第1話『HAPPYENDとDEADENDの後の少女』
私、高達 ひとめ!年齢は15歳!
中学生!
彼氏持ち!
彼氏の名前は武山 才無!
彼と同じ孤児院で育って、超きらめく青春を送っていたの。
そして神社で好きだって告白してオーケーしてもらって……。
スーパーハッピーな感じで青春を送っていて……。
それで……
それで……?
あれ?
あれれれれ??
なんだかよく思い出せないや……。
すごく幸せだったことは覚えてる……。
まれに邪魔があったり、なんか殴ったり蹴ったり粉砕したり爆散させたことは覚えている……。
けど…………。
あれ?なんだか思い出せない……。
幸せだったのは確かなのに詳しいことが思い出せない……。
アイツがどんな顔だったのかも……。
――というより……。
この目前に書いている石は何?
『高達家之墓』?
お墓?
目の前にいきなりあるこの墓は何?
え、まさか、私の?
でも私、足の感覚もあるし手も半透明じゃないから幽霊になってないし肉体もある……。
じゃあ、なんで私のお墓が目の前にあるんだろ…………。
ここ墓地っぽいけど、アンデットさん達に用事なんてなかったしなぁ……。
それになんだかアンデットさん達は木っ端みじんに粉砕したような気がする……。
よく覚えてないけど……。
この科学文明が発達しておきながらいまだに未知な部分がある世界には、そういう邪魔者たちがいっぱいいたことは覚えてる。
でもあいつの顔は何故か思い出せない……。
――風が吹き荒れるやや曇りが買った空の下、私は自分のお墓の前にいる。これは事実だ。
しかし……肌寒いな……妙に風がダイレクトに。
と思わず自分の着ているものを探ろう手でペタペタ触ってみると、何もない。
もう一度言う、私は自分のお墓の前。
つまりは外にいる。
そして頭を下げ確認すると、何も着ていないのである!
ようは裸である!?
「やば……!?」
あたりを見てみる!人影なし!
私は思わず顔を真っ赤になって、しゃがみ込む。
まずいまずい!露出狂じゃん!そんな趣味ないって!
私の服どこ!?
なんで私お外ですっぽんぽんなの!?
記憶とかお墓とか!色々と言いたいことあるけど~~!そこからじゃん!
がっつり隠すべき部分が見えてる!腹筋も彼氏以外には見られたくない部分とか全部見えちゃってるって!
あわわわわ……服!あるいは隠す布……!
あったァ!!
ちょい汚くてボロいけど!別のお墓にかかっているよくわからないポンチョのような布を私は失敬する。
ギリ下半身が隠れるくらいある布だ。
下着すらまだ履いてなくてスースーするし、完全に変態のソレなんだけど今はこれで我慢しなければならない!
変態さんが襲ってきたらどうしよう……形を保てるよう手加減できるかな……。
…………早く服を探したい。
あと何故だかよくわからないが体がセーラー服を欲している気がする……。
せめてパンツが欲しい。
「へっくちッ……!」
肌寒い……くしゃみ出ちゃったよぉ~……。
「サイムぅ~~……どこぉ……。」
ここどこだろう……?
確か私がいた町は『ショーワ町』って名前だったような記憶があるような気がする。
でも……なんだかここは違う気がする……。
なんだか大きな建物が多い気がするし……遠方に大きな球体状の建物もある……。
――――あの大きな球体は何なんだ……?
ここ、ほんとどこだろう……。
私は今どこにいるんだ……。
私は色々と忘れているけど失われた記憶はどこにあるんだ……。
何よりも……おパンツはどこにあるの!?
◇◇◇
とにかく墓地を出てみたけど……。
最大問題は服を買うお金がない。
店はいくらでもある。
でもお金がない。
アイツの彼女である私が盗みなんて働いたら彼氏であるサイムに迷惑がかかるし、そんな状態で青春なんてできやしない!
どうにかして服を確保しなければ……!
ここは墓地の前……ここに人はいないけど、この謎の街のいたるところから人の気配がする。
人以外のなんだかよくわからないものの気配もする気がする……。
昔のことはよく思い出せないけど、気配を探るのは身体が覚えている。
いっそのこと人以外のものから皮をはいで服を作る……?
う~~~ん、私皮をはぐ自信は何故かあるけど、お裁縫をうまくできる自信がないなぁ……。
――あ、そうだ!借りよう!
困ったときはお金も服も、ある便利な場所があるじゃないか!
ちょうどすぐそこ目の前に!
人通りがない場所に結構たくさんあって、基本雑居ビルにあって、無駄にドアとかのセキュリティが固く。
それなりに店員さんがいて、社会からいらなくなったものが結構ある場所!
店員さんはいかついけど、結構いい取引をしてくれて何にも怖くないし~。
しかも黒塗りの車を保有していて、親会社は結構お金を持っている便利な場所!
ここにあるなんて私はなんてラッキーなんだろう!
流石、私!ナイスアイデア!
私は服とお金を求めて目の前にあるヤ○ザさん達の事務所にお金とお洋服をカチコミに行く。
◇◇◇
ヤ○ザさん達の事務所4階。
カチカチカチカチとインターホンを連打すると、まぁそれっぽい男性が二人ほど出てきた。
「なんじゃワレェ!」
「ああ?ガキがこんなとこうろついてんじゃねぇぞ!何ようじゃあ!?」
まー吠えちゃって、やーね。
「あ、お金と服ください。できればセーラ服と白いスポブラがいいです。」
「「あ”!?」」
「いや、お金と服をください。」
「ガキがなに言ってんじゃワレ!!」
「ガキは帰ってママのおっぱいでも吸ってろ!!
だいたいお前のようなガキンチョが金を借りれるわけねーだろ!!」
ママね……。
確か死んじゃったってやんわり覚えているけど、どーやって死んじゃったんだっけ……。
まーいっか……ママはいないけど彼氏いるし。
「いや、私孤児ですけど?」
「「…………げーーはっはっはっは!!」」
なんか意地汚い笑いだなー。
「お前、まさか自分から変態のおもちゃにされに来たのか!?
傑作だぜ!!孤児で稼ぎ口がないから、体売りに来たんだろ?」
「ああ!ほんと傑作だ!!こんなおもしれー女、きっと高く売れるぜ!」
ん?何か勘違いしてるね?
「いえ、普通にお金借りに来ただけですし、私彼氏持ちです。」
「はいはいそういうプレイね……。
ってよく見たらすげぇ服着てんな……!
まさかその下ははだ」
汚い男が私に触れようとする。
これは……『痴漢』ってやつね!!
痴漢の対処方法は確か……。
「きゃーーーー(棒読み)」
と叫びながら触ってこようとする腕を引っ掴む。
「いったっぁああああッッ!!腕!!折れる!!
肌が剥かれる!!触ってる肌肌肌肌!!
骨肉肉肉肉俺折れおれろろろろろ!!」
しかし痴漢犯のくせに叫び声がうるさいなぁ……。
唾も汚いし。
私がそんなにまばゆい少女だとしても、彼氏以外に叫ぶほど興奮されるのはなんだかなぁ……。
こういう時、痴漢さんの腕がつかえないように雑巾絞りみたいにねじるんだっけ……??
痛くしないようにするには確か……こう……。
「うぁぁぁぁ!?俺の腕どうなってるる!?
歪んでる捻じれてる!まるでドリルみてーーにィッ!うわああああああああ!!」
「テメぇ!!兄貴の腕」
で、痴漢犯がもう一人近くにいた場合は……。
今、手に持っている武器を使って。
「痴漢よー(棒読み)」
「「ぐぇああ!!?」」
まぁ壁にでも埋めておけば痴漢されずに無力化できるんだよね!
さて、手が血とかほこりに、まみれちゃわないように軽くぱんぱん叩き落として……。
――さ、殲滅しに行こう。
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この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。
ですが初回の9話まで8月6日まで一気に投稿します!
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本日のヒトメさんによる被害/買い物
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第1話:
ヤ○ザの兄貴:複雑骨折
ヤ○ザの弟分:複雑骨折