表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の後宮妃 この恨み絶対に忘れない  私を殺した悪徳妃に復讐を ー処刑された貴妃は、二度目の人生で牙を剥く―  作者: 島崎紗都子
第2章 後宮の頂点に登り詰めるために

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/61

8 夜伽

「陛下」

 御前太監の許吝雲(シュリンユン)は李鶯陛下の側に近づき、耳打ちをする。

「ほう」

 李鶯陛下は眉をあげ、顎に手をあてた。

「あの娘がそのようなことを」

 太監ははい、と答え頭を下げる。

「嫌がらせをしてきた麗貴人に、仕返しをしたようです」

 皇帝陛下ははは、と笑い膝を叩く。

「選抜試験で会った時から、気骨のある女子だと思ったが、後宮に入ったばかりだというのに大胆なことをする。それで麗貴人はどうした?」

 太監はかしこまる。

「紅貴妃さまによって20回の丈刑を受けました」

「死んだか?」

「死んではおりません。ですが……」

「よい」

 それ以上は聞きたくないというように、李鶯陛下は手を振る。

「麗貴人のお見舞いに行かれますか?」

「放っておけ。後宮のことは紅貴妃に任せている」

 たとえ、生き延びたとしても、この先麗貴人が陛下に目をかけられ、後宮の頂きに登りつめることは、よほどのことがない限り無理であろう。

「ところで、劉家には何と伝えましょう」

「麗貴人は後宮を乱した。劉家は娘をきちんと教育しなかったのか、とでも言っておけ」

 李鶯陛下は肩をすくめる。明らかに、これ以上この件を話題にするのはうんざりという様子だ。そんな陛下の心情を察するのも御前太監の役目。

「かしこまりました。麗貴人さまは、紅貴妃さまに後宮のしきたりを学んでいると伝えましょう」

 紅貴妃に関わる。それがどういう意味か劉家も察するだろう。後日、劉家が泣きついてくるかもしれないが、それはその時。

 そこへ、閨房係の太監がやって来た。

 太監は盆を差し出す。

 そこには、妃嬪たちの名が書かれた木札が並べられていた。

「陛下、今宵はどの妃にいたしましょう?」

「うむ」

 李鶯陛下はさっと盆の上の札を右から左へと流し見る。その中で一番左端にある妃の名が書かれた札に目を留めた。

「これだ」

「焔貴人でございますね。かしこまりました」



「焔貴人さま!」

 慈桂の侍女、羌桐梨(チィァントンリー)は血相を変え、慈桂が暮らす宮に飛び込んできた。

「そんなに慌ててどうしたの」

 慈桂はお茶を飲み、慌てふためく侍女を一瞥する。

「たった今、御前太監から知らせが入りました」

「だからなに?」

 慈桂の声が尖る。

「今宵の夜伽を、焔貴人さまにとのことです」

 思わず慈桂は立ち上がる。

「私が夜伽?」

「はい、急いで支度をしなければ」

 慈桂の側仕えの侍女は慌てて周りの女官たちに命じる。

「はやく湯浴みの準備をして」

「はい!」

「焔貴人さま、夜伽のお支度をいたしましょう」

「そうね……」

 慈桂は頬を紅潮させた。

 心臓の鼓動が早い。

 後宮に来て、さっそく皇帝陛下の夜伽を命じられた。これは好機。何という幸運。ここで陛下の寵愛を得られれば、後宮での立場も安定する。だが、それを不動のものにするためには。

 慈桂はお腹のあたりに手をあてた。

「桐梨、あれを持ってきて」

 慈桂は侍女を見やる。

「もちろん、用意してあります」

 桐梨は盆に乗せた椀を慈桂に差し出す。

「子ができやすくなる薬湯です」

 慈桂は椀を受け取り、薬湯を一気に飲み干した。口の端からこぼれた薬湯を手の甲で拭う。

 なんとしてでも、陛下の子を身ごもらなければ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ