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復讐の後宮妃 この恨み絶対に忘れない  私を殺した悪徳妃に復讐を ー処刑された貴妃は、二度目の人生で牙を剥く―  作者: 島崎紗都子
第1章 新たな人生を生きる

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15 側女の悪事を暴く

 買った魚を手に、雪蘭は徐家の屋敷へ急いで戻った。

 気持ちがはやる。走り続けて息が苦しいのに、足が止まらない。はやくこのことを父上に知らせなければ。

 母が毒物によって殺されたこと。

 その毒物を仕込んだのが、側女の如琳だったこと。


 如琳が母を殺した。

 この事実を知れば、父は如琳を罰するはず。


 屋敷に戻るなり、雪蘭は父の部屋に走った。

「父上!」

 扉を開け放ち、雪蘭は息を弾ませ手にした魚を父の前に突き出す。

 母を殺したのは如琳の仕業だと訴える。

「聞いてください父上! 母が亡くなったのは側女の、如琳のせいなんです。如琳は町で懇意にしている魚売りから魚を仕入れ母に出していました。その魚に毒が入っていたんです! 魚売りも水銀入りだと自分で言っていました。それを食べたせいで……母は毒によって如琳に殺されたんです!」


 これで、母上の無念を晴らせる。


 一気にまくし立て、はあはあと雪蘭は肩で息をする。

 ようやく如琳の悪事を父に訴えた。

 父も如琳がどれほど悪辣で、残酷な人間か分かってくれる。如琳を罰し、屋敷から追放するはず。

 しかし、父の反応に雪蘭は打ちのめされる。


 私は父のことを、何一つ分かっていなかった。そして、如琳のずる賢さを。


 父の深いため息が落ちた。

「おまえはそんなことを言うために、わざわざ私の部屋に来たのか」

 冷めた父の声と言葉に、背筋が凍る。

「そんなこと? 母が亡くなったことを、そんなことで済ませるのですか!」

「いい加減にしろ!」

 父の怒鳴り声に雪蘭はびくりとする。

「おまえという娘は……」

 うんざりとした顔で、黄渓は首を横に振った。

「まあまあ、旦那さまの部屋から騒がしい声が聞こえると思って様子を見に来たら、あら、雪蘭が来ていたのね」

 そこへ、如琳と慈桂が現れた。

「まあ、旦那さま」

 肘掛けに肘をつき、こめかみに指を添える黄渓の元に如琳は歩み寄る。

「難しい顔をなさって大丈夫ですか? ここのところお仕事が忙しかったのでしょう? 肩を揉んでさしあげますね」

 しなを作り、如琳は黄渓の肩をほぐしながら、侍女に目配せをする。侍女は頭を垂れ、盆に乗った茶碗を差し出す。

「ちょうど菊花茶と菓子の差し入れを持ってきたところですの。菊花茶は目の疲れに良いのですって」

 どうぞ、と如琳は侍女が手にした盆から茶碗を取り、黄渓に差し出す。

「うむ」

 茶を一口のみ、黄渓は満足げに頷く。

 肩を揉む如琳の手に、黄渓は己の手を重ねる。

「おまえは本当に優しく、気が利く女だ」

 如琳はふふ、と笑う。

「真心を込めて旦那さまに尽くす。それが妻である私の役目。当然のことですわ」

「如琳よ、おまえはこれまで私の母に冷遇され、酷い仕打ちを受けながらも、文句ひとつ言わず、徐家のために身を粉にして尽くしてくれた。それどころか、血の繋がらない雪蘭も、我が子のように慈しんでくれた。それなのに!」

 顔を真っ赤にさせ、黄渓は机を手で叩く。その勢いで茶器から茶がこぼれた。

「旦那さま、どうか心を静めてくださいませ。お身体に障りますわ」

「如琳よ、この娘はおまえが花憐を毒殺したというのだ!」

「私が奥さまを……」

 如琳はわざとらしく足元をよろけさせた。すぐに黄渓が如琳を支える。

「私が奥さまに毒を盛っただなんて、誰がそんなことを……ひどいですわ」

 如琳は眉宇をひそめ、袖口を目元にあてる。

 泣いている振りをしているのだ。

 涙なんて少しも流していないのに、なぜ父はそのことに気づかないのか。

 良妻を演じる如琳に騙されるのか。

 雪蘭はぐっと手に力を込めた。

「ひどい? よくそんなことが言えるわね!」

 悪事を働いた張本人がこの場に現れるとは、ちょうどいい。


 母を殺した罪を認めさせてやる。

 誤魔化しようのない証拠がここにあるのだから。


 雪蘭は厳しい目つきで如琳に指を突きつけた。

「母が亡くなったのはあなたのせい。言い逃れはできないわ。ここに証拠があるのだから!」

 如琳は雪蘭が手にした魚にちらりと視線を向ける。しかし、相手はうろたえるどころか顔色一つ変えない。変わらず笑みを崩さず、旦那さまによく尽くす健気な側女を演じ続けた。

 そんな如琳の態度が雪蘭を不安にさせる。

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