表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

137/235

アルベルト様にもお胸があったらいいのに!!

 その数日後、ウィラ様が帝都に到着されたという知らせが入った。


 ウィラ様は、最速でギネヴィア様の小宮殿への参内を許され、一緒にゲルトルート様、エミーリア様もいらっしゃることになった。

 最初は3人でという話だったのに、当日朝になってエドアルド様も一緒にいらっしゃるとの知らせも来た。

 せっかく帝都にいらしたウィラ様と離れたくないからと、無理くりねじ込んできたっぽい。


 約束の日、皇宮で人に会う時用にと奥様に作っていただいた喪色のデイドレスを着て、昼過ぎから玄関の周りをうろうろとお待ちしていたら、時間の少し前に、やけにがっしりした黒塗りの馬車がやってきた。

 武器を失っても最後まで戦い抜くことを象徴する、牙と爪を組み合わせた辺境伯家の紋がついている。


「ミナ!!」


「ウィラ様!!」


 先に降りたエドアルド様の手助けで降りてきた、喪のヴェールをつけ、薄墨色のすっきりしたシルエットのデイドレスをお召しになったウィラ様に飛びつく。

 むぎゅうううっとお胸に顔を埋めた。


 きゅふー……この感触!!!


 思わず感涙にむせんでしまい、よしよしよしよしと頭を撫でていただく。

 さすがにここまでがっつりウィラ様にひっつけないエドアルド様に、ジト目で睨まれてる気がするけど気にしない!


「ミナ、手紙をありがとう。

 私の返事は届いたか?

 もしかしたら、追い越して来てしまったかもしれない」


「お返事はまだいただいてないですけれど、ウィラ様のお顔が見れて最高です!!」


 ていうか、天国だ。

 ああああ、この際、アルベルト様にもお胸があったらいいのに!!

 そしたら、結婚した暁には毎日お胸に埋もれられるのに……


 自分でもわけがわからないことを思っているうちに、エミーリア様も降りていらした。


 エミーリア様も喪の色のすっきりしたデイドレスだけれど、胸下から身体の前を横切るように斜めのタックが幾筋か入って、スカートの裾まで続いている。

 しゅっとした印象のおしゃれなドレスだ。

 おそろいの小さな帽子も結い上げた髪につけ、ヴェールのアクセントにしていらっしゃる。


「エミーリア様!!」


 当然、エミーリア様にもむぎゅーだ。

 すべすべしてて、良い匂い……

 はわわわわ……ってなる。


「ミナ、久しぶりね!

 身体は大丈夫なの?」


「もう大丈夫です!」


 きぱっとお返事をすると、エミーリア様はうるっとした眼で「元気になってくれてよかったわ」と追いハグしてくださった。

 嬉しい……とろける……


 そして、ゲルトルート様も降りていらっしゃる。

 袖が肘まで綺麗なカーブを描いて膨らんでいて、裾も少し広がっている喪色のデイドレスで、女性らしい、優しい印象だ。


「ミナ!!

 重傷者の一覧にあなたの名前があった時は、本当にもう……どうしようかと。

 ミーシャと、とっても心配したのよ」


 ゲルトルート様は両手を広げて迎えてくださると、むぎゅうううっと抱きしめてくださった。

 やわやわのふわふわのはわはわ……!


 なんか冬よりもパワーアップしてない??

 もう、しゅごい……しゅごい……としか言葉が出てこない。

 私の中の天国度メーターの針が振り切れて、ぶっこわれそう!!


「ご心配くださって、ありがとうございます!

 この通り、もう全然元気なので!!」


 ようやく離れたところで、しゅしゅっと両手でパンチする振りをしてみせると、よかったよかったと笑ってくださった。

 エドアルド様にエスコートされたウィラ様を先頭に、両手にエミーリア様とゲルトルート様状態で中に入る。


 庭に面した広いサロンでは、ギネヴィア様とディアドラ様がお待ちだ。

 今日は専門の菓子職人を呼んで、一口サイズの果物のタルトとか、木の実をたっぷり使った田舎風のシュークリームとか、色とりどりの焼き菓子もたくさん用意されていた。


 ギネヴィア様、ディアドラ様がお姉さま方と抱擁されるところをこっそり観察する。

 やっぱり身体は密着させないんだな……


 ディアドラ様はお姉さま方のご挨拶を受けて、それぞれの近況を聞かれた後、切りが良いところで席を外された。


 場は一挙に女子会モードになった。


 一応、エドアルド様はいらっしゃるけれど、黙って微笑んでいれば、まだまだ美少女だし。

 ちなみにエドアルド様は、誰がどこに座るのかな〜ってなった瞬間、バシッと視線を飛ばして牽制して確保した、一番くっつける2人掛けのソファに、ウィラ様と並んで座っている。


 まずは、延期されてしまったゲルトルート様の結婚式のお話。

 結婚式の衣装から嫁入り支度やらもう完璧に整えて、後は式を待つばかりという、うっきうきなところに、先代陛下崩御の報が入ってしまったそうだ。

 そして、両家の家族会議の結果、1年延期が決定。

 ミハイル様はせめて半年延期でと粘ったけれど、侯爵にぴしゃりと却下されて試合終了だったとか。

 まだ騎士団一年生だしね……


「わたくしとしては、ミーシャと気持ちが通じ合ったのは最近のことだし、1年、婚約期間が伸びても、その間に仲を深められれば却ってよいのかもと思っているのだけれど……」


 ゲルトルート様はちょっと照れながらおっしゃる。


「でも、ミハイル先輩はどうされてますか?

 春にお目にかかった時は、待ち遠しさ大爆発というご様子で、『あと96日で結婚式だああああ!』って、1時間に3回は吠えていらっしゃいましたが」


 エドアルド様が、首を傾げておっしゃった。

 3ヶ月以上前から、そんな勢いでカウントダウンされていたのか……


「それがね……

 延期が決まった当初、ミーシャがあんまりしおれていたから、お祖母様がお怒りになったの。

 騎士団に入団したばかりで訓練がキツいのに、強い心は身体造りからだって休日もお祖母様にしごかれて。

 2人で出かけるのもままならないから、最近わたくし、ミーシャとお祖母様の鍛錬に混ぜていただいているの。

 お祖母様、若い頃からグレイヴが得意で、今も朝起きたらまず素振りを200回してから朝食を召し上がるという方だから」


「「「「「はい??」」」」」


 なんか斜め上の展開きた!!


「もちろん、わたくしは別メニューだし、負荷もうんと軽くしていただいているけれど。

 ほら、遺跡で足手まといになってしまったでしょう?

 騎士の妻になるのだから、少しは鍛えておかなければと思って」


 さらに照れながら、ゲルトルート様はぽわんと膨らんだ袖をたくしあげると、二の腕をむきーっとしてみせた。

 確かに筋肉の輪郭が浮かび上がってる。


「まあ!

 そんなにすぐ身体が変わってくるの!?」


 どういうわけか、ギネヴィア様が食いついた。

 ゲルトルート様は、机に手をついて行う腕立て伏せやら、重量挙げの棒をしゃがみこんで持ち上げるデッドリフト?とか、トレーニング方法を嬉しそうに説明された。

 トレーニングの話となると、ウィラ様も眼を輝かせて、あれがよいこれがよいとキャッキャされている。


 エドアルド様は、なにか察したような無の表情でその説明を聞いていた。

 エミーリア様もだ。

 

 エミーリア様はとにかく、エドアルド様も鍛錬はずっと続けていらっしゃるし、興味がある話題だろうに、なんぞ??と思って気がついた。


 机腕立て伏せをゲルトルート様がされたら、お胸が超たゆんたゆんされるに決まってる。

 他の動きだってそうだ。

 それでなくても結婚式が1年も延期になってしまったミハイル様の間近で超たゆんたゆん。

 でもうっかり不埒な視線を向けたりしたら、お祖母様のグレイヴが炸裂する予感しかしない。

 ……生殺しって、こういうこと?


「レディ・ゲルトルート。

 ミハイル先輩に心中お察ししますとお伝えください……」


「わたくしも。

 ミハイル様に深く同情するわ……」


 エドアルド様とエミーリア様の言葉に、ゲルトルート様は「ありがとう!ミーシャに伝えておくわ」とほがらかにおっしゃった。

 ゲルトルート様、なにげに天然なところがあるよね……


アルベルト「お胸……大胸筋か? 大胸筋を鍛えればいいのか??」

ミハイル「まずは基本のプッシュアップからです、殿下。フォームが悪いと腰を痛めますので……このように身体を一枚の板のように保って、床をしっかり手で押す意識で行うのがポイントです!(唐突に出てきて、いい笑顔で高速腕立て伏せをキメる)」


いいねありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

☆★異世界恋愛ミステリ「公爵令嬢カタリナ」シリーズ★☆

※この作品の数百年後の世界を舞台にしています
― 新着の感想 ―
[良い点] ( ゜∀゜)o彡° [気になる点] ミナの脳 [一言] ( ゜∀゜)o彡°おっぱいおっぱい! 最初から最後までぜんぶおっぱい! サブタイからだいたいおかしいおっぱい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ