結界少女、人(?)と遭遇する
私が異世界に降り立って5時間程だった。そこで私はある問題に直面していた。それは……
「うぅ、お腹すいた……。」
そう、空腹だ。
転生する前も満足に食べれることは少なかったけど、ここまで食べれないことは流石に無かった。親も私が死んだら面倒になることくらいはわかってたみたいだし。
この5時間の間、私は森を出る方法を探していた。こんな不気味なところにずっといられないからね…。
そして歩き回って私はあることに気づいた。
あっ、迷ったー☆
どっちが出口かもわからないのにうろうろしたせいですね。はい。
そして慌ててさらに歩き回り、途中で疲れてきて空腹に気づいて今に至ります。うぅ。
「このままだと結構ヤバいんじゃ……異世界に来たのに死因・餓死とか嫌なんですけど!」
もうほんとにどうしよう。木の実とか一応なってるけどなんだか禍々しいオーラ放ってるし。絶対食べれない奴じゃん。
植物は当てにならない。お肉……は、論外だ。私に魔物や動物を狩ることが出来るわけ無かった。
おや、これ私詰んでるのでは……?
餓死コースまっしぐらなんじゃ……?
このまま行くと死んでしまうことに気づいてしまった私は、急いで現状打開策を頭に浮かべる。
①森を抜け出すために歩く→実践済みな上状況悪化の可能性あり
②箒で上に飛んで森を抜ける→箒をうまく制御できない
③獣の餌になる……って、わー!
③は絶対なし!
でもこうしてみると私やっぱり詰んでない?この2つで一番現実的なのはやっぱ箒で飛ぶことかな。制御が効けば一発で森を出られるもん。ただその制御が効かないから問題なんだよな…。
なんか魔力的な何かをうまく扱えればいける気がするんだけど、こういうのは専門家かいないと無理な奴だよね……。
よし、一か八か箒に乗ってみよう!
まずは跨って、さっきみたいに魔力(?)を込めすぎないで……お、いい感じ?そーっと、そーっと……あ!木の上まで登れた!これで今私がどこにいるかがわかる!
箒が安定してきたと思ったその時、異変が起こった。あれ?なんか、落ちてきてないっ!?
さっきみたいな魔力…でいっか。魔力を込めすぎたとかじゃなくて、なんか別の誰かが私の箒を操ってるみたいに箒から力が抜けていく。
「わ、わあぁー!」
ドンッ!
今日何度目かもわからない悲鳴をあげて地面に落ちる。あんまり高くなかったからおしりをぶつけただけで済んだけど、普通に痛かった……。
っじゃなくて。今の、何?青い色水に赤い色水がいきなり入れられた様な異物感。なんかぞわぞわして気持ち悪かった。
「あれー?星占いでここに人が来るって出たからどんなやべーやつが来るかと思ったら、魔力の扱いが全然なってないじゃん。それでもここに来れるなんて、君、すごいね。」
突然、後ろから声がしてばっと振り向くと、輝く銀髪を持った15歳くらいの女性がいた。
……こんなところに、1人で?あ、私が言えたことじゃないか。
「は、はぁ。ありがとうございます?……じゃなくて!なんなんですか。いきなり私の箒落として!」
私は基本人と話すときは相手を信用せずに話す。もちろんこの人のことも信用していない。まぁ、この人の場合いきなり箒落としてきたからどっちにしろ警戒しまくってただろうけど。
「えー、何って言われても、君みたいな面白そうな人間が森から出ようとしてるのを見て止めただけだよ。それにここ私の家の土地なんですけど。自分の家の庭にいて何が悪いのさ。」
「?ここは街に近い森って聞いたんですけど……。」
神さまはそう言っていた。
「あぁ、初心者の森のことね。それはこの森の入り口。こことは違うわ。というか普通の人はここには入れないはずなんだけど。」
「え?普通にここに来れましたけど…。じ、じゃあここはどこなんですか。私は街に行きたかったのに、こんなところに来てしまって困っているんですよ。」
さっきここはこの人の所有地って言っていたからきっと出口も知っているだろう。
「え?街に行きたかったって、街から来たんじゃないなら何処から来たの?君、何者なの?」
一気に訝しげな視線を投げかけられる。ヤバい、余計なこと言っちゃった。どうしよう。いきなり神さま転移で森に転移しました、なんて言えないし。
「そもそもここは普通の人には来ることができない特別な場所なんだよ。一定以上の魔力…人間の間では賢者と呼ばれるほどの魔力がなければ辿り着くことが出来ない、特別な場所。人間は『精霊の住処』なんて呼んでるらしいけど。」
「精霊の…住処?それにさっきから自分は人間じゃないかの様な言い方をしていますが…。」
「うん。私は人間じゃなくて精霊。星の精霊。」
精霊……ファンタジーだ。ていうかここ星の精霊の住処なのになんでこんなに不気味なの?
「あ、今失礼なこと考えたでしょ。精霊にはお見通しなんだからね!」
げ、なんでわかるのさ。でも事実じゃん。
「で、君は何者なの?君みたいな小さな女の子がここまで来れる魔力を持ってるなんて、普通ありえないよ。エルフでもここに来れる人は限られてるんだからね。」
う、どうしよう。誤魔化す言葉が浮かばない。でも本当のことを話すのもなぁ。
「……訳あって私は普通より多い魔力を持ってるんです。この森には初心者の森から来てしまって。初心者の森には色々あって転移したんです。それで街に行きたかったんですけど迷っちゃって。」
星の精霊はジト目になって『納得いきません』の顔を作って言った。
「ふーん。私的には『訳あって』の部分と『色々あって』の部分をお聞かせ願いたいところだけど、まぁいいよ。で、君、帰るアテあるの?」「う……ない、ですけど。」
星の精霊は不機嫌な顔から一変してニヤニヤした顔になった。うざい。
そして良いことを思いついたかの様に手を叩き、最上級にムカつく顔を作って私に言った。嫌な予感しかしない。
「ねえ、君、私と一緒に暮らさない?」
「……は?」
主人公は基本人を信用しませんが、頭の中では意外とマイペースです。
この世界にステータス的なものはないですがそれっぽいもの載せときますね。
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桐葉紫乃 LV1
年 10歳
装備 古着屋で買った普段着
アイテム 魔女っ娘箒 魔法のアルバム
スキル
アクティブスキル 結界
パッシブスキル 人間不信
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