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【完結】無双無敵少女は超超超絶な青春を諦めないッ!!  作者: ラクルドゥ
第四章『心から求める逃避行少女』
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第72話『危険地帯をアホみたいな速度で爆走する少女』


 逃亡生活4日目


 

 さぁこのままガンカイへ!

 危険地帯をぶっちぎりっていくぞー!!

 




 ――正午。

 




 この家がグングンと速度を増していく。

 字面にすると変だが家が森の木々をかき分けて突撃していってる。

 文字通り爆速で。

「ガキンチョ共!今から山をくだる!!

速度出るからきーつけろっしょ!!」

 屋上にあるエンジンルームからとんでもない音が聞こえる。

「飛ばすっしょ!!」

 大きく家が前に傾き、すごい勢いで後ろへと体が引っ張られるように速度が増していく。

 そんな中、イチちゃんは本をめくり、ヨゾラちゃんは家事の休憩中だろうか?携帯ゲーム機で遊んでいる。

 ヒルさんとみーさんは話しかけたらまずそうなレベルで集中している。

 



 私は後ろを見ながらモンスターさんが来ないか集中している。

 が、さすがに飽きた。

 ヨゾラちゃんか、イチちゃんどっちかに話しかけたいな。

「イチちゃーん。何の本を読んでるの?」

「……ちょっととんでもない本。ヒーちゃんの彼氏、野球好きだったのね。」

 イチちゃんが差し出したのは、奇妙なノートだ。

 書いている題名は『ショーワ草野球少年チーム戦績表 サイム大コーチしっぴつ!』と書かれている。

「私の彼氏何してんのッ!?」

 恐らく執筆の漢字がわからなかったせいかひらがなだし!

 ノートを開いてみる。

 しっかり草野球チームの成績が書かれている。

 あとよくわからにけど風速や方向、相手の投げた弾の種類まで書いてある。

「え~っと、『6月20日。3点差で負け。相手のスライダーのキレおかしいだろ!

しかも馬鹿タマシイが応援してたチームだし!バントばかりしてるチームに負けたのがムカつくぜ!!

ガキどもには悪いが明日からノック地獄だ。なんかの依頼受けていた気がするけど知ったものか!!』

……はぁ~~。」

 うん、私が何とかしなきゃ。

 再会したら殴ろう。



 エンジン音がうるさい中、やることもないので続きを読んでいく。

「ほかには……『7月10日、勝ったああああああああ!!

8回裏2ランホームランで勝った!!

ついでに裏で魚屋で行われていた賭けに勝って借金半分になったぜええ!!Hu~~!!』

……あいつほんと何してんの?」

「ちなみに備考欄に次の試合は乱闘したって書いている。」

 うん、なんだか納得のいく結果だ。

 私の彼はとんでもない男だけどね。

 私はゆっくりと本に目を通す。

 すると不思議な記述がある。

「なんだこれ?

『2022年1月6日、復興で忙しい中、草野球のガキどもを集めた。

根性とかいろいろと教えつつ、冒険社のみんなと一緒に野球をした。

いわゆるドリームマッチだ。』へー……。」

 冒険社は7人。

 9人で野球はやるって聞く。





 もしかしたら冒険社のメンバーがわかるかも……。

「打順

1番(外中):空井

2番(一):才無

3番(二):魂

4番(三):日

5番(遊):吉田

6番(外右):花火

7番(外左):アル

8番(捕):和亜

9番(先発_投):勇次

(ワンポイント_投):灯

(中継ぎ_投):栄

(〆_投):煉瓦

マネージャー:由美

マネージャー2:書輪(ふみわ)

チアダンス:睦月

チアダンス2:火花

チアダンス3:煙

※適当野球なので背番号は無し」

 まずい……誰が武山冒険社なのかよくわからない。





 っていうか草野球チームでチアダンスって何?なぜ漢字で書く?

 あとユミさんの名前の下に『妊娠中のため激しい運動は不可能』って書いている。

 魂って恐らく万歳ストームのタマシイさんだろうね。

 想像以上にしっかりとチームを組んでいる感じがする。





 さらに言えば

『これが最後の本格的な野球になる。気合入れるぞー!』

 と書かれた後に

『ざまぁ見ろーガキども―!』と書かれている。

 勝ったんだろうな。それもおそらくすごく卑怯でせこいやり方で。

 成人してまで何やってんだ私の彼氏……。

 これからもう18、19年近く立っているけどこの性格のままは、さすがに恥ずかしい。

 でも可愛い。





 


 しかし、このマネージャー欄にある『書輪(ふみわ)』って何か聞いたことがある名前だな。

「イチちゃん、この『書輪(ふみわ)』って名前聞き覚えがない?」

「ああ、あれだよ。

恐らくヒーちゃんの『赤金魚の伝説』を書いた著者がそんな名前だったよ。」

「図書館にあったあれね!」

 あまり詳しいことを書かずに後書きでヒントを書いたあのつまらない本の著者か!

「サイム達とも知り合いだったってことなのかな?

もしそうだったら何か知っているのかな?」

 だけどもショーワ町はもう逆方向だ……。

「うーん会えるかどうかわからないけど一応、頭にとどめておこう。」

 2人で本を読んだり後方を確認したりとして時が過ぎて行った。

 ちなみにみーさんにバリアを張りながら、編み物の仕方を教えてもらったりしてすごい女子力を高めた。







 もうそろそろ目的のガンカイ目の前。時刻は宵。

「なんだか大したことなったね。」

「むしろ昨日の山の方が大変ってどういうことっしょ?」

 そういえば昨日のモンスターはあんなにもレパートリーがよかったのに、ずっと後ろを確認しても何もいない。

 いくら移動中はモンスターが寄ってこないとはいえ、不自然すぎるくらい何も襲いに来なかったのだ。

「……もしかしてだけど。

昨日やりすぎた可能性があるね。」

「どういうこと?イチちゃん。」

「昨日、仕掛けてきたモンスターたちを倒したせいで、グンバにいる生存競争が過酷なモンスターたちからすれば過ぎ去ってほしい脅威と認識されて素通りさせてくれたのかもしれない。」

「へーラッキーでいいっしょ!

……っと、ついたよイチジク!ここいらで停車するんでいいっしょ?」

「あ、そこでお願いします。」

 ヒルさんが停車したのは平原の真ん中だ。

 薄暗いけど恐らくここがガンカイのすぐ傍なんだろう。





 イチちゃんが少し私の手を引いてみーさんのそばまで連れて行く。

「みーさん!『反』の歯車でヒーちゃんを包んでフェロモンを隔離して!!」

「え?どゆこと?」

「物は試し!ヒーちゃんを隔離しておけば、おそらくモンスターは寄ってこないと思う。

家ごと覆うんじゃなくてヒーちゃんだけ覆えば、みーさんも疲弊しないだろうし。」

「おけけけみ!『反射』を最大展開で内側に!!ごー!!」

 




 みーさんが反射のバリアを私の周りに張る。

 無色透明だけどまるでガラスのように屈折している。

「おおおーー!!すごーーーい!!」「ごーーーい!」「ごーーい!」「ごーい…!」

 やまびこみたいに声が反響したぞ!?

 バリアは私の周りにしか張ってないのにこんなことがあるんだ。

「……。」

 光が屈折しているけど、みーさんが口でパクパクしている。

 何言っているんだ?

「みーさん聞こえる?」「こえる?」「える?」「る…?」





 みーさんは私を指差してイチちゃんに向かってお口をパクパクしている。

 もしかして、音さえも反射しているから意思疎通ができない?

 仕方がないから一発殴って、これを破壊したほうが……。

 金魚モードになって殴ろうかと構えようとすると、みーさんが腕をクロスにして首を振る。

 どうやら駄目らしい。



 私が困惑していると、みーさんがバリアをいったん解除する。

「なんちゅーおっそろしいことをしているんだみ!

め!そういうことをしちゃあ!」

 かわいい。

 怒り方が可愛い。





「え?でもなんだか言いたそうだったし。」

「力を反射するバリアを張っているんだみ!

もしその中でデメキンなんかを撃ったりしたら力が反射しまくって、ヒトメちゃんがデメキンの反射で腕の肉が弾け飛んじゃうみ!」

「へー。」

「そしてその反射が残ってたりしたらこの家もぶっとぶみ!!絶対にやらないでみ!!

トイレに行きたかったりしたり、ご飯が欲しい時はこのノートに書いて合図してほしいみ!」

 みーさんから本棚にあった対して何も書いていないノートを手渡される。

「それじゃあみんなおやすみなさい!」

「おやすみヒーちゃん。」

「おやすー。」

「ウチは果て無き夢の中へ眠りにつく。」

「おやすみーくん!」

 私達は眠りにつく。





 ◇◇◇

 数分後のみーくんの視点。

 ◇◇◇





 ……。





 あれ!?これみー眠れなくない!?

 だって、歯車を起動したままみー眠れなくない!?

 え!?みー寝ることが大好きなクマさんなのに!?

 え、え……。



 あ、うん……。



『助』の歯車と交代で番をするか……。

 


 みーー??



 なんだか、外から物音がするみ。

 モンスターなのかな?

 このヒトメちゃんフェロモン押さえつけ作戦失敗なのかな?

「(小声で)『助』の歯車。

外を見てきてみ。」

 紅色と紺色の大量の腕が歯車から伸びていく。

 所々二色の腕が絡み合いつつ、いくつかの腕が腕相撲し始める。

「(小声で)ふざけてないでとっとと行けみ。

喧嘩するなみ。」

 そう言うと二色の腕はサムズアップし、小突き合いながら玄関扉の奥へと消えて行く。

 仲がいいのか悪いのか、いまいちわからん腕み。

 今後が不安み。



 みーのすぐ近くに戻ってきた腕が2本肩を叩く。

「状況は?」

 ダブルサムズアップをして上下にブンブン振る。

「なんか楽しいことでもあったのかみ?」

 指をこねこねといじけた女子のようにしている。

 表情豊かな腕み。





 ――っていうかしゃべれ……歯車ってうるさいくらいにしゃべれるでしょうが。





 と、心の中でツッコみつつ。

 玄関へ偵察に向かった腕が戻ってくる。






 

 小さなお客を腕に抱えて、道化師のように手のひらを広げて二色の腕は喜んでいる。

「みーーーー……。

どうしよ……この子……。」

 

 

※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



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本日のヒトメさんによる被害/買い物

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駄菓子屋さんとかで見かけるジュースの粉から作られたミカンジュース:粉っぽーいスムージーのみたーい!

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