表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/235

みんなに祝ってもらえる!

 婚約が発表されたら、人付き合いがしやすくなるだろうとおっしゃったメリッサ夫人は、正しかった。


 ゲルトルート様&ミハイル様の披露宴でも、他の集まりでも、はるかにお話がしやすくなった。

 あのショーウィンドウをご覧になった方には、まず誤解を解かなきゃいけないのが大変だけど。

 あちこちから、招待やらなにやら、お声がけいただくことも増えてくる。


 といっても、まだ学院の生徒なので、本業は勉強!

 春季の試験に備えてビシバシと勉強し、38位とそこそこ?の結果になった。

 ヨハンナは、相変わらず筆記試験はパーフェクト。

 リーシャは、最終学年だからと気合を入れて、赤点は2科目で収まった。


 夏休みは、長めに村に帰ることにした。

 前回の反省を踏まえて、護衛は多め。

 実家だと泊まるところが足りないので、野営用のテントを空き地に設営して交代で使ってもらう。


 夏は8月の満月の晩に、例のお祭り広場で一晩中踊るお祭りがある。

 アルベルト様も、村祭りデビュー!だ。

 めちゃくちゃ変拍子な踊りに「なんだこれ!?」ってなっていた。

 私達の山荘は整地が終わり、基礎を作っているところ。

 農閑期になったら、一気に仕上げて、春には母屋と厩舎が完成する予定だ。

 ちなみに、村長さんに陛下からのお手紙を渡したら、可憐に失神してしまった……


 というわけで、8月の終わりに帝都に戻ったのだけど、アルベルト様は秋祭りも見たいとおっしゃって、ジャレドさんを連れて、10月なかばに村に行ってしまった。

 私は学院があるから、帰れないのに。

 なんか……ズルい!


 ギネヴィア様は、帝都を出て魔導騎士団の駐屯地で訓練に入られたし、ほぼ毎日夕飯を食べに来るアルベルト様もおでかけとなると、小宮殿は少し寂しくなった。


 アルベルト様、今頃どうしてるかなー? ルッツ伯父さんに飲まされまくってないかなー?と部屋の窓から月を見上げていたら、カカッと手紙鳥が来た。

 なんぞ? と開くと「ミナ! 来年の4月に村で結婚式をしよう!」とある。


 えええええええ……!?


 慌てて返事を書いた。

 

<アルベルト様、4月に村で結婚式ってどういうことです??>


<そのまんまだ。皇家の式の前に、村でも挙げよう。

 今日、ユンとサーラの結婚式に出たんだけど、村の花嫁衣装超かわゆいじゃないか!

 あれを着たミナが見たいから、村でも結婚式しようそうしよう!>


 あ、と思った。


 村の花嫁衣装、確かにめっちゃかわゆいのだ。

 色は、だいたい赤系がベース。

 ワンピースだし、貴族が着るドレスのようにコルセットやクリノリンでシルエットをがっつり補正したりはしないけど、たっぷりギャザーを取ったティアードスカートは、自然にふんわり広がる。

 村の河原に勝手に生えまくるコロモグサから繊維を取って糸にし、アカネグサの根や実で染めたもので幅広のリボンを織り、さらに草花とか吉祥模様を刺繍をしてから段々になるように縫い合わせて作る。

 めちゃくちゃ手間がかかるけど、ゼロから作るわけではない。

 母親や祖母など親類縁者の花嫁衣装を解き、花嫁が新たに織って刺繍をしたリボンと合わせて縫い直すので、代々衣装を受け継いでいくって意味もある。


 私はそこまで「花嫁さん」になることに強い憧れはなかったけど、着たいか着たくないかで言えば圧倒的に着たい。

 それに母さんだって、絶対喜んでくれる。


<いやそれは着たいですけど。

 でも、皇家の結婚式が決まってるのに、勝手に村でやっちゃってもいいの??>


<正式な結婚式は、あくまで6月ってことなら、かまわないんじゃないか?

 村のみんなと相談して、4月頭がいいんじゃないかってなった。

 帰りに領都に寄って、男爵家の意向を聞いてくるから、ミナは叔母上に相談してみてくれ>


 本気だ。アルベルト様めっちゃ本気だ。


<よよよよよくわかんないですけど、了解です!

 というか、結婚式って、一晩、踊りっぱなしですけど、そこは大丈夫です??>


<そこはできるだけこっちで練習して、後は帝都で自主トレ頑張る……>


 びみょーなお返事だったけど、もうどんな感じかわかってらっしゃると思うし、大丈夫かな??


 今のところ、結婚式そのものは皇宮の奥にある廟で内々に行い、夜にバルフォア公爵家で披露舞踏会をすることになっている。

 舞踏会が終わったら、新婚旅行ってことで半年くらいあちこちに行く。

 宮に少し滞在して、村でしばらくのんびりしてから、パレーティオ領で行われるウィラ様とエドアルド様の結婚式に出席。

 エレンの故郷の古都エルデとか、帝国内の遺跡を巡る予定だ。


 そもそも、平民である父さんと母さんは、結婚式にも披露舞踏会にも出席することはできないし、6月はぶどうの世話が忙しいから、長い間家を空けるのは無理。

 村の友達や、親戚だっておんなじこと。

 だから、新婚旅行で村へ戻る時に花嫁姿を観てもらおうとは思ってたけど、地元で先に結婚式をするんだったら、みんなに祝ってもらえる!


 というわけで、翌朝、ディアドラ様にお話したら、遠いところから嫁ぐ場合は、妻側の地元で一度披露をし、帝都で正式な結婚式をして、夫側の地元でもう一度披露をすることもあるから、問題ないんじゃないかとおっしゃった。

 念の為、宮廷庁に確認していただいたら、正式な結婚は6月の皇家の式とするなら問題なしとのこと。

 しばらくして、男爵家のOKも出たって手紙鳥が来る。

 これで、開催決定!ってことになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

☆★異世界恋愛ミステリ「公爵令嬢カタリナ」シリーズ★☆

※この作品の数百年後の世界を舞台にしています
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ