第150話『殴り合う連携少女』
私達の掛け声とともに構えられる銃の音!!
接敵して殴ろうにも、この隣にいる寝取りカス女と歩調を合わせなければならない!
それも金魚モードの時間は、めちゃくちゃ短く制限された中で?
「「きっつ……。」」
そしてお前と同じ反応をしたくない。
弾丸は私達へと向かっていく。
回避するのも面倒くさい!
一瞬だけ金魚モードになって撃ち落とす!
「高達流闘術!!タンチョウ!!」
地面を思い切り踏みつけてとっさに隆起させ、迫ってくる弾丸をすべてはじき返す!!
「はッ?」
だが地面が隆起していく中で、マヌケにも回避しようとした恋敵の肘がこつんと当たる!
「なんでこっち見てないのよ!」
「やるなら言ってくださいよ!」
「個より群!協調性無き行動には負けない!」
隆起した地面を曲射して超えてきたのは、フラッシュグレネードだ。
「ダーーーハッハッハ!!これでおしまいだ!!」
「「まずい!」」
音と光が視覚と聴覚を奪う!
この状況、自然と触覚や呼吸や空気の微細な振動を探知できる、金魚モードを使わざるおえない!
制限時間が削られる!おまけに避けるのが難しい!
考えられている、相手が遠距離でこちらが近距離で一方的なのもそう。
おまけに厄介なのが、ここは森だということ。
周りからは小さい小動物でもいるのか?
無駄に酸素量が多く相手が落ち着いているせいか、金魚モードになっても探知が難しい。
状況を利用し極めて巧妙に追い込まれている。
狩りで追い込まれたうさぎのように!
「慢心、それなんですよね、いつもあなた方が負ける敗因ってのは。」
視界はさえぎられ、隣の女の声しか聞こえない状況の中。
冷静に私の恋敵がつぶやくのが聞こえた。
空気の振動からわかる。
っていうより隣の女が振動している!?
これは足踏みか?
足を思い切り踏み込む技は、私も使える。
でも、こう……足を高速で足踏みして全身の筋肉を振動させている!?
「高達流闘術!」
「!!?」
まずい!!この位置にいては何か危険だ!!
恋敵が私ごとぶちのめそうとしてきているのがわかる!!
空気の振動からわかる!!
足踏みに突如として『傾斜』が加わっている!!
体全体が斜めに倒れてサイクリングとかのレースで自転車をカーブで倒すように、一気に身体の重心を変えている!!
「拾漆匹目!トサキン!」
私は野性的な思考に身を任せてとっさの判断でジャンプをする。
聴覚が散漫になった状態でもこれははっきりとわかる。
それと同時に傍にあった木や草花が押しつぶされて倒れ、削られる音が聞こえる。
奴は私の周りを移動しながら、速度を乗せて蹴り、踏みまわしながら相手の銃弾を『破壊』している。
走っている分の速度を乗せている蹴りのために、威力がとんでもなく高い!
こう表現したほうがいいだろう飛んできた弾丸を含む『環境』を『踏んでいる』のだ。
木とかの障害物も踏んで、粉砕している!
円を書くように、走り蹴り踏み伏せ、破壊する。
これがこの女が考えた17番目の技トサキン。
ジャンプしなければ私が砕かれていたかもしれない。
目が慣れたころに映ったのは全ての木々が倒れ伏し、土がむき出しになった私達の場所。
そして円形の軌道をしたおびただしい量の足跡と、その多くが気絶した万歳ストームと、倒れ砕かれた木々ばかりだった。
ただ倒れている万歳ストームの中に3名だけ、立ち上がって笑っているものがいた。
「やはり、強いな!
だがここから打ち砕く!準備はいいな!おやっさん?」
タマシイさん。
「フォフォフォ……小僧共!油断をするな!特に出戻り!」
あれはたしかカンミのおじいさん。
それに……。
もう1人はヘルメットでわかりづらいけど、おそらくウサギの獣人。
身長は170㎝くらい。
シュッとしているが、筋肉質の肉体。
全身が迷彩柄の防具で覆われており、総重量からして相当なものだとわかる。
その男にタマシイさんは目配せをする。
「吉田ァ!よくぞ戻ってきてくれた!」
「吉田ですッ!こんなの戻ってこないほうが万歳ストームの名折れであります!」
吉田と言われたその獣人は恋敵を指差す。
「久しぶりであります!草島さん!
ここであったが19年目!叩きのめしてやるであります!」
「うわっ!?よ、吉田君!?おっさんになりましたね!?」
「これでも妻やご近所さんや常連さんからは若いって言われてるであります!」
「そういえばハナビちゃんが妹と結婚したって言っていましたね……。」
「誰?お前の元カレ?」
私がそう言うと、あからさまにイラついた顔で違うという顔をする。
「違います!あの男は私の元クラスメイトで、そして永遠のライバルです!
なぶり続けたいくらいには、うっぷんがたまってます!」
お、おおう。
この剣幕で言うってことは相当イラついた関係なんだろう。
流石のMs.恋愛脳な私も、さすがにこれを恋愛に持っていくのは無理だ。
「この3人で倒すぞ!!」
「「おう!!」」
くぅう!この感じここからが本気か!?
面倒くさい!
前方3名。
すでに陣を構え始めている。
動きがシームレスかつ極めて整っている。
そして地味に私達から距離を取っている!
連携をとればとるほど厄介だ!
ならばこっちも!
「おい!恋敵!!
合図をしたら私に向かってデメキンを撃ちこめ!!」
「はぁ!?」
「いいから!!」
相手は待ち伏せしていたせいか、そこらへんに大量の兵器を構えており、俗にいうロケットランチャーやRPGなどの兵器を構えている!
火力で押し切って爆炎で逃走し有利なフィールドへ持ち込もうって魂胆かな?
させるか!
「万歳式戦術!」
この銃火器の量!
火薬のにおい!
私達が見えているよりも恐らく武器が多い!
彼らの後ろに恐らく巨大な大砲みたいなものがある!
「「「赤城!!」」」
大砲とランチャー、RPGから大量の砲弾や弾丸がはなたれて行く!
このコンマ数秒!
このコンマ数秒にかける!
「やれッ!!」「デメキンッ!!」
ほぼ同時期に私は恋敵にデメキンを放ってもらう!
その打ち出されたデメキンを足場にして前方へ押し出される!
それの勢いに身を任せて両脚を曲げてデメキンを放った拳を足場にする!
名付けてデメキンカタパルトだ!
金魚が2匹揃ったらどういうことかわからせてやる!
このデメキンの速度と威力を纏いながらこの一瞬の間だけの、金魚モードでこの技をぶっ放してやる!あえてデメキンとの合体技ならばこういうべきだな!
「壱+陸匹目!!デメ+ランチュウ!」
弾丸を砕きながらとんでもない速度で接敵する!
この威力で放たれた私自身という弾丸の風圧が、相手の弾丸をはじき叩き潰す盾になる!砲撃なんて目ではない!
「うぉあ!?」
ありえない速度で接敵した私に驚いているだろう。
このわずかな隙だ!
人間弾丸と化した私は右手の拳を構えて、タマシイさんを殺さないように全身でブレーキをしつつ殴りつける!
だがタマシイさんを殴りつけている間に両脇にいたカンミさんと吉田さんが転がりながら、この速度の私に冷静に銃口を向けている。
大変よく訓練されている。
誰が何をどうやられたらどう対処するかを、思考を挟まず条件反射的に動いている動きだ。
優秀過ぎる、恐らく大罪を3人相手にしているレベルだ。
――しかし私達が一枚上手だっただけだ。
「オラァ!!」
私は左手に握っていた恋敵を銃口を向けていたカンミおじいさんへ投げ飛ばす!
こいつが近くにいなかったら呪いの影響で、ここまで接敵できなかった!
この女が私の投擲武器だァ!!
喰らえ!
恋敵は私が降った勢いに乗せて、大きく蹴りを放つ!
「ニシキ!」
「うぐぉ!?」
そしてこの連撃の勢いに乗って弾丸が放たれるその寸前、私達2人は宙返りして貫手の構えを取る。
「「リュウキン!!」」
「ふぁ!?」
相手は受け身を取る間もなく、後方にある倒れた樹木へとぶつかるように転がる。
「う、ぐぐう……ば、ばんざ……い。」
「そして私は敵の存在を鮮やかに。」「戦闘終了です。」
「ちょっと!!私のきめ台詞取らないでよ!」
「んなものいらないでしょう!いちいち面倒くさい!」
「そういうかっこいいのがサイムを落すテクでしょ!」
「テクとか、そういうのに頼ってるんですか?子供っぽいですね!
ああ!ガキでしたね!」
「あ?お前は大人ぶって、彼氏をわかってなくて自然と疎遠になっていくような感じじゃない?」
「ア?」
「アア?」
と、喧嘩に突入し始めたところで呪いの影響で吐き気と苦痛が内臓をひりひりと伝う。
気持ち悪すぎ……。
「「オロロロォォ……。」」
戦闘のダメージと疲弊もあるけども、こっちの方がきついかも……。
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この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。
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本日のヒトメさんによる被害/買い物
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万歳ストーム:打撲