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【完結】無双無敵少女は超超超絶な青春を諦めないッ!!  作者: ラクルドゥ
第一章『心がときめく復活少女』
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プロローグ『その少女の名は高達ひとめ』

※本作品にはかわいらしい顔したソバカス少女のナチュラルバイオレンスな表現が多々出てきます。

それとなく『覚悟』を決めて、できるだけ『考えるな感じろ』の精神で読んでください!


 

 ――キィイイイイィィィィーーッッ!!





 けたたましく鳴り響く音、それは車輪がブレーキによって、地面とぶつかり合い巨大な摩擦と共に発する音だ。

 目の前に迫るトラックの眩い光。

 数秒後に地面のシミになっているであろうアタシ。

 それが今目の前で起こっている紛れもない現実だ。

 これが紛れもない現実。


 

 ああ、13歳…………短い生涯でした。

 顔も知らない父と母よ産んでくれてありがとう。

 育ててくれた店長さん達どうかお元気で......。

 それなりに楽しかったけど、過酷な13年間でした。



 これはあくまで死に際の願望なのだが。

 




 ここからアタシは本で読んだ『異世界転生』をしてほしい。

 少なくともこの世界よりもモンスターが弱くアタシでも無双できるような……。

 剣と魔法の世界で神様からチートスキルを貰うんだ……。

 そう考えたほうがきっとハッピーだ……。



 


 ◇◇◇


 


 


 目の前に衝撃的な景色が広がる。

 美しい水が流れ落ちる滝。

 空は極彩色に彩られていて、アタシの眼下にはきれいな虹色の森が広がっている。



「え......!?すごい!本当に異世界に来たんだ!」



 こう言うのってゲームみたいにステータスが出てくるよね.....。

 念じると目の前にお決まりのステータスが表示され。

 攻撃、防御、レベルすべてが【999】と表示されていてまさにチート状態だぞ!?

 しかも顔も超美形に生まれ変わっている!!

 ここからきっと現代の物とかを異世界人相手に開発して売って大儲けしたり、誰も倒せないような敵をあっという間に倒して驚かれたり、誰もとったことのない称号をあっさり取ったりするそういう冒険が始まるんだ。

 そして素敵な仲間に囲まれておいしい食べ物を食べるんだ。

 国を作るかもしれない!

 かっこいい必殺技で人気者になれるかもしれない!!

 スローライフもいいなぁ……。

 

 

 誰もが見ほれるような最上のステータスを持つ異世界転生を成し遂げたアタシはときめきを胸に一歩歩み出す。


 

 ここからこの世界はアタシの物だ!!



 ◇◇◇


 



「んな、都合のいい展開はあるわけないでしょ。」



 誰かにそう言われて、アタシは現実に戻る。

 


 


 トラックが迫ってきていることには変わらない。

 そう、あれは夢。幻想だったんだ。



 ――なんて儚い夢......。


 

 ――だが



 それとは別にもう一つ、信じられない光景が目の前に広がっていた。

 トラックが目の前で()()()()()()

 正確には()()()()()()()()()



 


 ――アタシと同じくらいの女の子が2トンはあろうかというトラックを、片手で止めているのだ!



「大丈夫?怪我ない?」

 少女は少し透き通った綺麗な声で振り返らずに聴いてくる。

 ボロボロの布切れの下にセーラー服を着た茶髪の少女。

 見た目は普通の少女が巨大な鉄塊を、しかもよく見たら前輪を浮かせるほど持ち上げ止めている状況に困惑しか無い。

「な、な、なに??これ......??」

「ん?あーーー確か……これは異世界トラックさんだね。

トラックに擬態している金属モンスターだよ。」


 

 人をシミにできるほどの質量を手に持つ少女は気さくに答える。

「こいつはモンスターで人は乗っていない。

道路に迂闊に飛び出した若者を好物としているの。」

 そんな存在がいるのか……!?

 アタシは少し感心していると、少女はとんでもないことをし始めていることに気がつく!




 

 ――――え......この人……歩いた......?

 トラックを片手で止めながら押し返してるの!?

 確実に歩いている!?






 

「トラックさんは車輪から出る特殊な音波を聞かせ、異世界転生の幻想を見せて注意を逸らし人を轢き殺しながら捕食することを目的としたモンスターだよ。」

 少女は依然解説しながら一歩一歩と進んでいく……。

 ちょっと重めの段ボールを持つような感じで……。

 解説も気にはなるが、この人の行動の方が明らかに遥かに常軌を逸している。

 異世界転生より明らかにこっちが現実離れしている!!


 

 これを食い止めてくれている彼女は誰なの!?


 

 そしてこの光景は本当に現実なの!?



 目をぱちくりとしていると、少女は軽く振り返る。

「ああ、ごめんごめん。

いつまでもトラックさんが目の前にあるのは怖いよね。」

 どう見ても現状、あんたの方が怖い!

 そう思ったのも束の間。




 

 少女の周り。

 『大気』の流れが変わったのが、肌から脳に伝わる。



「さぁって!やっちゃいますか!腕は落ちてるかもしれないけど。」

 少女が布切れをはためかせ、なんらかの武術の構えを取る。

 腕を見てみると輪ゴムを限界まで(ねじ)ったように、筋肉が脈動をしている!

 大きく息を整えると、力が入った足元から衝撃波のような風がアタシの髪の毛を揺らす!



「…………高達流闘術たかだちりゅうとうじゅつ

壱匹目(いっぴきめ)ッ!」



 体は陽炎に揺れ大地がうねる。

 汗は蒸気へと変わり、水蒸気が揺らめき金魚のように形へ変わり少女の拳に宿っていく。



 







「奥義………………デメキンッッ!!」











 ――――――――ッ!?











 ――――……。



 少女の構えから放ったその一撃。

 それは音速なんて生やさしいものではなかった。

 威力を形容するならミサイル。

 あるいは核弾頭。

 だが実際には、たった一発のパンチ。

 後ろにいたアタシが思わず後ろへ三回、転げ回るほどの爆風。

 衝撃から十数秒間、目を開けることができなかった。

 ただ凄まじい爆音と何かの破片から体を守るのに必死だった。



 ――――。


 

 ドクンドクンと自分の心臓の音しか聞こえなくなった。

 目を開けた頃には......。



 トラックが遥か彼方でまるで何かに食い破られるようにひしゃげて鉄の塊と化していた。

 遠方の雲が霧散し青空がのぞいている。

 少女は手を腰にやり青空をバックに立ち尽くしており、心なしか晴れやかだ。


 


 

 「あ、あ、あ…………『赤金魚(あかきんぎょ)』だ。

『血濡れセーラー服の赤金魚』だ!!」

 


 アタシの事故を目撃していたであろう通行中の中年男性が叫んだ。

 その名前には見覚えがあった。



 ◇◇◇



 それは図書館にあった胡散臭い一冊の本。

 この『ショーワ街』の伝説や噂話などが記載された本。

 著者は書輪(ふみわ) 街子(まちこ)という人物らしい。

 だがその本のあるページに妙な挿絵とともに書かれた伝説がある。


 

 内容はこうだ。


 


 ――――この街には”怪物”がいる。

 流れるような動きで拳を放ち。

 泳ぐように陸を蹴り、天を渡る。

 戦闘などは無く、蹂躙しか亡い。

 通るとこ、巨獣の死体の山が生まれる。

 森羅万象を食らい滅ぼす”最上”の赤き魚。

 真実の姿は少女であり、青春を愛するもの。

 その少女を人は"血濡れセーラー服の赤金魚"と呼んだ。


 

 その少女は20年以上前に心臓癌でなくなっており、伝説は尾ひれがついたものばかりかと思われてた。

 彼女は多くの危機に脅かされたこの町を幾度となく救った。

 それと同時に恐れられた少女の形をした怪物。

 挿絵には魚類特有の目をし返り血で真っ赤に汚れた拳とセーラー服を着た少女。

 そして背景には不死鳥のような鳥が描かれており何とも神秘的だった。

 


 ◇◇◇


 

 目の前の少女が恐らく……それ……いや『その人』……なのか?

 死んだっていうのは嘘なのか?

 通りがどよめき、誰もが少女とアタシをいぶかしげに見る。

 



 だがわかることがある。

 目の前で起こったこの衝撃は本当なのだ。

 そしてこの少女もまぎれもない現実なのだ。

「おー、飛んだ飛んだ。所詮はただの鉄塊ちゃんだね。

そして私は、敵の存在を(あざ)やかに処理し、対象は絶命した。

…………なんてね。」

 少女はくるりと振り返り腰を抜かし座り込んだアタシの元へかがむ。


 

 少女の栗色の髪の毛がふわりと舞い。

 アタシの手を取り目を細めて晴れ晴れとしたまぶしい笑顔をしている。

 よく見ると顔立ちは整っていて、クラスに一人はいそうなそばかすの美少女だ。

 

 

 

「こんにちは!初めまして!!

私の名前は『高達(タカダチ)ひとめ』!

()いに友達の()。ひとめはひらがなで『高達(タカダチ)ひとめ』って言うの!

あなたのお名前は何?」

「………………あ、え……イチジク……。

信谷(シンタニ) 無花果(イチジク)……です…………。」

 名前を尋ねられてきょとんとしているアタシをキョロキョロ見たのちヒトメと名乗る少女は大きくうなずく。

「うんうん。どこも怪我がないよーで良かった!」

「あ……はい……。」

 ヒトメはアタシの肩を持ちぐわんと顔を近づける。

 彼女の目がドアップで泥だらけの自分を映し出す。

 

 

「イチジクちゃん!ちょっとこの町を案内してくれないかな?

いきなり見ず知らずの町に放り出されて困っていたんだよね~!

昔の仲間や『アイツ』を探し出すには恐らく私一人だけじゃちょっと難しいし。」

「アイツ……って……?」

 ヒトメは天へと人差し指を掲げる。 






 

「そんなの決まってんじゃん。私の彼氏だよ!!」





 

 

「私の生きる青春のすべてであり!

どんなことをしてでも見つけ出したい人!!

私は彼と!

武山(タケシヤマ) 才無(サイム)』と『いちゃいちゃラブラブちゅっちゅ』するためにッッ!!

クソデカ感情を持った、私はここにいるんだ!!」

 すごいインパクトのある言葉と共にアタシは体を揺さぶられシェイクされる。

「世の中は恋なんだよ!!青春なんだよッ!!ねぇあいつを探すため案内してッ!!」

 視界が揺れるッ~~!!

「うぉ~~頭が揺れる~~!わかりました~~!案内します案内します~~!案内するから揺さぶるのやめて~~!」

「シャァアッ!!これからよろしくね!!イチジクちゃんッ!!」

 彼女に揺さぶられ終わってくらくらしたアタシをよそ眼にスッとしなやかに立ち上がり、右手を突き上げガッツポーズをする。

 





 

 右手を突き上げた彼女は笑顔だ。

 青春のきらめきの笑顔は、圧倒的な力を持つな少女は

 淡い恋心とともに25年の時を超えて、こうして『ショーワ街』へと帰還を果たしてしまったのだ。

 それは異世界に転生なんかしなくても、まだ見ぬ強敵や心強い仲間、様々な人々の奇跡と心を『歯車』の様にかみ合わせ『繋げて』いく。

 これから起こるそんな青春をこの時のアタシはまだ知らない。

 




 

 ◇◇◇

 


 ああ、言い忘れてた。

 これはアタシ、イチジクの物語ではない。

 これは『高達ひとめ』の物語。

 25年の時を超えて、蘇った伝説の少女の物語。

 いや、正確には普通の彼女?が

 恋と心と絆そして力の先、”青春”で彩られた道を突き進む。



 『最上の勝利への物語』



 ――アタシの”大切な親友”の物語だ。



挿絵(By みてみん)





 

 


 彼女は、その透き通った声音で天へと吠える。

「タ~~ケ~~シ~~ヤ~~マ~~!!サイムゥゥゥ~~!!でてこぉ~~~い!!

私に、いちゃいちゃちゅっちゅされろおおおッ!!

私はまだ!!

恋を!!

青春を!!

あなたへのこのバカデカい超超超絶大好きを!!

諦めてなるもんか!!」



 ◇◇◇

 


挿絵(By みてみん)

 

【※最重要の注意書き】

※前置きにも書いた通りヒトメさんは無茶苦茶な性格でバイオレンス満点な人です!

 主人公であるヒトメさんは、私の想像を超えてすでに勝手に動き出すほど制御不能に陥っています。

 ストーリーを自由に暴走し徘徊している状態にありますので、彼女独特の異常な表現や筆者である私ですら予測がつかないすさまじい行動をとります。

 覚悟をしてきてください!!


 今回は1部2200文字以上、多くて4000文字程度の短い部で構成したいと思っています。

 あくまで書きやすく、1部がササっと読める感じで書いていきます。

(もしかしたら、あとで再編するかもしれませんが今はこれで行きたいですね。)


 適度に休憩して書かないと『ヒトメさんの青春の勢いに、私の脳が破壊されてどうにかなりそう』なのでこのペースで行かせてください。



 そしてこの物語の更新は基本『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。

 初回の9話まで8月6日まで一気に投稿します!

 ですが1か月に1回大量投稿の日があるかもです!


 ■■■ ■■■

本日のヒトメさんによる被害/買い物

 ■■■ ■■■

異世界トラック:死滅

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