終わりの前
僕は犬と暮らしている
十数年の付き合い
昔は家中を走り回っていたけれど
最近は寝ている姿を見ることが多くなった
髭もだんだん白くなってきた
まだご飯はしっかり食べるし
散歩にも行っているけど
昔と違うのは明らか
だからちょっとだけ心配
一緒に過ごせる時間が
1秒ずつ減っていく
今までずっと一緒だったのに
一緒にいられなくなる時が来る
朝起きると足元で寝てて
頭を撫でると起きて
ご飯をせがまれて
ご飯をあげて
少し遊んで
頭を撫でてから家を出て
帰ってきて
玄関を開けると座ってて
ご飯をせがまれて
「まだ早いよ」って言って
散歩に行って
ご飯をあげて
少し遊んで
布団を敷いて
風呂に行って帰ってくると
布団の上で寝てて
動かそうとすると
すぐに起きて
怒ったように唸るから
仕方なく端の方で寝て
起きると足元で寝てて
頭を撫でると起きて
ご飯をせがまれて
ご飯をあげて・・・
愛犬がいなくなったら
僕の生活はどうなるのだろう
朝起きた時に足元に感じていた体温がなくなって
ご飯をせがまれなくなって
ご飯をあげられなくなって
一緒に遊べなくなって
撫でる頭もなくなって
帰っても何もなくて
「まだ早いよ」って言えなくなって
一緒に散歩に行けなくなって
布団を敷いて
風呂に行って帰ってきても
布団の上には何もいなくて
どかすものもなくて
布団の中心で寝て・・・
全てが違う
全て無くなる
僕の日常が全て
フローリングを鳴らす爪もなくなる
嬉しそうに鳴る鼻もなくなる
部屋に入れろと訴える声もなくなる
それに僕は耐えられるだろうか
もしも僕が1万人いたら
1万人全員が
耐えられないというだろう
僕の寿命をあげられるならあげたい
そしてできることなら
僕の寿命と愛犬の寿命が
差し引きで0になるようにしたい
もちろんそんなことはできない
必ず終わりがやってくる
だから後悔しないように
その終わりが来る前に
作れるだけの思い出を作りたい
それを後悔する日が来るかもしれないけれど
書くうちに悲しくなってきました。
眠さと悲しさでまとまりのない文章に
なりました。ごめんなさい。