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第二章幕間『かつて少女だった姉妹達の温泉旅行』


 ◇◇◇

 某日、露天風呂にて、とある次女の視点

 ◇◇◇


 

「「「「「「「はぁ~~~。」」」」」」」


 

 あーーーきもちぃ~~。

 久々に姉妹揃っての温泉最高~……。

 日々の疲れが取れるわぁ……。

 あーーー……気持ちィ~……。

 湯気で皆の姿はいまいちわからないけど、みんな幸せそうだ。

「きもちい~ねぇ~。」

「だねぇ~。」

 普段は子育てに、仕事。

 自治会に、家事。

 色々大変だけどぜーんぶ忘れちゃう!

 お風呂あったか~い。

 ここ最近疎遠がちだった姉妹にも会えたしいいことづくめだわ~~。



 アタシ達姉妹は次女であるアタシ含め7人いる。

 今では全員に子供がいて、この温泉旅行の今日のために皆1年前から計画してきた。

 職場に頭を下げ、2、3週間の休み。

 子供を旦那とかに預けたり、旅館の予約に資金の調達のための節約。

 大変だったけどやったかいはあったなぁ~~。

「みんなここ最近どうなのよ?」

 四女は少し探るように聞く。


 

「まぁ大変だったわよ~。

小学校に行くための資金ってわかっていたけど結構かかるわよね。」

 アタシの子供は最近小学1年生になったばかりだ。

 一人息子だからか、すごく甘えん坊で学校でのあの子が不安で仕方がない。

 フリーのピアノの調律師であるアタシはこう見えて、そこそこ出費があるから子育てのこういう面に悩まされる。

 なお温泉旅行中、子供は旦那に任せておけばいい。というくらい頼りがいがある旦那と結婚出来た。

 ご近所さんも協力してくれるって言ってたし、そういうところのやりくりはうまいと自負している。

 ……だけど旅行中、まともな生活を送っていなかったら許さない。

 アタシは小遣いを減らしてやるって脅したし、姉妹の中には離婚を検討するって脅した妹もいるから子供たちは大丈夫だとは思うけど……。


 

「僕の子供は最近、職場の水泳教室に通い始めてさぁ~。

僕の真似をしてくるんだよ~。

かわいいよねぇ~。」

 このポンコツのお姉様は、こう腑抜けているが実は二児の母親だ。

 最近、水泳のインストラクターをしている。

 水泳の技術だけはイルカとほぼ変わらない。

 はっきり言うとこのどうしようもないポンコツよりも、子供の方がしっかりしている説まである。



 


 まぁ昔、お姉様と結婚した『あの人』を取り合った過去がアタシにはある。

 あの人の子供であるんだから、そりゃしっかりしているに決まっているか……。






 

「あーー、『お母さんの真似をするー』ってやつでしょ?

姉様はいいなぁ~。アタクシの子供たちなんかしょっちゅう喧嘩ばかりだし、怒りたくないのに怒っちゃって。」

 末の妹、七女は三児の母だ。

 北の土地でパートをしている。気苦労は多そうだ。




 

「フヒヒ、みんな。ウチ以下なのよ。

ウチの子供はきっと天才なのよ!」

 あーーー拗らせたオタクが、いよいよマウント取り母親に進化した可能性があるわね……。

「二人とも幼稚園でウチの絵を描いたのよ!!

金賞もの!!将来神絵師確定!!オタクにとっての需要と供給が母と子供間で完璧にまかなえる神構図なのよ!!」

 うん、親馬鹿だ。

 ついこの間の自分を見ているようだ。

 この四女はただでさえギャルゲーのヒロイン並みに属性が多いのに、そこにマウント親+親馬鹿も追加されたのか。

 これはすでに収拾がつかないわ。

 っていうか子供、この前産まれたばかりと思っていたけど、もう幼稚園か……。

「でもあんた、子供産まれても貧乳のままじゃん。」

「貧乳は関係ないもん!!ダーリンは小さいのが好きなのよ!!

胸は盛れることはできても減らすことはできない!つまり希少価値なのッ!」

 四女は胸を抑える。

 属性てんこ盛りだけど、コンプレックスの塊だから子供マウント親になったのか。

 たまに貧乳を話題に出してマウントは消し去らなければな。

 すーぐ調子に乗るから。




 

 ――まぁ元引きこもりが今では母親やってんだから驚きよ。






 

 そういえば胸と言えば、姉妹の中でもなかなか大きいアタシよりも大きなのが2つ浮いているすぐ下の妹、三女……。

 さっきまでげっそりしていたのだが温泉に入ってようやく一息って感じだ。

「大丈夫?」

 軽く肩を叩く。

 水面に浮かんだものが波紋を立てて揺れる。

 が、本人は本当に疲れていそうで心配だわ。

「大丈夫だよ、姉ちゃん……。

いやぁ最近『元』旦那がよりを戻そうってしつこくて……。」

 三女……この子は最近離婚したいわゆる『バツイチ』なのだ。

 壮絶な夫婦げんかの後、家庭裁判所で親権をギリギリ獲得したはいいものの、シングルマザーで家庭と仕事でぶっ倒れるほど忙しかったらしい。

 姉妹で協力してなんとか助けた経験がある難儀な生活を送っている。

 昔は高校で教師をしていたが、今は時間に融通が利く塾講師だ。

 仕事についても未練があるらしく、たまに相談に来る。

 まるで昼ドラ見たような状況だ。

 この旅行中、子供はお姉様のところに預けてある。





 


 ――――ただシングルマザーをやっている妹はもう一人いる。

 恐らく一番の問題児だ。



 


「なー!シングルマザー同士一緒に、何とかのりこえよーぜ!」

「はいはい。そうですねー。

まぁあの子は、最近少しずつ大人になってきたみたいだから、私は最近は落ち着いてこれたよ。

お姉ちゃん、何かあったら言って。」

 三女が話しかけた、この子が最大の問題児。たくましい六女。

 姉妹のうちで最初に妊娠した。当時の年齢は戸籍上19歳。

 大学に通っていた時だ。

 突然、妊娠したという報告であの時はてんやわんや。

 アタシ含む数名と大喧嘩して無理を押し通しまくって出産。

 その後この子の娘を育てるうちに、アタシ達も結婚する時には子供の世話に関しては割と経験がついていた。




 

 ――――問題は、父親のことについてこの子はいまだに口を割らない。

 


 


「もういくつになったんだっけ?」

「確か、12歳になったばっかり。来年にはセーラー服姿をお披露目です!」

「おぉ~!」

 父親が誰なのか、アタシ達はいまだわからない。

 妹を19歳で妊娠させて今でもこの子が一人で母親やってるから、絶対ろくでもない奴ってことはわかる。

 どれだけ怒っても教えなかった。

 あの子が産まれて12年、姉妹であるアタシは今でも気になって仕方がないのだ。




 ――――それにこの親子は、まだ何か重要なことを隠していそうで……。



 


 だってこの子の性格と初恋から考えると子供が産まれるのは……。


 


「そういえば子供と言えば、お姉様たちの子供って無駄に仲いいわよね。」

 考え事をしていると七女が、次女であるアタシと五女を指さして、無駄に勘の鋭い指摘をしてくる。

「そーそー子供の誕生日と生まれた年一緒だし。時刻もほぼ同じだったよね。」

「産まれた病院も一緒。」

「男女幼馴染属性、約束された将来展開なのよ!フヒヒ……!」

「まるで運命よね!双子みたいだし!

なんでも一緒の幼馴染でいとこだなんて!」

 あーーー……。

 本当に仲のいい関係なのだ。五女であるこいつの娘とアタシの息子は……。

 仕事の都合で引っ越すときに別れる時お互いに4時間はギャン泣きをして、今では小学生になったばかりの子供同士が1週間に6、7回は電話をかけあう。



 


「「はは……。」」

 運命ね……。


 

 ――――正確には産まれる前から一緒なんだよなぁ……。



 

 

 アタシと旦那が入った()()()()()()()

 たまたま入ったそこのその隣部屋にまさか、五女であるこいつがいたなんて……。

 部屋出るタイミングになって気づいて、2人とも互いのはだけた服を見て顔面真っ赤になったのを記憶している。

 お互いの首にあるキスマークや、思わず夫と隣の部屋から聞こえる声で盛り上がってしまったことを思い出し、あの時は泡を吹いて倒れそうだった。

 ただ産婦人科までも同じで、おかげでその後数か月間、めちゃくちゃ気まずかった。


 

 陣痛のタイミング、救急車を呼ぶタイミング、母子手帳を見ればわかるがそのほか全て同じなのだ。

 その結果、子供が同じタイミングで2人とも出来てしまった。

 っていうか産婦人科の医者が7ヶ月目くらいから『さっきも言いましたが……』なんて口走るから、察しついたわ。

 なんなら体重も同じだったし、歯が生えてきたタイミング、首が座ったタイミング、喋った言葉とその時間。

 2人とも青髪で母親似だったし、違うのは性別だけ……。

 もはや双子かと突っ込みたくなるレベル。

 いや双子でもこうは行かんだろう。

 マジで産まれる前からの、運命レベルの幼馴染でいとこなんて……ほかの姉妹には絶対に知られたくない!

 馬鹿にされるのは目に見えてる!

 必ず隠し通す!


 

 あと息子が、会うたびにどう見ても五女(こいつ)の娘に()がありそうなそぶり見せていたし……。

 お母さんは不安です。

「まー、本気で運命レベルで結ばれているならきっと将来は安泰ですな。」

「「ハハ、ソーデスネ。」」

 茶化すな、ポンコツお姉様。

 


 ◇◇◇



 お風呂から上がり姉妹共通の青髪を乾かし、浴衣に着替え、七姉妹同士、和室でダラダラしていると六女がスマホで通話を取る。

「どーした?なんかあった?」

 どうやら彼女の娘からの電話のようだ。

 こう見えて六女で次女のアタシより後に生まれたのに、無駄にたくましい。

 母と子供との間も近く見習うべきところは多い。

 六女が通話をしていると非常に怪訝な表情だ。

「んん?どういうこと?私じゃあ理解できないから、おばさんたちにも聞こえるように、スピーカーにする。」

 六女のスマホがスピーカーモードになる。





 


『ママ!おばさん!聞いてって!ウチみたのッ!!

金魚!金魚が粉砕したの!!』




 

 なんだか音質が悪いわね……。

 あとこの子、普段は割と冷めた感じの子供じゃなかったっけ?

「いや、わかるように説明しなさいよ。」

『だから!!セーラー服を着た、金魚の人が『金属の蛇』を暴力で粉砕したの!!』




 

 ――??



 

 

 いや、言っている意味が分からん…………。

 アタシの息子もこうなるのか……?

「いや、よくわからないし。」

「何かのアニメ?」

 そうだ、アニメと言えばオタク……四女……。

 アタシは軽く振り向く。

「フヒヒ残念だが、よくわからないのよ。

おばちゃんは今度そのアニメ履修しておく、なんてタイトルぞ?」

『だから現実!!

昼に目の前で起こったこと!!』

「おk実写、つまりは特撮なのよ。

サブスク限定作品か。」

 四女は日曜朝、子供たちと特撮にかじりついていると聞く。

 それでも追いきれない部分はサブスク限定の特撮作品と言うことだろう。

『もう!信じてないなら電話切るね!!

すっごかったんだから!!』

 六女の娘は電話を切る。

 アタシ達姉妹は首をかしげる。

 金属の蛇って何?

 セーラー服を着た金魚ってどんな怪物……?

 敵の怪人か何か?

 やはり特撮かな……。

 もっとよく見ておけばよかったな……。




 

 アタシ達がそんなことを考察していると、六女はぼそりと。

「(小声で)金魚…………暴力…………セーラー服…………??

おかしいな?心当たりはあるけど、彼女は今はもう……。」

 という独り言をつぶやいたのを、耳のいいアタシは聞いてしまった。



 

 

「まぁ、特撮か何かでしょ!

僕も子供たちにヒーローショー連れて行った時に、限定の怪人とかよくいたしそのたぐいでしょ!」

 お姉様がまともなことを!?子供のころから残念の塊だったけど、母親になってようやく世間という物がわかってきた!アタシうれしい!

「まぁそりゃそっか……。

お土産期待しよー。」

 六女も納得したみたいだ。

 六女の娘は三女と長女であるお姉様の子供たちと共に、一時期住んでいた旧ショーワ町に旅行中預けているのだ。

 あそこには知り合いがいるし信用のおける場所、いわゆる故郷の1つだ。

 

 

「あー懐かしのショーワ町……じゃなくてショーワ街をエンジョイしているみたいだな~!

アタイ達も旅行たのしもう!子供と夫のことをいったん忘れて姉妹水入らずで。」

「「「さんせ~~!」」」

 五女の掛け声で備え付けの冷蔵庫を開けて、道中で買った缶ビール片手に皆で乾杯する。

「「「「「「「かんぱーい~~~!」」」」」」」

 今日くらいいいよね~!

 旦那と子供に邪魔されず姉妹同士でダラダラして、休暇を楽しむ素敵な日があっても!





 



 


 そのまま飲めるだけのビールを飲み、つまみで暴飲暴食をして朝を迎える。

 結果として酒に強い長女のお姉様だけがまともに寝ていてアタシ達6人は、非常にはだけていて人には見せられないようなだらしない体制で床に寝て、あと酒癖の悪さでお姉様にものすごく叱られた。





 


 ――――ただそんなことをしている間に、六女たちの子供がいるショーワ街でトンデモないことが起こっているだなんて、この時のアタシ達はまだ知らない。

※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。


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作者の独り言

 ■■■ ■■■

子供の成長ってさ、早いね。ほんと、早いね。

何だろうね?出会った時はあんなに小さな子だったのにって思いがある分、早く感じるね。

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