表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

192/235

ファビュラスの極み!!

 私達が拍手する中をゆっくりと通り過ぎていくゲルトルート様は、薄いヴェール越しにもはっきりわかる、輝くばかりの笑顔。

 ゲルトルート様がひたと見つめる先には、感無量で超うるうるになっているミハイル様が待っている。


 後に続くブライズメイドは、もちろんウィラ様とエミーリア様、そしてゲルトルート様の妹君とミハイル様の妹君。

 おそろいのカナリアイエローのしゅっとしたドレスを着て、それぞれ生花をたくさん挿した頭飾りをつけられて、花の精霊みたい。

 同じ色のドレスを着たフラワーガールも8人いる。


 式は厳かに、華やかに行われた。

 お二人は女神フローラに永遠の愛を誓い、指輪を交換し、キスを交わされた。

 ジンメル侯爵家の縁者である枢機卿猊下が結婚の秘蹟についてお話され、皆で聖歌を歌い、式は無事終わる。

 結婚がなされたことを告げ知らせる鐘が、ガランゴロンと鳴らされる。

 ブライズメイドと同じ色のドレスを着たフラワーガール達が、花びらのかたちに切り抜いた、色とりどりの紙吹雪をお二人にかわゆく浴びせる中、お二人は皆の祝福を受けながら退場された。




 場を移したホールでの会食の合間には、色んな人が二人へのお祝いスピーチをした。


 ギネヴィア様もお話された。

 二人の出会い、婚約中のエピソードなどなどめちゃくちゃお話が上手くて、最初はかしこまってた人も多かったのに、何度も笑いが起きた。

 ゲストは300人くらいいるのに、出席者一人ひとりと眼を合わせながらお話されて、みんな自分が話しかけられてる感じになってたと思う。


 私もゲルトルート様からスピーチを頼まれてしまい、大勢の人の前で喋るの苦手なんですううう!と全力で辞退したら、皇族の妃になれば、なんだかんだで挨拶をしなければならなくなる、早く慣れなさいと軽く叱られて、お引き受けすることになってしまった。

 スピーチ上達のコツはとにかく練習あるのみとのことで、原稿を作り、何度も何度も練習した。

 暗唱できるようにはなったけど、やっぱり事故が怖いので原稿を読み上げる形で、遺跡での戦いの時、ミハイル様がかっちょよくゲルトルート様をお守りされたこと、ゲルトルート様が寝込んだミハイル様を甲斐甲斐しく看病されていたことなどお話し、末永くお幸せに!と結んだ。


 めっちゃドキドキしたし、詰まった時は死ぬかと思ったけれど、ゲルトルート様は涙ぐまれ、ミハイル様はめっちゃ真っ赤になって照れ照れになられていたので、よかったよかったということにする。

 席に戻ったら、アルベルト様にめっちゃ褒めていただいたし!


 セルゲイ様とウラジミール様も二人でお話された。

 といっても、ウラジミール様は最初の挨拶以外はにこにこしているだけで、ほぼセルゲイ様がお話になったのだけれど、セルゲイ様、かっちょよくお話しされて、凄いなーってなった。

 けれど、後でお話したら、「緊張しすぎて倒れるかと思った」とへんにょりされてて、あんなに立派にお話されたのに??てなる。

 逆に、私がちゃんと話せてて凄いって言われて、もしかして当人はめっちゃ緊張しててもわりとバレないの??と二人でぱちくりした。

 とりあえず、ウラジミール様には、お祭りクッキー(通常サイズ)を奉納しておいた。

 ベルナデット様もいらしていたけど、いい感じのようだ。


 いったん撤収して、夜からミハイル様のおうちで、披露舞踏会!

 アルベルト様のお母様・ガラテア様の形見を仕立て直した、金糸で縁取りをしたラッフルが幾重にも重なった濃い青のドレスを初めて着させていただいた。

 アクセサリーは、今年の誕生日にアルベルト様に頂戴した、濃いブルートパーズを中心にさまざまな青系の宝石を嵌め込んだチョーカーに、叙勲式の時に頂いたサファイヤのイヤリングを合わせた。

 胸元にカイゼリン桃花章の略章もつける。


 アルベルト様は、淡い空色の魔導省の夏の式服。

 私が誕生日に差し上げた、ラピスラズリのカフスをつけてくださった。

 私のドレスの色味ともいい感じに合ってて、かっちょよくエスコートしていただく。


 ミハイル様のご両親、ゲルトルート様のご両親にご挨拶し、初夏の花で彩られた吹き抜けの大きな舞踏室に入る。


 落ち着いた淡い紫色のドレスをお召しになったギネヴィア様は、ゲルトルート様のお祖父様である前侯爵がエスコート。

 ギネヴィア様に贈られた、おそろのドレスを着たヨハンナがその後ろに付き従う。


 舞踏室がいっぱいになり、だいたいみんな集まったのかなってあたりで、奥の扉が開き、ミハイル様のエスコートでゲルトルート様が入っていらした。


 ゲルトルート様は、式とは違う白のドレスをお召しになっていた。

 小粒の真珠を花模様になるようにたくさんたくさん縫い付けた胴衣に、同じく真珠を散りばめたシフォンを幾重にも重ね、めっちゃくちゃふわんふわんに膨らんだ超ゴージャスドレス!

 昼は巻いて下ろしていた赤い髪は高々と結い上げ、きらっきら。

 デコルテは舞踏会用のがっつり開いたもので、首元にはめっちゃ大きなエメラルドがどどーんと輝いている。

 ファビュラスの極み!!


 みんな、一斉に拍手しながら、フロアの真ん中を空けていく。

 騎士団関係者が多いので、ミハイル様をからかうような口笛があちこちから鳴り響く。

 照れっ照れになりながらも、お辞儀をしたり、手を振ったり、四方八方に挨拶しながらお二人は真ん中に進み出て、おもむろに向かい合った。


 二人を、シャンデリアがキラキラと照らし出す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

☆★異世界恋愛ミステリ「公爵令嬢カタリナ」シリーズ★☆

※この作品の数百年後の世界を舞台にしています
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ