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ヤツらは隙あらば人間を辞めたがる

 領都で領主様達にご挨拶して、帝都に帰った。


 私は結婚までディアドラ様のところにお世話になることになっているので、小宮殿に戻る。

 ほんとだったら、領主様の長男ご夫妻がいらっしゃる帝都の男爵家で暮らすところなのだけれど、ディアドラ様の小宮殿なら、アルベルト様とちょいちょい会えるし、皇弟妃としての行儀見習いもできるから、引き続き小宮殿にいなさいとディアドラ様におっしゃっていただいて、甘えることになってしまったのだ。


 やたら出ている春休みの宿題をしながら、少しずつ社交の練習?もしていく。


 まずは、バルフォア公爵家本邸で開かれた「卒業生は卒業おめ! 在学生は後期お疲れー!」舞踏会。

 恒例の学院舞踏会は、先代陛下の喪で流れてしまったから、その代わりという意味もある。

 ギネヴィア様の主催だし、学院の生徒中心だからめっちゃ盛り上がった。


 それから、アルベルト様の誕生日会。

 皇族としての披露目も兼ねた陛下主催の晩餐会が大々的に行われ、それとは別に内々の祝いが、アルベルト様の小宮殿でも開かれた。

 お招きしたのは、エドアルド様、そしてジャレドさんや所長代理とか「塔」の関係者、研究者達。

 正式な晩餐会にするといろんな人とお話しにくいので、気楽なブッフェスタイル。

 アルベルト様ほか研究関係の人たちはあっという間に議論に夢中になり、私は奥様達の「研究者の妻あるあるトーク」をうかがった。

 高名な教授の奥様に「ヤツらは隙あらば人間を辞めたがるから、ちゃんと食べて、眠って、風呂に入るよう常に見張らなければなりません」と力説され、他の方も「寝室に論文や資料を持ち込ませるのだけはダメ! 絶対に死守!」とかおっしゃっていて、アルベルト様はそこまでじゃないよね??ってなる。


 去年の私の誕生日には、アルベルト様にちょう素敵なネックレスを頂いたから、誕生日プレゼントどうしようどうしようってなったけれど、ディアドラ様に「立場が違うのだから、同等のものを返さなきゃなんて考えなくてよいのよ」と諭していただいて、結局ラピスラズリを嵌めたカフリンクスにした。

 ディアドラ様が商会の人を呼んでくださって、持ってきてもらった中から選んだのだけれど、青が濃くて金の粒がしっかり入っているのは、そうでもないヤツの3倍くらいのお値段……!

 でも、恩賜金のおかげで一番良いと思うものを選べた。

 貰ってて良かった恩賜金!

 あと、アルベルト様が、トマの毛糸の帽子をやたら羨ましがっていたので、こそこそっとおそろいのを編んで、カフスと一緒に差し上げたら、めっちゃ喜んでくださった。


 とかやってると、すぐにギーデンス公爵主催の「バルフォアがやるなら、こっちもやるぞ!」舞踏会。

 とにかくキラキラ大増量!で凄かった。

 私はアルベルト様にエスコートしていただいた。

 保守的?な公爵夫妻は、アルベルト様と私の結婚が気に入らないみたいで、わりと塩対応だったけれど、そういうときは無理に頑張らずにささっと切り上げる!とエミーリア様達に習っていたので巧い具合に逃げた。


 そのまた次の週には、ブレンターノ公爵家でガーデンパーティ。

 セルト大公とミカエラ様もいらっしゃって、公爵と大公、アルベルト様はさりげなく中座して、別室でしばらくお話になった。

 どうなるかなって心配しながら、ミカエラ様とご一緒していたら、戻ってきた時はだいぶ和やかになっていてほっとした。

 私も、改めて大公閣下へのご挨拶を許していただいた。


 下旬にはゲルトルート様に、アルベルト様と一緒にとお誘いいただいていたサロン・コンサート。

 ゲルトルート様のお母様つながりの方が多かったけれど、エミーリア様とオーギュスト様もいらしていたし、今までお話したことのなかった方ともお話できた。

 歌い手は、帝国歌劇場でも主役を演じている、有名なソプラノ。

 曲はオペラのアリアとか二重唱が中心で、間近だからものすごい迫力だった。

 新作の「もし世界が滅ぶとしたら」って歌が良すぎて、うるうるのアルベルト様と手をつないだままめっちゃ泣いてしまった。

 おまけ?で、どうしたらこんな声が出せるのか、発声法や練習の仕方もちょっと解説してくれて、そちらも面白かった。


 そういう大きめなイベントの合間合間に、ギネヴィア様は幼い皇子皇女が学ぶ「雛の宮」に私を連れて行ってくださった。

 春から、ギネヴィア様は魔導騎士団に入団される。

 しばらくは、小宮殿から通われるけれど、夏あたりから実地訓練で帝都を離れる予定だ。

 そうなる前に、魔獣との戦いを、幼い皇族方に話してほしいって陛下に頼まれたのだそう。


 「雛の宮」には、年長の皇族方もよくいらしているので、ついでにお茶会になったりする。

 最初は緊張したけれど、アルベルト様やギネヴィア様のごきょうだいとだんだんお話できるようになった。

 「雛の宮」の傍にはめっちゃ広い魔法練習場もあるから、魔法を練習したり、他の方の練習を見学させていただいたりもする。


 久々に全力で打ってみると、防御結界も「ライト?」も、やたらパワーアップしてた。

 「ライト?」の射程は100mを余裕で越え、連射能力も明らかに上がって、びゃびゃびゃびゃっと打てる。

 測ってもらったら、平均して秒間10発と言われた。

 結界の方は、強度が増したし、形状の自由度も上がって、多面体とかトゲトゲつきとかも出せる。

 ティアン殿下のおかげだ!


「ミナ。今のあなたなら、防御結界だけでクイーン・アルピュイアを倒せるんじゃないかしら」


 調子こいて、矢印のようなかたちにした結界を的に打ちまくっている私に、ギネヴィア様はちょっと呆れた顔でおっしゃった。

 言われてみると、あの時コレを使えてたらってなる。


「でもあの頃は、魔力循環がちゃんと出来てなくて、ここまで打てなかったので。

 結局、魔力循環大事、ちょう大事!ってことですよね!」


 力説すると、ドン引きしていた魔法の先生が「ほーら、魔力循環は大事なんだぞおおおう!」と乗っかり、ぽかんと見上げていた子ども達が慌てて練習し始めて、めっちゃかわゆかった。




 そして、春休みの終わり。

 皇帝陛下から、アルベルト様と私に使いが来た。

 明日、乗馬をしないかというお誘いだった。


Lady Gaga, Bruno Mars - Die With A Smile (Live in Las Vegas)

https://www.youtube.com/watch?v=fnPxkuFIA48

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☆★異世界恋愛ミステリ「公爵令嬢カタリナ」シリーズ★☆

※この作品の数百年後の世界を舞台にしています
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