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【完結】無双無敵少女は超超超絶な青春を諦めないッ!!  作者: ラクルドゥ
第八章『心がぶつかり合う最上少女と最高少女』
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第140話『旅館での少女』



 イチちゃんとネリィさん曰く。

 どうやらパンタギアとエギレシアは友好的関係らしくビザとか特にないらしい。

 ただし3ヶ月以上の滞在が分かった場合、強制送還らしい。

 身分証明書を常に携帯が義務であり、小売店やどこであろうと抜き打ちでチェックをしてくるらしい。

 パンタギアの人であろうと、身分証明書携帯の義務を2回怠ると、即逮捕。

 5年以下の懲役、私達の国の通貨で約600万円ほどの罰金らしい。

 実際、この国の偉い人であっても逮捕されたというほどこの国の法律はかなり強固とのこと。

 それがここパンタギア共和国。



 門からパンタギア国境へ抜けて約1、2時間ちょっと。

 森の中を歩いて、みると奥の方に巨大な建物が見えてくる。

 バカでかいログハウスのようだ。


 

「サイム曰く、ここがその旅館だ。」

「でっか。」

 大きさは窓の数からして3階建てで、校舎と同じくらいの巨大な建物。

 ここがその旅館らしい。

「さて、そろそろ。

チェックインしてくるぜ。」

 ソライがチェックインしようとしてくると、イチちゃんがてくてくついていく。

「アタシも少し間取りとか調べるために行ってくる~!」

「イチジクちゃんついてきてくれるの!?ゲヘヘ、やったー!」

 私はロリコン(ソライ)の腕を取り押さえ、軽く捻りアームロックを実行する。

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

「パパン……。」

「手を出させないために私もついていく。

友達に手を出したら手がなくなるから、電車を待ってる時に白線の内側にいないと危険なのと同じだと知れロリコン。」

「へぇい……。」




 ドアをくぐると、木のいいにおい~!

 窓口に行くと、受付のおばあちゃんが出迎えてくれる。

 ソライがこちらの国の言葉で、何やらやり取りしている。

 途中で『TakeshiyamaAdventureCompany』という一部がいずれ私の苗字になる言葉を発して本当にサイムがここを予約してくれたと、小躍りする。



 そんな中、ソライがカギを受け取った後。

 受付のおばあさんがイチちゃんを見て、何やら驚き支配人らしきおじいさんを連れてくる。

「??」

 何言っているのかわからないけど、なんだかイチちゃんを見て抱き着き撫でたりしている。

 イチちゃんもそれに困惑している。

 なんだか泣いているようにも見えるけど……。

「ソライ、なんで支配人さんたちは、イチちゃんをなでなでしているの?」

「んん~~?

訛りが強くてわかりづらいけど、なんか数年前にいなくなった泣き虫?の娘さん?にそっくりなんだって。

いや、なんていうか……たぶん、人違いなんだろうけど。」

「へぇ~。」

「ああ、そういえば昔。

ここらへんで人が神隠しにあったって新聞か何かに載っていたなぁ。

すぐ近くの隣国のことだから、ぼんやりとしか覚えていないけど。」

 別の国でも物騒なことは起きるものだなぁ……。

「ちょちょ、っと!ぼんやりとしてないで引き離してよぉ!ヒーちゃん!」

「あはは。」

 笑いながらソライが事情を説明して私が引きはがす。

 どうやら訛りがひどいらしく、少し時間がかかったらしい。

 

 



 ◇◇◇

 




「まったく大変だったよ~!」

 みんなのところに戻り女子と男子に分かれて、部屋に入ることになった。

「さて!これで、ここで一泊できるわね。」

 みんなで廊下をずんずん進んでいく。

 階段を上り、絵画がかけてある扉を抜けて2つの扉がある部屋まで移動する。

「左が男、右が女子。」

「じゃあまたね~!」

「おう。」

「やっと休めるってもんよ!」

「みーも休むみ~!」

 みーさんがそう言って、私達と部屋に入ろうとしたとき、義兄である創造主さんがフードを掴む。







「みー、お前はこっちや。」

「みぃ~?」

 ん?

「みぃ~?じゃねぇよ。お前は俺らの部屋!はよこい!」

「ちょちょ、ちょっと待って!」

 私もみんなも唖然としながらこの2人を見つめる。

 大人も子供も、私も思わず目が点になる。

「あの?どういうこと?」

「「なにが?」」

 ん?え?えっと……。

「左が男、右が女子だ、だよね。」

「せやね。」

 なんだか、私の言葉で創造主さんもみーさんもなぜかきょとんとしている。

「みーさんは……右じゃないの?女の子だし。」

「こいつ、男だけど?」

「みーくんは男だけど?」



 ……。





 ……ん?え?





「もっかい言ってほしいんのだけど……。」

「みーくんは男だぞ?

ついでに年齢は20代前半(なお、リアルでこの年齢。)」

「年齢のことは言わないでほしいみ!」

「俺が小学生の時に、洗濯機に放り込まれてハゲ散らかした経験があるから洗濯機に恐怖症を覚えている。」

「あの時のお義母さんのあの顔を忘れんみ……。」

「好きなものはスティックチョコ類全般。若干依存症。」

「お手手が汚れないから好きみ!」

 いやいや、なんだか変に情報を多く言ってくれたけど……。

 え?男?

「え、えっと……。私達、女子の中に紛れていたけど……。

みーさん、男?う、うそだよね?」

「いや、嘘じゃないよ?

肉体的に生殖機能と排泄機能がないだけで、男だよ。

性欲の対象が女性で、種族がぬいぐるみに限定されるけど。

男やで。こいつは。」

「みー!だからこっちの方に行くのは普通なんだけども、ぶっちゃけそっちに一緒に行っても問題ないかなぁって……。

それにいままでみー『くん』ってさんざん言ってきたのだから、今更驚かれてもみー……。」

 

 


 

「……えええええ~~!?」

 嘘!?顔が整っていて、まつ毛長くて、サラサラロングヘアーで指が細いのに!!

 男!?

 しかも20代前半!?

 甘いもの大好きで、こんなにかわいいのに!?

 い、いや私が見ているのはみーさんにとっての人形体!

 みーさん本人はぬいぐるみのほう!

 そういう視点で見るとどうだ!?

 フェルト生地でボサボサ。

 色あせていて、かわいらしい見た目だけどもなんだか20年分の月日がたっているいい年した感じ……。

 う、う~~ん。

「あの恥ずかしいみ。」

「あ、ごめん……なさい。」

 やばい、男と意識したせいか、変に敬語が!

 今まで女子として接して過ごしてきた人が、男子と知っててショックが隠せない。






 

「とにかくあとでみ~!バイバイみ~~!」

 こんなにかわいいのに!何で成人男性なの!?





 ◇◇◇

 

 

 そんなどうしようもないショックを抱えながら、女子部屋に行く。



 おお、ネリィさんの家では靴を脱がなかったのにここでは部屋に入るなり靴を脱ぐタイプの旅館なんだ。

 流石に畳じゃなくて、フローリングの旅館だ。

 ログハウスのせいか本当にいいにおいだなぁ。

 この場には私、イチちゃん、ネリィさん、ヨゾラちゃん、ヒルさん。

 そしてハナビさん、ユミさんの6人だ。

 すでにくつろぎムードに入っているイチちゃんは一息を尽きながら、ヒルさんのその上半身にあるふくよかな部分をクッションにしながら座る。

 ヨゾラちゃんはゲーム機を取り出してハナビさんとユミさんと一緒にゲームをやる体勢に入ってる。

 ネリィさんは刀の手入れをしつつゲーム画面に興味津々な様子。

 私はイチちゃんとヒルさんに近づき、すでにコイバナをし始めようとしたその時。

 


 となりの男子部屋から『うぇーい』だの枕投げが始まったのを感じ取る。

 こういうコイバナをしようとし始めると、いつも男子共がうるさく邪魔をする。

 あっちの部屋にもいたよな?40代のいい大人。

 何やってんの?ほんと。

 一気に女子部屋の雰囲気がシラケる。

 ユミさんなんか苦虫を嚙み潰したように、舌打ちしているし。




 

 壁を破壊しない程度にしないとね。



「オラオラァ!!」



 男子部屋の壁を殴って振動し、男子共を黙らせる。




「さ、コイバナしよー!」

「「「おー!」」」

 私達のスーパーリラックスタイムが今始まる!





 ◇◇◇

 男子部屋、創造主アルゴニック(作者)の視点。

 ◇◇◇

 




「おとーちゃん、オレちゃん生きてる?」

「ああ、生きてる。命って素晴らしいなアサ。」

 楽しく枕投げをし始めたはずなのに。

 すでに男子部屋は『誰か死んだんか?』って言っていいレベルのお通夜ムードだ。

 とっさに振動を殺すために『音』の歯車を出さなければやばかった。

 あ、そうだ。

 やっておくことがあった。

 みーから俺の歯車回収しないとやべぇんだった。

 預けていたのは『空』、『情』だったな。

 今回、分断されてずっとほしかった能力はこいつらだ。

 移動自体は創造ではなく『終焉を司るあの歯車』で、空間を殺しながら移動もできたがやはり位置がズレたんだよな。

 ここまでくるのは極めて大変だった。

「みー、俺に歯車返してもらうぞ。」

「み、みぃぃ。」

 みーの鞄から俺の歯車を取り出し回収する。

 特にこの2体がいれば、不意をつかれん限りなんとかなる......。



 あ、そうだ。

 今のうちに聞いておかなきゃならねぇことがあるんだった。

『音』の歯車、で自分の周りを防音状態にしてみーだけに会話するように伝える。

 これでヒトメさんたちやユウジさえも俺たちの会話は伝わらない。

「みーくん、ちょい聴きたい。」

「み?」

「ヒトメさんたちは、別れ際に言ったニッちゃんについてどの程度、理解できたか?」

「てんでわからない状態み。ちんぷんかんぷんみ。」

「そうか......。」

 これはいい事なんだろうけど。

 不安だ。



 こうなったのには俺も責任がある。

 この世界で19年前。

 俺が誘い込んだ結果だ。



「ねえ、もしかしてその人ってさ。」





 


 ここから先に関して読者さんには、あまり教えられない。

 ただ結果を言うと、みーくんは俺達の母さんとかと同様。

 稀に見せる推理力というか推察力が高いところがある。


 



 



 

 とどのつまりこの厄介なゾッとする関係性を言い当てた。





 


 そしてその結果に俺は頷くほかなかった。

「や、やっぱり?」

「正確にはもっとやばいかもしれへん。

会わせたくはあるが、ニッちゃんは厄介極まりないんだ。

だから先に知らせて引き離そうとしたんだ。」

「そういうことかみ。

でもヒトメちゃんも同様み。

流石にどうにもこうにもできないみ。」

「腹を括るしかねぇよ。」

 みーも頷きあう。



 サイム、マジでお前次第だ。



 そう心に思いながらお通夜ムードの男子部屋で、義兄弟仲良く昼寝した。

※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



 ■■■ ■■■

本日のヒトメさんによる被害/買い物

 ■■■ ■■■

女子部屋と男子部屋の間の壁:微々たることだがヒビができた。

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