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作者: 朝焼 悠

こんな僕でも

毎年ちゃんと綺麗だと思えていたんだ

それがいつの間にか

周りに合わせるように

待ち遠しい振りをして

一緒に浮足立つ真似をするようになって


今年こそは なんて

見上げる度に決意を固めて

拳を握りしめてきたけれど

これも

どうせ今年も駄目なんだろうに

いつからか変わってて


別に嫌いになった訳じゃない

淡いピンク色がくすんで見えるようになったのも

環境破壊が進んだ所為じゃなくて

僕の心が荒んでいるから


数輪の蕾を開かせれば

人の顔を上向かせるあなたの

満開の花を咲き誇らせている

そんなあなたの元を通ると

自分とは釣り合わない場所だなって苦笑いが

やたらと腑に落ちて


そこへ集う人々 老若男女の

笑顔と声を前にすると

自分は近付いてはいけない場所

そんな気がするようなって

つい背を丸めてしまいます


一人で勝手に

惨めさと孤独を

強く縁取られているような気がして

耐えられなくなってしまいます


毎年当たり前にある風景も

考えれば 生まれてから

多くても百回そこそこしか見られないと

その貴重な数回を

だいぶ勿体ない形で過ごしたのだと

遅まきながら気付きました


きっとこの先も

僕があの人の輪に入れることはないのだろうけれど

誰かと共にあなたを見上げている未来は

想像もできないけれど


せめて ひと気の少なくなった

散り際のあなたへ行って

もう一度

あなたのが舞わせる

あの桜吹雪に懐かれてみたいと

今は 今は思っています

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― 新着の感想 ―
[良い点] >あなたが舞わせる  あの桜吹雪に懐かれてみたいと  今は 今は思っています この部分がすごく素敵です~(*´ω`) 桜を「あなた」と呼ぶのが素敵できゅんとします…(*´ω`*) …
2021/03/24 20:23 退会済み
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