25 慈桂の企み
仲間に呼ばれ、一度は鏢局に戻るはずだった黎飛だが、雪蘭が怪しげな男に襲われ森に入っていったと仲間から教えられ、慌てて引き返した。
「雪蘭、無事でいてくれ」
仲間が言った通り、怪しげな男数名が雪蘭の後をつけて回っていた。
それに気づいた雪蘭が次第に人気のない場所に追い詰められ、やがて町外れの森に逃げて行くのを確認する。
「雪蘭!」
黎飛は必死になって雪蘭の姿を追う。ふと前方に雪蘭を狙う黒装束の男の姿が見えた。
男が雪蘭の背に向け剣を振りあげた。その剣が雪蘭を斬りつける。斬りつけられた雪蘭の姿が突如消えた。
崖下に落ちたのだ。
男たちが雪蘭を探そうとする。
「そうはさせるか! うわーーーーっ!」
剣を抜き、黎飛は男の元まで全力で走った。
雪蘭を助けるため、黎飛は必死に剣をふるった。
気づけば男たちのうち二人が地面に倒れていた。それきり起き上がらないところをみると死んだようだ。
残った男が腹の辺りを手で押さえ、顔を歪めている。
黎飛は鋭い目で地面にうずくまる男を見下ろし、剣を男の肩に突き刺した。
「うわああああっ」
男の口から悲鳴がもれる。
「雪蘭を襲ったのは誰だ? 言わなければ殺す!」
黎飛の迫力に男はたじろぐ。
「慈桂だ!」
「慈桂?」
「そうだ。徐家の側女の娘。彼女が雪蘭を殺せと……ぐっ」
男の肩に突き刺した剣を抜き、黎飛は容赦なく男の喉を斬りつける。
白目を剥きいた男の身体がぐったりと倒れた。
「待っていろ雪蘭、今助けに行く」




