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復讐の後宮妃 この恨み絶対に忘れない  私を殺した悪徳妃に復讐を ー処刑された貴妃は、二度目の人生で牙を剥く―  作者: 島崎紗都子
第1章 新たな人生を生きる

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36 後宮を支配する者

 現在、後宮を差配するのはかつての紅妃。雪貴妃が亡き後、今は階級が上がり紅貴妃となった。

 雪貴妃が亡くなったことにより、貴妃となったのだ。

「毎日毎日、決めなければいけないことがあって忙しいわ。寝る暇もない」

「少しはお休みになってください娘娘。ここのところ、働きづめでお休みになっておりません。これでは倒れてしまいます」

 紅貴妃の侍女、蘇蝶児が、心配そうに言い茶と菓子を差し出す。

「あら、いい香りのお茶ね」

「はい、陛下が貴妃さまにと贈ってくださったお茶です」

 ふふ、と微笑み紅貴妃は茶を口にする。

「貴妃さまは本当に陛下に愛されているのですね」

 陛下に寵愛され、最高級の茶を賜り、後宮を支配する。


 雪貴妃(あのおんな)がいなくなったおかげで、すべて私の思うがまま。これで皇子を産めば、私の一生は安泰も同然。


「陛下にお仕えするのが妃である私の役目ですもの。この後宮を穏やかに治めていくことも、陛下のため。少しでも陛下のお心を煩わせてはいけないの。だから、そのためにも、睡眠時間を削ってでも頑張らなければ」

「紅貴妃さまのお心遣いは、必ず陛下に伝わるでしょう」


 そうよ。陛下にいいところを見せて後宮を動かすのは私以外にいないと思わせなければ。


 そこへ、(ミン)皇貴妃がやってきた。

「ご機嫌麗しゅう、娘娘」

 紅貴妃は頭を下げ、突然やって来た茗皇貴妃を迎える。

「他人行儀は嫌だと何度も言っているでしょう、妹妹(メイメイ)

「姉姉、来てくださって嬉しいわ」

 紅貴妃は茗皇貴妃に椅子をすすめる。

「相変わらず忙しそうね。煩わしいことをあなたに任せっきりにしてしまい申し訳ないわ」

 皇后の次に茗皇貴妃は位の高い妃だ。だが実際、後宮を差配するのは茗皇貴妃ではなく紅貴妃である。


「いいえ、皇貴妃さまのお役にたてるなら、身を粉にしてでも頑張ります」

 茗皇貴妃は口元に手を当て微笑む。

「あなたの働きには本当に感謝しているのよ。陛下にもきちんと伝えておくわ。あなたのおかげで後宮は穏やかだと」

 陛下に伝えるという言葉に、紅貴妃は喜びを隠すように口元を引き締める。

 いずれ、この後宮を自分の思いのままに支配する。そんな野望を胸に秘めている紅貴妃にとって、このくらいの忙しさは何とも思わない。

 むしろ、大歓迎だ。

 それに、ここでいいところを見せれば、自分の評価もあがり、陛下にも褒めてもらえる。

「姉姉、今回の試験に合格した者たちの住まいの割り振りに戸惑っております」

「紅貴妃の思う通りにすればいいわ」

「分かりました。考えてみます。そうそう、新しく後宮に入る慈桂と雪蘭は姉妹なのですよね」

 二人は姉妹であるにもかかわらず、実家にいた時から仲が悪いとすでに情報は入っている。

「それも、あなたの考える通りにすればいいわ」

「二人は姉妹なのだから、住む場所も同じ方がきっと心強いでしょう」

 言いながら、紅貴妃は唇を吊り上げた。

 すでに慈桂と雪蘭が不仲なことも知っている。

 姉妹を同じ宮殿に住まわせ、互いに争わせておけば、やがて二人とも勝手に自滅する。

 それも計算のうちだ。

 陛下の寵愛を独り占めするためにも、新しい妃は必要ない。

 それに慈桂は、本来処罰されるところを陛下に気に入られ入宮することになった。そんな強運の持ち主が後宮にやって来るなど脅威しかない。

 さらに、雪蘭もかつての雪貴妃の面影を思い出すと陛下が呟いていた。こちらも早々に潰しておいた方が先々のためにもいい。

「そういえば、あの雪蘭という娘。かつての雪貴妃に雰囲気が似ていると陛下がおっしゃっていたわ。だから、陛下は彼女を合格させた。そして、彼女にかつての雪貴妃と同じ〝雪〟という封号を与えた。陛下は彼女を寵愛するかも……」

 茗皇貴妃は不安そうに呟く。

「皇貴妃さま、ご安心ください。似ていたとしてもしょせん別人。陛下もすぐに雪蘭が雪貴妃とは違うとお分かりになるでしょう。今、陛下の寵愛を得ているのは皇貴妃さまです。安心なさってください」


 いずれその座も私がいただくことになるけれどね。


「そうかしら……」

 ええ、と紅貴妃は頷く。

「それに茗皇貴妃さまには立派な皇子さまがいらっしゃいます。いずれ皇后となられる茗皇貴妃さまの地位は決して揺らぐことはありません」

「ありがとう。あなたの言葉に励まされたわ」

 茗皇貴妃は紅貴妃の手に自分の手を重ねた。

「あなたがいてくれて本当に心強いわ。これからも私のことを助けてね」

「もちろんです。たとえ何があっても、私は姉姉の味方ですから」

 そう言って紅貴妃は満面の笑みを浮かべた。

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