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そんなの、もっと恥ずかしいからダメです!!

 しばらく踊ってるうちに、周りが混み始めたし、喉も乾いてきたので、休憩がてら領主様達のところに戻ることにした。

 どうも見た感じ、踊らずに話している人達は、皇族と上位貴族は中央の「雲の間」近辺で溜まり、下位貴族は「雲の間」から離れたはじっこのホールに溜まっているようだ。

 学院でも上位と下位で分かれている感じはあるけれど、授業は同じものを受けるから、ここまで露骨じゃない気もする。

 今更だけど、皇族と男爵家の養女が結婚するって、かなりとんでもないことなのかも。


 無事、領主様達と合流できた。


 飲み物をもらって座らせていただいて、ちょっと休憩。

 ラザルス伯爵夫人ほか地元つながりの夫人や令嬢達に、アルベルト様との馴れ初めとかめっちゃ根掘り葉掘りされた。

 アルベルト様が「塔」に閉じ込められていたこととか舞踏会で大っぴらに話せないことも多いので、色々丸めてお話する。


 地方領主の娘は、学院に行かずに親元で教養を身につけ、そのまま親族の紹介で結婚することも多いから、前のめりに羨ましがられてあわあわになった。

 ていうか、アルベルト様がちょいちょい口を挟んで、とにかく私がかわゆいって話にしようとするので、やめてやめてー!ってなる。

 真っ赤になってしまった私の頭を、アルベルト様は笑って撫でて、令嬢達がきゃーってなった。


「ミナも俺ののろけを言えばいいじゃないか」


「そんなの、もっと恥ずかしいからダメです!!」


 こんなに言ってるのに、アルベルト様は「ミナがかわゆい」と重ねてきて、むきゅーっ!!てなってしまった。


 やばい。

 ここにいるとずっと奥様方の根掘り葉掘り攻撃とアルベルト様のかわいい攻撃をくらってしまう。


 こほん、とラザルス伯爵が咳払いして、アルベルト様の方を見た。


「ところで、ギネヴィア殿下はどのような方なんでしょう。

 大変優れた方だとは伺っていますが……」


 男性陣は、そこが気になっていたようだ。

 魔導騎士団に入られるということは、領地で魔獣が増えたら関わりになるかもしれないということだ。

 そういえば新年の挨拶の時、ラザルス伯爵領でもどうも魔獣が増えているので、領の騎士団を拡充しなければならないかもしれないとおっしゃっていた。


「ギネヴィアは……なんだろうな。

 策士??」


 アルベルト様がおっしゃった言葉に、皆さんぎょっとする。

 違う違う違う!と慌てて手を振った。


「すごくお考えが深くて、なにごとも事前によく調べて準備される方です。

 学院のお茶会のような小さなことでも、とても丁寧に取り組まれていますし」


 そゆことだよね!?てアルベルト様の方をきああっと見上げると、こくこく頷いてくれてほっとした。


 私達がピクニックで魔獣に遭遇した事件を聞いて、ギネヴィア様と学院長が、周辺の町も巻き込んでできる限りの準備していたからこそ、魔獣としっかり戦えたんだってお話した。

 あれだけ絵入り新聞で報道されていたのに、事前の根回しの部分はほとんど知られていなかったようで、ものすごく感心された。


 帝都大神殿に行った時の「お手振り」の様子や、周辺の町を訪問した時のこと、病院に慰問に行った時のこともお話しする。

 帝国の民を心から慈しまれ、大事にされる方だとお話した。

 婚約の件で、ギネヴィア様にお目にかかったことのある奥様も加勢してくださる。


 男性陣がほっとした顔になった。

 魔導騎士団に支援を頼んだら、魔力を鼻にかけた皇女殿下がやってきて引っ掻き回されたら怖いなとかちょっと思っていらしたのかも。


 ラザルス伯爵の疑念が解けたところで、例の伯爵夫人の甥御さんが戻ってきた。

 令嬢の一人をダンスに誘う。

 それを潮に、まだ話していない友達もいるし、もうちょっと探検してきます!と、アルベルト様とさすらってくることにした。




「…お祭りクッキー…」


 雲の間に入りかけたところで、後ろから声をかけられた。

 ウラジミール様だと思ったら、ウラジミール様だった。


 ゲルトルート様とミハイル様も一緒で、ご挨拶したりご紹介したり。

 パターンは読めているので、アルベルト様の視線がゲルトルート様のお胸に行った瞬間、アルベルト様のつま先を踏んでおく。


 ウラジミール様の隣には、初めてお目にかかる令嬢がいらっしゃった。

 ベルナデッタ様という方で、ミハイル様の従姉妹なのだそうだ。

 小柄で、楚々とした感じの方で、この方がウラジミール様争奪戦の勝者なの?ってちょっとびっくりだ。


 ゲルトルート様達はエミーリア様からアルベルト様のことを聞いていたご様子で、「おめでとう」と勲章と婚約内定と、二重の意味をこめてむぎゅーしてくださった。

 ヘブン!!


 アルベルト様は、ゲルトルート様とミハイル様に、学院では私が世話になったとお礼を言い、ウラジミール様には、魔獣襲来のとき、ギネヴィア様と私を守り通してくれたと感謝して、握手を交わされた。

 ウラジミール様は以前は帝国騎士団を目指していらしたけれど、貸与となった「御物ぎょぶつ」のグレイヴは魔獣との戦いの方が活かせるので、魔導騎士団を目指すそうだ。

 なら引き続き、ギネヴィアを頼むとアルベルト様はもう一度握手された。


 でも、お祭りクッキーは焼いてきていないと言うと、ウラジミール様は露骨にしおしおになった。


「あのクッキー、妙に旨いよな……」


 わかるわかるとアルベルト様が頷く。


 ミハイル様もゲルトルート様も、あれは美味しいと、お祭りクッキー話でなぜか盛り上がった。

 ゲルトルート様は、今もあのクッキーを焼いてくださっているそうだ。

 料理人に指示して焼いてもらったこともあるけれど、なんでかご自身で作った方が美味しいらしい。


 どうやらウラジミール様の好物らしいと察したベルナデッタ様の眼がきらんと光った。


「あの……

 そのクッキーの焼き方、わたくしにも教えていただけませんか?」


 あくまでしとやかに、ぐいっと来られる。

 さすがウラジミール様争奪戦に勝利した方!


「もちろん!

 どうしましょう、私は一度地元に帰るので、帝都に戻ってくるのは3月になるんです。

 お手紙で、レシピだけお知らせしてもよいですけれど……」


 舞踏会が終わったら、すぐに実家に戻る支度がある。

 ベルナデッタ様としては、早い方がいいよね……

 でも一度、召し上がってみてからの方が良いだろうしとちょっと困ってしまったところで、ゲルトルート様が入ってくださった。


 「なら、近いうちにわたくしと一緒に作って覚えていただくのが早いかしら。

 アントノフ家の厨房を借りてもよいし、うちにいらしてくださってもよいし。

 ああ、そうだわ!」


 ゲルトルート様はなにか思い出した様子で、ぱっとお顔を輝かせて、アルベルト様の方を向いた。


「3月の終わりに、わたくしの家で、サロン・コンサートを開く予定なんです。

 よろしければ、ミナと一緒にご来臨賜われませんか?

 3、40人ばかりの小さな会ですけれど、母が昔から贔屓にしている歌手が来てくれることになって」


 私でも知っている、帝都で大人気の歌姫の名をゲルトルート様は挙げた。


 トップクラスの音楽家になると、小さな場での演奏はしなくなると聞いたことがある。

 それが出てくれるということは、無名の頃から応援してもらっていたからということなのだろう。

 さすがゲルトルート様のお母様!


「ふあ!?」


 アルベルト様がぶったまげる。

 塔から出て、いろんな人と会えるようになったアルベルト様だけれど、基本的には仕事のつながりだから、親戚であるバルフォア家以外の誰かの家に招かれたことはないはずだ。


「ええええと……」


 おろっとアルベルト様は私の方を見る。

 行きたい!ってめっちゃ頷いてみせた。


「では、是非」


 挙動不審ながら、アルベルト様は招待を受けてくださった。


 良かった!


 大貴族が主催するサロンは私も初めてだからドキドキだけど、ゲルトルート様のおうちなら一度遊びに行かせていただいたことはあるし、安心だ。

 私もそんなに友達が多い方じゃないから、お話できる方が増えたら嬉しい。

 できたら、アルベルト様にもお友達ができればいいな……


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☆★異世界恋愛ミステリ「公爵令嬢カタリナ」シリーズ★☆

※この作品の数百年後の世界を舞台にしています
― 新着の感想 ―
[一言] なんかもう、ウラジミール様の容姿がクッキーモンスターでしか浮かばなくなってきた…っ(°﹃° *) ところで前話最後のほう、連続で同じ相手と連続で踊りまくってますから、女性貴族の裏読み能力な…
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