呆然とした顔で雪蘭は母を見る。

「母は……母は大丈夫ですか?」

 医者はうーん、と唸り、雪蘭から目をそらした。

「かなり身体が衰弱している。このままでは母君の命も危ないだろう」

「お願いです、母を助けてください!」

「うむ……滋養に効く薬草があれば、助かる見込みはあるだろうが……」

「薬草……それはどんな薬草ですか?」

「山参だ。それを煎じて飲ませれば、弱った身体も回復し気力も体力も回復するだろう。だが……」

「先生はその山参を持っていないのですか?」

 医者は頷く。

「残念だが希少な薬草ゆえ、それに値もはる」

「いくらするのですか?」

 医者に値段を教えられ雪蘭は腰が抜けそうになった。どんなに頑張って銀子をかき集めても、とても買える金額ではなかった。

 あまりの雪蘭の落胆ぶりに同情したのか、医者はポツリと言う。

「どうしても手に入れたいと思うなら、呂景(ろけい)山に入れば、もしや……」

 雪蘭はすくっと立ち上がった。

「呂景山に行けば、山参が見つかるのですね」

 医者は慌てて雪蘭を引き止める。

「ちょ、待ちなさい。子どもには無理だ。山には山賊や恐ろしい獣もいる。それにさっきも言ったが、希少な薬草だから必ず見つかるとは限らない!」

 賊よりも獣よりも、母がいなくなってしまうことの方が恐ろしかった。

「ありがとうございます、先生。母上、待っていて。必ず薬草を見つけてくるから」

 医者に深々と頭を下げ、雪蘭は呂景山へと向かった。

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