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結界少女は世界を巡る  作者: アムネシア
結界少女の森での日々
6/8

結界少女と星の精霊

遅れてすみません!

「……は?」

コイツは何を言ってるんだ?おっと間違えた。この人は一体何をおっしゃっているのでしょう。


「な、何を言ってるんですか?唐突すぎるって言うか……本当に意味がわからないんですけど。」


「うーんとねー。私は精霊だから不老不死。詳しい年齢は秘密だけど、結構長生きしてるの。だから、最近暇でね。何か変化を求めてた所に星占いで君のことを知った訳。君みたいな色々面白そうな人材、使わないではないでしょ。……まぁ家事してくれる人がいなくて困ってたのが大体の理由なんだけど。」


うわ結構下心しかない。なんだコイツ。精霊がどうとか言われてもこっちは少し前にこの世界に来たばっかりなんだけど…。てか最後の聞こえてるから。人をハウスキーパーとして使おうとするって……。


「でも君にもメリットはあるんだよ?なんて言ったって私は星の上位精霊!私の元にはいろいろな精霊達が集うから、どんな魔法だって精霊達が教えてくれるよ!君のものすごい魔力量ならすぐに歴史に名を残す凄腕魔法使いと同じくらいになれるって!」


今さらっとすごいこと言わなかった?歴史に名を残す魔法使いと同じくらいって聞こえたんだけど?


「もちろん、私も星魔法を教えてあげるよ!私が直に教えることなんて、一万年に一度もないんだからね!」


一万年一度って、この人何歳なの…?……じゃない!


「確かに攻撃手段は欲しいですけど…。でも嫌です。あなた怪しいですし。」

「うわーズバッと来たねー。確かに怪しいかもしれないけど、実際君今この森出てどうするつもりなの?そんな魔力量持ってるのに全然使えてないなんて、絶対何か良からぬことに巻き込まれるよ?」


う……痛いところをつかれた。


確かに今の私は悪い輩にとっては絶好のカモだろう。はぁ、しょうがない。


「い、一ヶ月」

「え?」

「一ヶ月お試しってことなら……」


魔法を教えてくれるって言ってたし、メリットとデメリットを考慮しての意見だ。因みにデメリットはムカつくコイツと同居しなきゃいけないこと。


星の精霊はにんまり笑うと、

「よーし決まり!これからよろしくね!」

と言ってきた。


「い、一ヶ月だけですから。」

「そんなこと言わずにさ。そういえば君、名前は?」

「……紫乃です。桐葉紫乃。」

「オッケー、シノね!私は星の精霊スティア!よろしくね!」


なんだかこの人のテンションに持ってかれてる気がする……。


まぁ、そんなこんなで私はこの人と同居することになったのだった。


◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎


私は早くもこの人の家に住むことに危機感を感じていた。

「はい、ようこそ!ここが我が家です!」

「……え、これ、木じゃないですか?」


スティアさんに案内されて来たのはとてつもなくでっかい木。ではなくスティアさんのお家。やっぱり木。


「え、ここに住んでるんですか……?」

「うん。中をくり抜いてね。結構快適だよ?」


どうやら原始的すぎる生活をしている様だ。いつの時代の人よ……それかエルフ。


「じゃあ早速中に入ろう!」

「どこからですか……?」

一見すると入口なんてない様に見えるけど、どこから入るのだろうか。


「ん、上にあるよ!」

「上?」

上を指さされて見てみると、上の方に足場があり、そこから中に入れる様だった。


「……どうやって入るんですか?」

「飛ぶんだよ!」


知ってました。


この人のことだからそんなことに違いないと思った。


「君は空飛べる?」

「人間は基本空は飛べないと思います。」


少なくとも私の周りにいる人で食べる人はいなかった。まぁ私は一応飛べるけど。


「へぇー。人間って不便だねー。じゃあ私が運んであげる!」

「え?」


そう言うや否や、スティアさんは私を抱き上げて上まで飛んでいく。唐突すぎでしょ…。もう慣れたけど。


「……わぁ」


私は初めてまともに見れる空からの景色に感動した。森全体が見渡せる高さで、視界を青い空と緑の木が埋め尽くしている。


「あっ、アルバムが。」


神様からもらったアルバム…マジックアルバム(命名私)が光り出した。今の景色が保存されたみたいた。


「?なにそれなにそれ!」


スティアさんはマジックアルバムに興味津々だ。


「これは……これのことも含めて後から全部話します。」

「ふーん、わかった。お話、楽しみにしてるね!」

はあ、ほんとにムカつく。

まぁコイツは人じゃないから少しは信用してもいいか。ムカつくが。


そんなことを考えていると上の方にたどり着いた。そこには20センチほどの足場があった。とても危ない。


そして木の側面に中に入れるであろう扉があった。


「さあ、ここが入口だよー。」

「見ればわかりますけど……。お、お邪魔しまーす。」


日本人なら人の家に入る時はついお邪魔しますって言っちゃうよね。どんなにムカつくやつの家でも。


そして肝心の家の中は……


「……わぁ。」

「どう?結構広いでしょ?」

「結構どころかめっちゃ広いですけど……」

でも一つだけ言わせて欲しい。


ここ、図書館じゃない?


中は吹き抜けが特徴的な、図書館の様な場所だった。でもなんと言っても汚すぎる。生活感など存在しない、空き家かな?ってレベルでボロボロ。埃がたくさん舞っている。


大樹だから上が見えないくらい高くて、壁は全部本棚。生活スペースなど存在しなかった。一番下にかろうじてソファと机があるくらいだ。


「ここ、本当に家ですか?図書館ではなく?」

「うん。家だよ?」


さもこれが当然の様に振る舞うスティアさん。家とは?


「いつもどこで寝てるんですか?料理は?お風呂は?」

「精霊にはどれも必要ないんだよー。寝ないし食事はしないし普段実体化しないし。ついでに言えば実体化してもクリーンの魔法で体洗えるし。」

「えぇ…。それじゃわたし困るんですけど。わたしは人間なので寝ないといけないしご飯食べないといけないしお風呂も入りたいです。」


お風呂は親がいない時のたまにしか入れなかったけど。


「それに、こんな埃だらけの空間でいつも何してるんですか?」

「うーんと、星占いをしたり、精霊達と遊んでるかな。ここにある本は全部読み切ったし。」


え!?ここにある本全部って……でも一万歳を普通に超えてる人ならできるか。


「ん?今何かとおおおぉっても失礼な事考えなかった?」

「い、いや別に…。」


歳のことに関しては触れないほうがいいっぽい。


「こんな埃だらけで困らないんですか?」

「困ってるから君を招いたんだよー!精霊達はみんなお掃除してくれないし!」


こ、困ってたんだ。こんなんになるまで放っておいたのが悪いと思うけど。それと……


「さっきから言ってる、精霊達って誰ですか?」

「あれ?そういえば普通の人間には見えないんだっけ。私は上位精霊だからたくさんの下位から中位精霊達がここに集まるんだよー!シノならすぐに見える様になると思う!」

この世界の基準はよくわからないけど、それって結構すごいことなんじゃ……ダメだ、考えたら終わりだ。


「さて、じゃあシノが生活できる様に改善しますかー!」


スティアさんはそういうと私を抱えて一番下の階まで移動した。……飛び降りて。


「えっ?えっえ、あ、き、きゃあああああ!」


途端にふわっと浮遊感が襲ってくる。やばい、酔いそう!


「よっと。あれ、シノ大丈夫?」

「そう見えるのならあなたの目がおかしいです。」


あぁ、今日一番叫んだかも。不意打ちはきついって。


「よーし、じゃあこれを使いまーす!」

「それは……鍵?」

「うん鍵だよー。」


スティアさんは何もないところから鍵を取り出した。そこには突っ込まない。突っ込んだら終わりだ。


そして取り出した鍵を何もない空間にぶっ刺した。…って、えぇ!?


「な、何やってるんですか?」

「んーとね、異空間創造」

「は?」


え?それって神さまレベルじゃないとできないやつじゃ……


「これはねー、友達の時空の精霊がくれたんだけど、刺した所に異空間を作れる優れものなんだよー。」

「優れすぎじゃ無いですか?」


まぁ、この世界限定で異空間を作ることなら時空の上位精霊ならできるか。


「よし、出来た!」


その言葉と共にスティアさんが鍵を刺した所に扉が現れる。


そこを開けると、文字通り何も無い空間が広がっていた。

本当に何も無いのだ。ただただ真っ白なだけ。

広さは教室一部屋分くらい。部屋としては結構広い。


「どう?ここならシノでも生活できそうでしょ?」

「色々置いて改造したらですけどね。ベットとか。」


地球にいた時はベットなんて贅沢なものは使わせてもらえなかったけど、異世界に来たんだからそれくらいの贅沢はいいよね。


「あー、そっか。それならそういうのは今日の夜までになんとかするよー!」


スティアさんはそう言った。どうするのかはわからないけど、この規格外の人ならなんとかしてしまうのだろう。


「こ、これからよろしくお願いします。」

「いえいえこちらこそー。」


私は改めてスティアさんに頭を下げた。


「で、さっきシノ、どうしてあの森にいたか、どこから来たのか、さっきのアルバムはなんなのか、色々教えてくれるって言ってたよね?」


ぎ、ぎくっ!


「え、えぇ〜と、それは……」

「私、早く教えて欲しいな♪」


立ち話もなんだし、と異空間を出てソファに座る私とスティアさん。


「さ、色々教えてくれるよね、シノ?」


にっこり笑顔のスティアさんが怖い……


私はその笑顔に負け、観念して全て話すことにしたのだった。

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