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【完結】無双無敵少女は超超超絶な青春を諦めないッ!!  作者: ラクルドゥ
第九章『心という道のりと仲の悪い少女』
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第158話『天空図書館の司書少女』


 私達に深々とお辞儀をしたこの人は誰だ?

「ネイビーさん!?お久しぶりです!」

「これはニチ様、お久しぶりでございます。」

 恋敵になぜか挨拶をしている。

「この人は?」

「以前利用した時に、お世話になったネイビーさんです。」

 そういえば利用したって言ってたなぁ。

 この人がそうなのかな?





「申しおくれました、当方の名前はネイビー・トパーズ。

この天空図書館の管理をしているトパーズ家の司書です。

よろしくお願いいたします。」

 ネイビーさんか……。

 なんだか綺麗な場所に綺麗な人を見ると、写真撮りたくなるね!

 この人で写真集出したら恐らくバカ売れすることは間違いないレベルできれいだ!

 私がもし本屋に行ってこの人が表紙だったら、確実に手に取っちゃうよ!

「あの私は……。」

「高達ひとめ様ですよね?

あなたのことはサイム様より、お伺いしております。」

「サイムのことを知ってるんですか?」

「ええ、かつてそちらにいるニチ様と共にサイム様は、貴女のためにここに訪れたのですから。」

 ん?どういうこと?

 私が疑問に感じていると、トパーズさんは手を出して天空の渡り廊下へといざなう。

「歩きながらお話いたしましょうか。

あなた達にはこの世界は、あまりにも疑問が多すぎるでしょう。

さぁ、こちらへ。」

「「あ、はい。」」

 そう言いつつネイビーさんはスタスタと歩き始める。





 ふわふわとした材質の空中回廊を歩いていく。

 高所恐怖症だったら恐らく失禁物の光景だろう。

 手すりにつかまらなきゃ、落ちてしまいそうだ。





「かつて約16年ほど前、サイム様達はかつて『蘇り』について研究するためにここへ訪れました。」

「蘇り?なんでそんなものを?」

「ヒトメ様、あなたを生き返らせるためにです。」

 え?私を?

 それを聞くと隣の恋敵はため息をつく。

「つけあがらせるから言いたくなかったけど、故郷を飛び出した理由はあなたを生き返らせる方法を探すためです。

だから私とソライさん、サイム君は旅に出たんです。」

「……そう、だったんだ。」

 なんだか複雑な気分だ。

 隣にいるのは私の彼を取った人なのに。

 そいつが私を復活させようとしていたなんて。

「ただ結果は芳しくなかったですけどね。」

「つまり、見つからなかったの?」

 ネイビーさんは、頷き。

「はい。生き返りの方法は見つかりませんでした。

()()()()()ではですけどね。」

「完全な状態って?

不完全な状態では行けるってこと?」




「たとえば不完全な状態で死体を動かすとゾンビやアンデットになったなどの事例はありますが、あれらは自我のない人型の腐肉です。」

「でも私は呼吸をしてるけど?」

「ええ、それ以外にも不完全な状態や復活できるとしたらという、可能性のものはあります。

この世の理から外れた力『Id』を使い、蘇らせるなど。」

 Idなら復活できるってことは私の力で復活したのかな……?

「最後にあり得るとしたらですが、とある特殊なアイテムを使った荒業……。

抜け道みたいな方法で、死者の記憶を他者に転写する方法があります。」

「そんな方法あるんだ!じゃあそれを使えば不老不死ってこと?」

 恋敵は歩きながら、足を引っかけようとして私は思い切りそれをまたぐ。

「馬鹿ですね、そんな都合のいいものじゃないんです。

それにそのアイテムは恐らくもう無いですし、あんたの蘇りとは恐らく違いますよ。」

 この態度やっぱりイラつく。

「っていうか、なんでないって言えるのよ。

お前はそれを見たことがあるの?」

 


 


「ええ、見たことがあります。

その道具の名前は『黄泉戻しの天筆』と呼ばれている道具なのですから。」




 

「え……それって……。」

 確かこの前、エイドスドアルームで命を落とした私の自称弟子レイトさんが、使ったかもって、こいつ騒いでいたような……。



 もしかして、レイトさん。

 あなたは私と同じように、生き返っているんじゃ……。


 

「気が付きましたか?私がなぜあの時、騒いでいたのか。」

「……。」

 私達がそういう風に話しているとネイビーさんは足を止める。

 目の前には豪華な装飾の扉がある。

「さて、つきました。

ここから先は図書室。

お話は厳禁です。」

「あ、はい。」

 そういえば、図書館だった。





 扉を開かれるとそこにあるのは大量の本、本、本。

 本と本棚の山々だった。

 ここは一般人も入れる閲覧室なのか、ちらほらと人もいる。

 ネイビーさんはカウンターへと歩き、とんとんと指で何かを突っつく。

 どうやら高級なノートのようで私達の言語でこう書かれている。

『何をお調べいたしましょうか?↓にお書込みください。』

 まずはデートスポットも気になるところだけども、まず初めに調べることは。

『魔国について。

蘇りについて。』

 その下に恋敵も書き込む。

『福音の大罪について。

エイドスドアルームについて。』

 そう書き終えるとネイビーさんはゆっくりお辞儀をして、私達をここで待っているように椅子に座らせる。

 カウンターから出て、どこかの本棚へと速足で去ってしまう。

 




 


 しばらくしてワゴンに数冊の本を運んで帰ってくる。

 ショーワ街のと違ってアナログだけども私はこういうのが好きだ。





 まず、カウンターに並べたのは4冊の本。

 しかもなぜか私達の言語で書かれているものばかりだ。

 どこで発刊しているんだ?こんな本。

 並べた本に本屋さんで見られる本を紹介するホップを並べられる。

 左から

『魔国についてのバイブル。

地理や習慣、法律、デートスポットまで完備。』

『蘇りについて、天筆のことまで完備。』

 気が利く~!

 欲しい情報全部載っているじゃん。

 特にデートスポット。

『福音の大罪に関しての本はございませんでした。

ですが13の大罪に関する書籍はございました。』

『エイドスドアルームに関しては。

かつてニチ様とサイム様にお読みになった本を、再度お勧めいたします。』

 恋敵も本を手に取る。

 最後に、先ほどのノートにネイビーさんは筆を走らせる。

『ごゆっくり読書をお楽しみください。』





 さて……読むか。







 まずは『魔国について。』



 ◆◆◆

 


 ――ドソウ魔国(Doso Magic Kingdom)


 

 差別によって移民を余儀なくされた人々らによって結成された多民族国家。

 その中で極めて聡明で筋力や不思議な力を操る、『魔王』と呼ばれる王が統治する独裁国家でもある。

 国土には毒沼や切り立った岩山などが多く環境上厳しい側面がある反面、軍事力や特産品などが多く貿易面に関して優れている。

 また畜産や農業などの一次産業に関してはやや厳しく、現在農民などのノウハウを育成に力を入れている。

 しかし上記の歴史上の観点から貿易取引に応じる国は少なく、敵対すると容赦ない冷徹さを垣間見えることも多い。

 主な宗教などは定まっていないが、民衆は元移民であるためか多神教である。

 文化的にも様々なものが混入しており、民衆は多言語を喋り識字率は低い。

 なお、この国では人口の関係から重婚を推奨している。



 ◆◆◆



 へー魔王ってのがいるのか……。

 あ、こっちに載ってる。



 ◆◆◆



 ――魔王について。



 魔国を統治する王。

 本名は『ネンド・トリガティ・キングコアス(Nendo triggerty kingcoreus)』

 別名『クリアアイズ・デーモンキング(Clear eyes Demon king)』

 民衆からは『クリアキング』とも呼ばれている。

 長命種の王で、150年以上は生きている。

 先の世界大戦で代替わりを果たし就任から、100年ほどである。

 大きな角を持ち、目を開かず日々を生活している。

 目を開かずにすべてを見通すかのように行動する彼のことを、人はいつしか『透明な目』を持つとされているところから、別名がつけられた。

 先代魔王とは違い、穏健派であり傍観主義な一面がある。

 民衆からは慕われているが、彼へ敵対的な態度をとる家臣も多い。

 100年間の絶対的安寧を取る手腕から極めて政治力は高いが、その素性はあまり明かされていない。

 穏健派でありながらその政治力は各国から、経済的、軍事的、文化的、多くの外交上の側面から脅威と認定されている。

 


 ◆◆◆



 なるほど、魔王ってのはなかなかやり手で穏やかだけど食えない感じね!

 次の地理や文化を知っておこっと、デートコースも載ってるみたいだし。

 


 ◆◆◆



 ――文化について。



 服装は自由だが、差別を受けた移民の集まりだったので顔を黒い布で隠すものが多い。

 食文化は主に豆とパンが主食である。

 特に特産である豆を煮たスープは濃厚なうまさがある。

 家屋のほとんどが木造と石建てでありながら、住居には防犯用の出入り口や罠がしっかりとかけられていることが多い。



 ――主な観光名所。


 

 自然遺産が多く、中でも自然と文化遺産を融合した『トリガティ山脈自然公園』にある『トリガティ魔聖教会』は聖職者だけではなく、一般人も観光のために訪れる人は多いです。

 山頂に建てられたここからは魔王城を取り囲む砦として建てられたこともあり、城と城下町、雄大な自然を見下ろせます。

 さらにその近くにある城下町には、様々なスイーツを扱う店が多くあり甘さが控えめなスイーツをご堪能できます。

 


 ◆◆◆





 スイーツ!それに雄大な自然!美しい文化遺産!

 こんなのワクワクするしかないでしょ!


 





 ――さて、『蘇りについて』も読むか。



 ん?これ共同著者の欄にネイビーさんの名前もあるぞ。

 だからさっきの奴詳しかったんだ。

 

 

 ◆◆◆



 ――蘇り、生き返りについて。



 この世界に原則、生き返りという物は存在しない。

 たとえ異なる過去などの時間軸から死ぬはずだった人物を救ったり未来に連れてきたとしても、その人物は『即死』したり『死に関する未来』だけは決して変わりはしない。

 また、医療などで肉体的に脳死状態から生き返らせたとしても自我などは無いゾンビになり、周囲をうろつくなどの生前の行動を繰り返すだけの躯になるらしい。

 さらに死をどれだけ拒絶しようとも、魂魄は徐々に世界によって摩耗と剥離を繰り返し、結局のところ死ぬ。

 

 

 ――情報提供者T・S氏の言論より抜粋。



 ◆◆◆



 ん?じゃあなぜ私は生きている?

 ゾンビなの?でも自我だってちゃんとある……。

 次のページをめくる。



 ◆◆◆



 ――不老不死について。



 不老不死と呼ばれるものは存在しうる。

 それは世界を創造したものだってわからないであろう秘術であり、科学、魔法、自然治癒などが考えられる。

 ただし先ほど述べた様に魂魄にも寿命は定められており、せいぜい3000~4000年が、生命活動における限度時間だとされている。

 所詮不老不死など、4000年の寿命まで生きれるものであり結局のところは死ぬ。



 ――情報提供者T・S氏の言論より抜粋。



 ◆◆◆



 不老不死なんかどうでもいい!

 問題は生き返りについてだ。



 あ、これが天筆か!



 ◆◆◆



 


 ――黄泉戻しの天筆について。



 ここで著者は情報提供者T・S氏から面白い話を聞いた。

 この世には『黄泉戻しの天筆』という道具があることを知った。

 『黄泉戻しの天筆』とは、ある場所に住む機械生命体の祖が作り出した道具だ。

 形状は青い水晶と、金属の天秤の様なものが着いたペンのようなものだ。

 これは概念の隙間をぬって、行使されるような道具であり、世界の均衡を揺るがしかねないものらしい。

 


 


 概要として。

 これは正確には蘇りや生き返りの道具ではない。

 正確には、世界に生まれてくる赤ん坊の中から無差別に『記憶を転写』し続けてしまう道具だ。

 使ってしまったが最後、永遠と生まれてくる赤ん坊へ何百何千年も対象とした人物の記憶を移し続ける。

 写す際に生者の生命エネルギーを糧にして、対象とした人物を記し続ける筆。

 なお記憶は写せても魂までは写せていないことから、『生き返り』の概念の隙間をぬって使用できる。

 魂は別物であり、記憶を写されても全くの別人である。

 そしてこの記憶がどの割合を思い出すかどうかは、極めて不安定であり生者の生命エネルギーを吸うだけの場合もある。




 



 ――情報提供者と筆者も同調したことが、これは禁忌そのものの道具だ。




 


 

 ――情報提供者T・S氏の言論より抜粋。


 

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