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【完結】無双無敵少女は超超超絶な青春を諦めないッ!!  作者: ラクルドゥ
第九章『心という道のりと仲の悪い少女』
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第161話『スクープの少女』


 取材ってことは上の図書館フロアにいるはず!



 外の通路を慎重にわたる。

 ただ私には少し不満があった。

「まさか、パンダチョウビが使えなかったなんて初知りよ!」

「すみません。

体質というか人種的に使えないんです。

私は拾壱~拾伍匹目以降は使えず、代わりに開発したのが拾陸~弐拾匹目なんです。」

「あ~鬼人って確か筋密度と骨密度が人と違うって、生物か何かの教科書に載っていたわね。」

「ええ、私はパワー特化であんたはスピード特化なんですよ。

微々たる違いですけど、私達は同じ流派でも使い方が若干違うんです。

私はスタミナが少ないですが、骨密度の関係で防御力はあんたよりも上です。

あんたは見た感じスタミナが多く持久戦向けですが、防御能力は技術だよりなんですよ。」

 なるほど、私と初めの一戦で予想だにしていない使い方があったのはそのためか。

 攻撃の通りの悪さもこれで合点が行く。

 それにスイホウガン、パンダチョウビを始めとした拾匹目以降は素早く繊細な動作が必須になってくる。



 ――同じ高達流闘術なのに、個人差分でアレンジしたんだ。



 ああ、これで合点がいった。

 そして私の技とこいつの技。

 2つの技の差異を組み合わせれば、このクソトラップ地獄から抜け出せるかもしれない。

「教えて、一気に3人を仕留める技ってのはどんなの?」

「簡潔に言ってしまえば……。」



 







 技の概略を聞いて確信する。

「私の技と組み合わせたら、4~6人一気に倒せるかもしれない。」

「ほんとですか?」

「ギリギリだけどね。それに襲ってくるとしたら……。」

 図書館前の、空中回廊。

 ここは意外に開けていて、条件が整っている。

 そして私たちが今目を離した隙ならIdの前行動が妨害されない!



 彼女が羽ばたくための条件が全て揃ってる。



 図書館の扉を開こうとした瞬間、目の前に羽が迫っていく!

 それを手で押し払う!

「来たわね!マロンちゃん!」

 のこのこおびき出された私達を笑う、鳥の少女。

 取材するっていうのはやりやすいフィールドへの誘導!

09(モノ・バード)Idアビリティ『フライアゲイン』ッス!」

「これが肉体変化のIdですか。実に興味深い。」

 ネイビーさんはあの本の著者だったな。

 ここまで、変化することに驚いているなんてマロンちゃんは相当、強い能力なんだろう。

「行くッスよ!」

 


 ――マロンちゃんは羽ばたくと同時に、羽を飛ばしてくる。

 



 ん?羽と同時に何かを飛ばしてくる……。

 糸のトラップ……。

 まずい、どこぞの怪盗との闘いを思い出す。

 あの時はとんでくるシルクハットを破壊してひどい目に合った。



 だとしたらこういう時がチャンスなんだ!



 相手が自分が強いと思っている手札を見せた時!

 予想だにしない一撃が勝敗を決する!

「いまだ!高達流闘術!パンダチョウビ!!」

 片手にニチの手を持ち、私が空中に引っ張り上げる!

 目の前にあるおびただしい数の羽を抜けていく!


 

 中には折り紙や、ワイヤーが付いた明らかにやばそうなのを突進で突き飛ばしマロンちゃん……。

 いや、そのかぎ爪にしがみついているナナナちゃんをひっとらえる!

「なななななな!?」

「何なんっスカァ!?」

「行くよ!ニチ!」

「ええ!ヒトメ!」

 背の小さいナナナちゃんをニチへパスする!

「「高達流闘術!」」

 私はパスした反動を利用して手刀の構えを取りマロンちゃんへ放つ!

「弐匹目!リュウキン!!」

「ぐぇア!?」



 そしてここからがキモだ!



 ニチがナナナちゃんの関節を抑え込む。

「むぐっ!?」

拾捌匹目じゅうはちひきめ!ジキン!」

 ナナナちゃんは空中で抑え込まれた状態で顔が真っ赤になって骨がバキバキいう音が聞こえる。

 これを聞いた時は驚いたが納得もした。



 こいつが開発した技『ジキン』。

 これは簡潔に言ってしまえば柔道の寝技と投げ技を合体させた、グロテスクな技だ。

 全身を使って相手の骨や関節を、包み込むように抑えて破壊していく。

 そして今のナナナちゃんのように白目を向き、相手の抵抗ができなくなったと確認するや否や……。

「そこ!飛空艇の道の裏に双子!」

「了解!」

 新たな標的へ、気絶した相手を射出する。

 ようは寝技から投げ技を行い別の相手も攻撃する、多人数の相手も対処するおぞましい技なのだ!



「ぶっ飛べ!!」



 ナナナちゃんは気を失ったまま、双子へとぶつけられる!



「「んぎゃあーーーー!!」」

 衝突した双子はナナナちゃんと共にすってんころりんと、泡を吹いて道へ横たわる。

 さて、そんな様子を見たらブレインで能力の持たない、双子達の妹であるユウダチちゃんが白旗をあげる。



 残り1人、新聞部部長ヤヤさんだけ。



 そう気づいたときに、気が付く。

 目の前に紙飛行機がよぎる。

 ただし、添付されていたのは毒やダイナマイトなんてそんなものじゃない。

「な、なにいいいい!?」

 それは生物!

 それもこの種族の名前は小型のキメラさんだ!

 蝙蝠の翼にライオンの顔!竜の胴体としっぽ!

 しかもただのキメラさんじゃない!

 


 明らかに火薬と薬物を混ぜたような臭いがする、球体のどでかいお腹!



 紙飛行機にはこう書いている。

『リトルポイズンボムキメラをあなたに。

ヤヤより。』

 これは圧倒的にまずいぞ!

 こいつは倒していいタイプの敵か!?触れていいのか!?

 完全に初見の敵!

 いままでこういう敵は接近される前に、コメットで撃ち抜いて来た。

 ここまで接近されたのはまずい!

 爆発するタイプの敵を攻撃した場合、それって爆発するんじゃ!?

 それも名前からしてこの敵は毒持ち!

「くェあ!」

 あと生物だから、攻撃もしてくる!

 噛みつこうとするのを、ササっと体をねじって避ける。

 




 ――視界の端に笑うヤヤさんがいる。



 飛空艇の裏に隠れていたのか!!

 私の手を握るニチの方にも、多頭の鳥さんが群がっている!!

 あっちの敵は酸臭い!

 二通送られていたのか!?

 


 ここでこいつらを攻撃するか悩んでいるうちに状況は悪化してしまう!

 空中で浮遊している時間にも限りがある!

 金魚モードの制限時間が終わったら落ちてしまう!



 勝つことは簡単なのに!なんとかしなきゃ!なんとか……。




「仕方がありません。

(エンカウンター)(・ブック)Idアビリティ、サモンワード!」



 


 この声は、ネイビーさん!?

 なんだ!?本を開いてる。

 その目には呆れにも見えるけど、闘志のようなものもある。


 

「【返送:持ち主に送り返すこと。】」


 

 そうつぶやくと、辞書から【返送】の文字がペリッとめくれて宙を揺蕩う。

「その手紙に対してお願いいたします。」

 宙を揺蕩う【返送】の文字はコクッと頷いているように見える。

 まるで文字が意思を持っているように、動き回ってる。

 その【返送】の文字はゆらゆらと、モンスターさんたちが括り付けられている手紙へとやっていく。

 その瞬間とんでもないことが起きる。

 いや、文字がひとりでにペラペラ動いているだけでも、とんでもないことだけど。



 いままで私の目の前にいたキメラさんが消えたのだ。



 いつの間にかキメラさんは消えて、そして……。

「きゃぁ!?」

 ヤヤさんの恐怖する叫びが聞こえた。

 見てみるとヤヤさんは、へたり込んでいて目の前にはさっきまでいたキメラさんがいた。

 そしてニチの方へ群がっていた多頭の鳥さんもヤヤさんへ瞬間移動される。

 


 これはいったい……?



 モンスターさん達はヤヤさんへと標的を移す中。


 

「【編集:複数の書物や画像、映像作品などを切り貼りしてまとめる作業。】

少々広義的な意味にはなりますが、あのモンスターを対象にお願いいたします。そのお腹周りだけでいいので。」


 

 ネイビーさんが続いて読み上げた言葉と共に、新たな文字が宙を舞い、ヤヤさんへと近づく。


 

 するとモンスターさんの毒や爆弾が入っていたと思わしきお腹がすっぽりと消える!

 


 今なら!!

 ニチの手を引き金魚モードギリギリの時間だが空中を蹴り、ヤヤさんに迫るモンスターさんへ向かって突き進む!

「「リュウキンッ!」」

 モンスターさんのお腹をぶち抜いて、その生命活動を暗闇に染める。

 つまりはいつものことだけど、死んだのだ。

 


 その血しぶきをあげてヤヤさんは苦笑いをして、両手をあげる。

 恐らく今は能力を使いすぎた結果、ペナルティで言語野に異常が発生しているんだ。

「そして私は敵の対象を鮮やかに処理……。」

「最後の手柄はネイビーさんではないですか?」

「は?……あ、た、たしかにそう、かも。」



 ニチがネイビーさんへ駆け寄る。

「ネイビーさん、さきほどの技は何ですか?」

「あれですか?

あれが当方のId。

原典は『言霊』、あるいは『引き寄せの法則』。

(エンカウンター)(・ブック)Idアビリティ『サモンワード』。

言葉を召喚し力を貸してもらう能力です。」

「言葉を召喚??」

「はい、こちらの時点に限らずありとあらゆる文字を召喚し、その文字の皆様へ頼むことで行使していただいております。

文字の皆様に触れた道具や生物などはその『文字』の通りの現象に巻き込まれます。」

 文字に頼む??よくわからないけど、なんだかすごい能力だ。

 だが忘れてはいけないのが、これはIdということ。

「ペナルティは?」

「当方の視力が一時的に低下あわせて若干の色盲と、Idを行使した際ページを開きっぱなしにしなければならず別のページの文字様は召喚できません。

さらに文字に失礼な態度をとるということを聞いてくれず、自分に跳ね返ってくることもあります。」

 ああ、だから()()()()と辞書で同じページに書いているであろう文字ばかり出てきたのか。

 万能な能力かと思いきや制約多いなぁ。

 現に見えていないのか、私ではなくニチの方を向いて話しているし。

「まさかId持ちだったなんて……。

もっと早く助けてくれればよかったのに。」

「とあるやんごとなきお方との関わりから、発現した力です。

便利ですが、少々過ぎたる力ですので普段は傍観しているのですよ。」

 少しため息をした笑顔のネイビーさんはヤヤさんに近づく。



「では色々と荒した分だけきっちり働いてもらいましょうか。」

「……え。」

 

 

 ヤヤさんのひきつった顔が、その後の展開を予想するには容易だった。

※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



 ■■■ ■■■

本日のヒトメさんによる被害/買い物

 ■■■ ■■■

ヤヤさん:地獄の掃除

ナナナちゃん:関節ボロボロ

マロンちゃん:気絶

双子:気絶

ユウダチちゃん:地獄の掃除

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