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【完結】無双無敵少女は超超超絶な青春を諦めないッ!!  作者: ラクルドゥ
最終章『心から愛している無双無敵少女』
198/255

最終章前編『無双無敵少女は諦めない その1』







 ――――全ての始まり。






 あの日、あの時を語る前に。








 少し先の話をしなければならない。

 時系列的におかしいことだが、始まりの前に後の物語が先に来るのだ。

 




 ▽△▽

 


 


 それは『ターニングポイント』

 第二のエイドスドアルーム。

 ニチさんとヒーちゃんの戦いの最中までさかのぼる。





 ▽△▽



 




 

「奥義ッ!!ホホジロザメェェッッ!!!」

 ヒーちゃん!!





 創造主さんの力によって動けもしない!

 こんなはずじゃなかったのに!

 ヒーちゃんを支えるんだって決めていたのにッ!!




 なんで、そんなに真っ赤な肌になってまで止まらないの!?




 ――もう、やめようよ……。




 歯車によって何もできずにこうやって悲しい思いをするなんて……。

 アタシに力がないから?

 それともこの世界が理不尽なせい?



 

 アタシ達が見守っていると突然。

05バフ・コングロマリットIdアビリティ!カースギフト!!」

(コミュニスト)(・プロパガンダ)Idアビリティ!モッシュピット!!」



 ――なぜエギレシアの2人がここに!?

 


 あの創造主はなぜ彼らと?

 やっぱりアタシ達は裏切られたの!?

「ヒーちゃんッ!」

 アタシの声はなんで届いていない?

 なんでアタシは無力なの!?





 ああ、ヒーちゃんが眠ってしまう。




 ニチさんも倒れ伏す。


 

 


 我慢できない。

「何をしたの!?創造主アルゴニック!!

そしてエギレシアの2人!!

アタシの友達に何をした!!」

 創造主が空間に穴をあけている中、必死にもがく。



 動け!動け!アタシの身体!!

 動けッ!!



「あー訳を言うから待ってな~!

今から能力の解除を……。」

「うおおおお!!」

「!?」

 指が、動いた……!?

「……。

『行動を殺した』……はずだ。

何が起こってる??」



 指と同じ要領で足を動かして、創造主へ一歩踏み出す。


 

「ヒーちゃんに何をした!!」

 一歩一歩と創造主へと迫る。

 弱弱しく創造主へ迫り、思い切り拙い動きでパンチを繰り出す。






「おっとそれまでだぜ、お嬢ちゃん。」

 開けた空間から出てきた人物に腕を掴まれる。

「こいつは俺のダチなんだ。

ヒトメに触発されてそういう行動をとるのは感心しねぇな。」

 その人物に柔道の要領で思い切り投げ飛ばされる。

 投げ飛ばされ地面へ激突する!?



 と、思ったが地面がふかふかとした感覚がする。

「カオスミックス、スポンジ!!

地面とあらかじめ持ってきていた食器用スポンジを混ぜた。

2つの性質を融合し、地面をフワフワさせておいた。」

 な、なんだ?この能力は?

 物質を混ぜた?

 相当な距離を投げ飛ばされたぞ。

 あの空間から出てきたのは一体……?

 倒れ伏したこの状況の中のせいか、身長が高いのか顔が見えづらい。

 あれは誰だ?


 

「まさか……。」

「やっぱりお前だったか!

依頼って言葉を聞いて察しがついたぜ!!」

 ユウジさんこの反応誰だ?

「……サイム!!」

 え?

 アタシを投げ飛ばしたのが、ヒーちゃんの彼氏?

 サイムさん?

 何がどうなってる??



「サイムさん!久しぶり!」

「久しぶりだな!お前ら!

……っと!そうだそうだ……。」

 サイムさんがアタシに近づく。

 顔は見えないけど手を差し伸べている。

「ぶっ飛ばして悪かったな!

今、訳を説明するからよ!」

 なんだこの長髪の彼は……?

 ぶっ飛ばしたうえで助ける。

 異様な行動をする。

 これがヒーちゃんの彼氏。




 

 ――惚れるわけだ、悔しいけども。



 


 ヒーちゃんの好みなわけだ。

 アタシの好みじゃないけども。

 無茶苦茶を体現にしたような人だ。

 

 

「……自分で、立てます。

アタシはヒーちゃんの……親友なので。」

「おや、そうかい?」

 アタシは顔を見ないまま、項垂れてみんなと少し距離を置く。

 


 みんなの停止状態が解除されて、サイムさんを囲んでいる。



「サイムさん!ニッちゃんさんどうするの!?」

「この馬鹿!」

「いやー悪い悪い。

まぁ再会の感動もあれだけどよ、ちょいとお前らにやってほしいことがあってな。」

 眠りについたヒーちゃんをサイムさんは撫でる。

 優しそうな顔で。

「懐かしいな……ヒトメ。

…………ん?こんな位置にほくろなんてあったっけ?

まぁ……記憶がぼやけるまで、ずっと会えてなかったんだな……。」



 ――その背中は大きく、思わず嫉妬してしまう。

 


 アタシもあんなのだったら見ていてくれるのかな…………。

 少しその様に当た後ずさりしてしまう。

「いや、その恥ずかしい話なんだが、ヒトメとニッちゃんをどうにか仲良くさせてよ。」



 


 どうしよう……ヒーちゃんが取られちゃう。






 

「何とかしてプロポーズするために手伝ってくれないか?」




 








 ――サイムさんの口からその言葉を聞いた瞬間。






 ――アタシの中の何か大きなヒビが入った。







 ――――そのヒビから少しずつ、何かの()()があふれてきた。






 ――拒絶的な、泣きそうな、静かで激しい感じたことのない感情だ。





 

「え……。」

 いやだ……嫌だ……ヒーちゃんはアタシのものでいてほしい。

 アタシだけのヒーちゃんでいてほしい。



 ――この衝動は『独占欲』なのだろうか?







 

 ――だが、それ以上の何かとしか言えない、心だ。



 



 



 心で小さくざわめく自分の欲望の声が聞こえる。

 自分の心の声だ。

『ほぅら、そんなに欲しいなら手に入れちゃいなさい。』

 駄目だよ、ヒーちゃんがずっと求めてきた人だよ。

『駄目なことなんかない、引き下がる必要はない。

そうやっていつまでも引き下がることが正しいことなの?』

 いや、そんなわけない。

 アタシだってヒーちゃんを独り占めしたい。

 なんであったこともない人にとられなきゃダメなんだ?

 でもヒーちゃんにとって彼はずっと求めていた人だ。



 ▽△▽


 

『……そうやってお前はずっと間違え続けてきたんじゃないのか?

求めてきて、くじいて、お前はそうやって目を背け続けるんだ。

大切な人の幸せを受け取って自らは何も受け取ろうとしない!

そういう卑しい女なんだ、お前は!』



 ▽△▽


 

 うるさい、いじめっ子みたいなことを言わないで。

 アタシの心がそう言うことを言いわないで。

 なんで、親友の幸せがそこまで来ているのに、アタシはこんな風に自分で自分を責め立てているんだ?







『ほら、選びなさい。

留まって何もしないか。

前に進んで望まない結末を祝い呪うか。

…………あるいはいっそのこと後ろに下がって、真実を知るために飛び込むか?』



 後ろに下がって……?



 ――アタシの心は何を指している?

 後ろにあるのは謎のフラフープのような装置。



 真実を知るために飛び込む……。



 ――な、なにか知れるのか……。


 


 

 ――いや待て!




 

 ――こ、この声はアタシの直観か?




 

 ――さっきから心がざわめくこの感じは何だ?




 

 ()がアタシに話しかけてきている??



 


 創造主が音や光を操ってアタシを騙そうとしているのか??



 ▽△▽



「ほーなるほど、ヒトメたちの仲を深めてからアタックをかけないと、こういう目に合うからお前はオレ達を招集してたわけね。」

「あいかわらず考えることがコスいわね。

だからその歳でネチネチしてんのよ。

女舐めるなー!」

「ユウジとユミに言われちゃあ俺もしまいだなぁ。

こう見えてまだ29歳なんだが!?」

「うぇ!?」

 なぜサイムさんは29歳なんだ?

 40歳は超えてないとおかしい。

 声から若いことはわかる。


 


 

「ああ、そこにあるフラフープみたいなのがタイムマシンでな。

俺はわけあって落ちたんだ。」

「タイムマシン!?」



 フラフープみたいなのって……もしかして後ろにあるこれ?

 これがタイムマシン……。





 ……アタシの背中にタイムマシンがある。





 サイムさんはここまで何とか生き延びてきた。





 

 ――もしも、ヒーちゃんとサイムさんを出会うことを阻止出来たら?






 真実を知るとかどうでもいい。

 アタシはこんな風に傷つけあうことを止めたい。

 ヒーちゃんとサイムさんが会ってほしくない。

 ここで友達として離れて生きたくなんてない。

 誰にもとられたくないし、ヒーちゃんに傷付いてほしくない、ずっとアタシのそばにいてほしい。





 それをやるくらいなら……。

 いっそのこと……!




 


 




 アタシがそう思った瞬間、後ろの装置は突如起動を始める。



 アタシはその時。

 そこへ自然と足が伸びていた。

 




 ――それは……不注意なんかじゃなかった。




「え!?」

「イチジク!?」

 アタシは選んだのだ。




「イチジクちゃん!?」

 ヒーちゃんの隣に立っていたい。





 だから思わず、選んでしまった。



 これが仮にタイムマシンだとして、もしもあまりにも超絶な青春の塊であるヒーちゃんがサイムさんを探し出す前に戻れてそれを止められたら……。



 だから、この穴の中に落ちて行った。





 一生アタシが親友として、彼女の隣にいられて。




 


 

 ――その愛を独占出来たら……。



 








 ――あの暗い過去をトラックと共にぶっ飛ばしてくれた彼女の、隣にずっといられるのなら……!!



 ▲▼▲



 


 思えばこの時のアタシは愚かだった。




 だが、真実を知ろうとしなければいけなかった。



 それが正しいことだったのだから。

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この物語の『更新』は最終章まで毎日投稿+『金、土、日』はさらに量多めに投稿します!

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