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俺もミナを吸っておかねば

「んー……まあなんとか?

 ヤバいなって思ってた刺繍も、ビシバシ進んでいるですし」


「ん。よかった。

 でもちゃんと寝ないといけないし、週に一度は気分転換もしないとな」


 確かに。

 最近、睡眠時間を削りすぎてた気はする。


「そですね。

 今日はいっぱいアルベルト様をむぎゅーして、回復するのです」


 むぎゅーって言いながら、アルベルト様にくっついた。

 どんな薬よりも、私にはアルベルト様が一番効く!


「んむ。俺もミナを吸っておかねば。

 来週は研究所泊まりだしなー……」


 とか、むぎゅむぎゅしていると、コンコンと控えめにノックの音がした。

 アルベルト様の侍従のエンツォさんが、「そろそろお昼はいかがでしょうか」と訊ねて来たので、朝食室に移る。


 すぐに料理が来た。

 ありあわせのもので全然良いので、消化のよい軽いものをとアルベルト様が頼んでいたのだけど、食事用に塩で味付けしたパン・ペルデュで、やったー!ってなった。

 溶いた卵にパンを浸し、しみしみにしてから焼くパン・ペルデュは、実家でもたまに食べる。

 けれど、村だと卵が余ってないと作れないので、ちょっとしたご馳走枠なのだ。

 かぼちゃのポタージュとキャロットラペ、冷肉とチーズも運ばれてきた。

 キャロットラペの干しブドウは、秋祭りの時にアルベルト様が持ち帰ったものだそう。

 ゆっくりうまうまして、お食後には牛乳で煮出した紅茶もいただいた。


「は。そうだミナ。ちょっと頼みたいことがあるんだが」


「なんです??」


「村の踊り! 練習しとかないと!」


「あああああああ! そうだったー!」


 村の結婚式も謎の儀式が色々あるのだけれど、メインは例の村祭り会場でのダンス大会。

 まず新郎新婦が二人で踊り、そこから全員、明け方まで踊りまくるのだ。

 踊りが苦手でも冷やかされるだけだけど、ちゃんと踊れた方が良いのは良い。


 昔、ゲルトルート様にワルツを習った時、村祭りの踊りをお見せしたら、物凄い変拍子だから、三拍子のワルツは楽勝だろうと励ましていただいたことがある。

 アルベルト様はワルツにはだいぶ慣れてたけど、夏祭りではめっちゃ戸惑っていた。

 秋祭りで、少しはマシになったって聞いたけど。


「では、舞踏室をお使いになりますか?」


 エンツォさんが訊いてくれて、支度をお願いする。

 

 舞踏室には一応アップライトピアノもあるけど、ぱっと弾いてもらえる曲でもないので、アルベルト様と二人、雑に歌いながら踊った。

 エンツォさんは、確か庭師にフィドルが得意な者がいるはずと言い出して、連れてきてくれた。

 いきなり連れてこられた庭師さんは超あわあわで申し訳なかったけど、フィドルを合わせてもらうと格段にそれっぽくなって、めっちゃ楽しく踊れた。




 アルベルト様にくっつきまくって全回復した勢いで、もりもり勉強して、もりもり織って刺繍して。

 あっと言う間に12月になり、学院生活も終盤に入る。


 まずはお約束の武術大会!

 ウィラ様は、エドアルド様を応援するために前倒しで帝都入りされて、エドアルド様もリーシャ達もテンション最高潮!


 まずは女子の部。

 リーシャは危なげなく勝ち進み、決勝戦は見てるだけでみぎゃーッ!?ってなるくらいの激闘になったけど、なんと!優勝した!

 特別ゲストとして招かれていたウィラ様が賞状を授与をされたので、リーシャが爆泣きしてエラいことになる。

 総合部門に出場されたエドアルド様は、3回戦まで進んで8位入賞。

 ウィラ様に優勝を捧げるんだあああ!とかおっしゃっていただけど、相手はみんな、子供の頃から騎士を目指して鍛錬している人たち。

 8位入賞は、めちゃめちゃ快挙だ。


 今回はウラジミール様の出場も最後なので、特別に御物ぎょぶつの槍「白銀しろがねの閃光」を使った演武をされた。


 魔石で飾られた槍を頭の上にかざすように構えると、あとは刃が描く光の軌跡がかろうじて見えるばかり。

 大量のキラキラをまといながら、ウラジミール様が舞っているようにしか見えない。


 ウラジミール様のご活躍ぶりも、夏に出たゲンスフライシュ商会の豪華分冊本で改めて知れ渡ったけれど、実際に「白銀の閃光」を振るうところを見た人はそんなにいないので、みんなどよめきまくっていた。


 お忍びってことでこそっとリーシャの応援に来ていたアルベルト様も、目を丸くしてる。


「すっごいな、ウラジミール。

 ぶっちゃけ、やたらお祭りクッキーをねだってくるよくわからんヤツって印象だったけど」


「凄いんですよ、ウラジミール様。

 普通に命の恩人なので。

 だからなにかある時は、お祭りクッキーを焼いて、奉納?してるんです」


 今日も、差し入れとしてしっかり焼いてきた。

 その後、順調に交際されてるっぽいベルナデッタ様が折々焼き焼きされているとは思うけれど、ま、こちらの気持ちということで。


「そうか。てことは、俺にとっても命の恩人だな。

 よし、次からは俺も焼き焼きを手伝おう。

 とりあえず、アーモンドを刻みまくるぞ!」


 演武が終わり、観客総立ちで拍手が続く中、謎に気合を入れるアルベルト様がめっちゃかわゆかった。


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☆★異世界恋愛ミステリ「公爵令嬢カタリナ」シリーズ★☆

※この作品の数百年後の世界を舞台にしています
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