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第171話『魔王城で彼らと戦う少女』

 


 ここが魔王城。

 ここまで無言だったけど、だいぶ腕が痛い。

 切り傷に軟膏ぬって包帯したりしたけど、先生の攻撃の傷がだいぶ痛い。

 思えば傲慢の大罪の戦闘からだいぶ傷だらけだ。

 


 だが、私の前に大きな門がある。



 この奥に魔王城がある。

「あ、もう通っていいらしいですよ。

ボクこの建物、顔パスなんで。」

 クレイさんがそう言うと門が大きな音を立てて開く。

 この神父便利だな。

「行きましょう!」

 ニチの言葉と共に魔王城へ入り込む。

 だが魔王城ってわりにはずいぶんときれいな庭だ。

 すごく丁寧に剪定された草花の庭が門の奥にある。

 庭の花には季節の花らしき花が飢えていて、城とは真逆の温和なイメージがしていた。

「魔王城ってことは、魔王が住んでいるってことよね?

福音の大罪は魔王なんじゃない?」

 なんとなく『福音』って名前だからこういう豪華な庭に住んでいるんじゃないかと予想してしまう。

「ありえると思いますよ。」

 だよねぇニチ、魔王っていかにも悪そうな名前だもん。

 図書館では穏健って書いていたけど、侮れないとも書いてあったし。

「いや、一応自国民として言っておきますが。

魔王様ではないですよ。

だってその……魔王様ではたぶん……。」

「たぶん?」

 クレイ神父にそれを聞いたとき。



 

 

 私達が庭を歩き、玄関扉を開けた。

 何気ない日常会話をしていた。





 そのわずかな油断の瞬間に、私の目にそれらが一気に来ているのを判断するのがわずかに遅れた。



「応木流刀術!!弐葉!!」

 扉を開けた瞬間!!その最速の居合抜刀術が私の喉元に迫っていた!!

「桃ッ!!」

「ッ!?」

 反応に遅れた直後、後ろにいたであろうニチが私の襟をつかんで投げ捨てるように後退させる!

 


 大きくノックバックした私は転げまわるように玄関の大理石に身体を打ちつける。

「大丈夫ですか、ヒトメ!?」

「大丈夫!!」

 あの攻撃はソライか!

 体を起こし構えをとる。



「まだまだ安心してんじゃないぜ!!

白野流銃術!!バレッツ!!」

「そゆこと~!

雷撃ッ!!」

 2階の窓から雷を纏ったハナビさん!?

 そして玄関の奥からユウジが銃を放ってる!



 ユウジをよけようとしたらハナビさんの雷に当たる!

 ハナビさんをよけようとしたらユウジの攻撃に当たる!



 なら攻撃を相殺してやる!

 ユウジ、お前の技『白野流銃術』は元は私の『高達流闘術』の下位互換だってことを忘れるな。

「高達流闘術、コメット!」

 瓦礫を拾い、ユウジから放たれた弾丸をはじき、撃ち落とす。

 隣へハナビさんがズドンと落ちる。

 アレに当たっていたらやばかった。

 ハナビさんの攻撃はこれで済んだ。

 


 だが撃ち落とした弾丸の奥、ユウジのさらに奥に巨大なキャノンガンを構えたユミさんがこっちへ照準を向けているのを目視する。

「充電100%、ファイアッ!!」

「ヒトメ!!」

 ニチが私にタックルして何とか極太レーザーを回避する。

 レーザーは玄関扉を吹き飛ばし、当たっていたら地理に帰るんじゃないかって威力だった。



「危機一髪……。」

「でしたね……。」

「せやな。」

 後ろに創造主アルゴニ……。

「空間裂傷!!」

「まず!?」

「え!?」

 なにこれ!?空間に亀裂!?

 引きずり込まれる!

 



 ◆◆◆




 ここは!?

 目の前にユウジとユミさん!?

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

 後ろの方に玄関扉があったと思わしき場所!?

 駆け寄ってきているのはソライとハナビさん……。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

 さっきの玄関の奥か!?

 ソライたちの近くに、創造主アルゴニックさんもいる!

挿絵(By みてみん)

「強襲成功ってやつだな。」

 私とニチが背中合わせ……クレイ神父は恐らく先ほどの庭園だろう。

 まずい、囲まれた。





 ソライが笑いながら、靴のかかとを慣らす。

「今回の相手。福音にたどり着く前の最後の敵。それが僕らだ。」

 ユウジが銃を回してこちらへ向ける。

「武山冒険社の5人がお前たちの相手だ。」

 創造主が宙を舞いながら腕を組む。

「ちょっとバタバタしてるから、はよしやんとあかんねんな。サクサク行こうぜ。

今からは『黙示録の4体』と『空』『守』と『時』は使わないで舐めプしてやるよ。」

 ユミさんがキャノンガンの雷管を射出して装填しつつ笑う。

「積もる話もあるけど、まずあたしたちを超えてもらわなきゃね。」

 ハナビさんが電気コードを触手のようにうねらしてフードを深くかぶる。

「まぁ、それが今回の依頼だしね。

おばか……お姉ちゃん達も手痛くやられちゃったし、ハナビも本気で攻撃するよ。」



 その様子を見てすこし気合が入る。

「悪いけど、止まってられないのよね。

だからここは本気であなた達を片付ける。」

 背中合わせのニチも仲間達を見て、自分のリボンをきゅっと閉める。

「仲間だからこそ容赦をしません。

覚悟の準備はできていますね?皆さん。」





「「「おうよ!」」」

 ソライが私達を指差す。

「福音の名のもとに、戦闘開始だ!!みんなッ!!」

 


 ◆◆◆


 


 すでに金魚モードだ!

 先手必勝だ!

 何かをさせる前に、まずはあからさまに厄介な創造主を叩く!!

 舐めプだなんてイキったことを言ってくれるじゃない!



 ジャンプをして構える。

「高達流闘術!!」

「こっち来た!?」

 手刀で貫く!

 最も早く!!

「リュウキン!!」

「『変』の歯車。」

 !?



 なんだ!?一瞬で創造主の姿が『まりも』みたいに変わった!?

 体が柔らかくなって、私の攻撃をするりと回避してる!



「ヒトメ!!

アルさんは20個近く天変地異レベルの能力を持っています!

先に倒そうとすると無駄に時間がかかって隙が生まれます!」

「ニチ、先に言ってよ!!」

「そゆこと~、『溶』の歯車。」

 私が殴ったまりもになった創造主の身体からひりつく酸のような物質が吹き出される!

 それに思わず手を引っ込めたわずかな硬直。

「ユミ!いくぞ!!」

「もうやってる!!拡散ファイア!」

「弐重奏!デュオバレッツ!」

 その硬直を一気に狙われた!

 


 ――白野夫婦の遠距離攻撃!!



 やっばい!!この2人ともエネルギー弾だ!!

 弾丸はつかめない、回避しようにも結構な弾幕だ!!

 ならばあたりながらでも進む!!

「パンダチョウビ!!」

 空中移動速度最高速で、ユミさんへ突っ込む!!

 まずは1人殴る!!

「応木流刀術 合成技 伍目(ごもく)捌実(はちみ)!」

 ソライ!?

 いつの間にか、私とユミさんの間に割って入ってる!?

 ならば!!

「配合種!!」

 パンダチョウビの勢いを利用しながら、体を無理にひねってこの技を使う!

 それに対応するようにソライが腕を引き力を一点に力を籠めるような体制になる。

「奥義(ケヤキ)(ヤナギ)ッ!!」

「パンダチョウビ+ハナフサッ!!」

 私の連続蹴りに対して、連続刺突の技か!?

 ソライのくせに対応している!!

 早いし私のハナフサを対応するレベルで威力が高い!!

「「うおおおおお!!」」

 ゾンガイさんと同レベルの相手をしている!!

 連続蹴りと連続刺突!!

 どれだけ蹴っても、どれだけ切っても互いの攻撃ではじかれ合う!!

 一蹴り繰り出すとそこに刀がスッと出ている!!



「ハナビちゃん!!」

「!?」

 私の横にいつの間にかハナビさんが雷を纏った戦隊ヒーローものの、ような蹴りのポーズを構えている!

 技を出しているという隙を狙われた!

 ハナビさんはロボットであるがゆえに呼吸がないから感知ができない!

 その特性を利用されたッ!!

「雷撃蹴り!!」



 だが……。



 私だって味方はいる!


 

「高達流闘術!!」

 ニチはハナビさんの後ろにすでにいる!!

 蹴り技はすでにハナビさんへ繰り出されているぞ!!

 これでハナビさんに当たって状況は好転する!!

「ニシキッ!!」

 


 


「『鏡』の歯車。幻影投影。」



 


 ニチの攻撃はハナビさんの身体を貫通する。

 まるで蜃気楼のように。



 そもそもハナビさんがそこにいないように……。

「「な、なに!?」」

 驚いている場合じゃない!

 気を抜いたら下にいるソライに刺される!!

 まずいぞ!ハナビさんはどこにいる!?



「もっと上だよッ!!雷光撃ッ!!」

 私の頭上にまばゆい光が入ってくる!

 網膜に焼き付こうとする雷の一撃!

 完全に私の視覚と行動を潰した一撃だ!

 しかもハナビさんの落下速度が相当速い!

 


 ガードしようにも先生の一撃の後遺症でガードは難しい!!



 おそらく攻撃をよけてもユウジとユミさんの攻撃が来る!!




 ――間一髪か!?








 いや、まだ諦めない!

 最初に倒すべき相手は……ソライだ。

 


 その連続刺突技を破る手立てがある!

 デメキンの体制に入る。

「高達流闘術!」

「いまさら何をしようと!!」

 殴ろうにも空中だから踏ん張れない?

 蹴りを相殺するレベルの剣術で、上からは雷で回避不能?

 


「と思わせて!」

 殴るなんて考えてないよ。




 馬鹿だなぁソライ、雷は金属に当たるものだよ?

 ソライの刀は何製だったかな?




「へ!?」

 雷を放とうとしているハナビさんの足を掴む。

 それをそのまま私の足元で連続の刺突しているソライへ投げつけると……。

「ちょ!?まず!?」

 ハナビさんの雷がソライの刀めがけて収束していく!避雷針の要領でね!!



「ぎゃあばババババババババ!!」

「お兄ちゃん!!?」

 


 ソライは仲間であるハナビさんの雷で、感電していく!!

「やりましたね!」

「ええ!!」

 地面に着地し、ニチとハイタッチする。

 万歳ストーム戦で、武山冒険社は『個』の軍団だって聞いていなきゃやばかった。

 つまり統率しているべき存在の『サイム』がいなきゃ、彼らの連携に必ず穴がある。

 そして本来、仲間である『ニチ』と敵対しているから、その分の連携も崩れている!

 だから最初っから奇襲や連続攻撃で、悟られないためにそれらしく見せなければならないってことだったんだ。




 ――残り4人。



 だが一番厄介なのが残ってる。

 創造主という何でもありで不鮮明な存在が。

 彼を倒さなきゃ勝ち目がない。

 


 


※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



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本日のヒトメさんによる被害/買い物

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魔王城庭園:半壊

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