#2 入らない?
初めましての人は初めまして。夏ノ瀬です。
ヒロイン登場です!!ちょっとだけ、タイトルの由来もわかっちゃったり?しちゃうかも?
僕は橙季に言われ、渋々自分の席に付く。まぁ、正直橙季と長話していると、どんどんテンション高くなって行くのから避けたかったからむしろ好都合かもしれない。
「お、おはよう」
隣の席の子が話しかけてきた。少し照れている様に見える。
「おはよう」
僕は笑顔を彼女に向け、爽やかに挨拶をしてみせた。
「名前、聞いてもいいかな...」
ちょっとモジモジしながらこちらを眺めている。すると何かに気づいたかのように、あっ とした表情を見せた。
「そうだ、私から名乗らないと...だよね。私は山園妃依。改めて、名前聞いていい?」
「僕は染田暖斗。よろしくね、山園さん」
僕は再び優しく笑って見せた。その時、彼女は少し顔が赤くなったように思えたのだが、気のせいだろうか。
「わわッッッ...あっ、『山園さん』じゃなくて、気軽に下の名前...」
「『妃依』って、呼んだ方が良いの?」
「えっ」
ああ、彼女の顔が完全に赤く染まっている。耳元まで。
「つつつつ、付き合ってもないんだし!誤解されちゃうし!山園さんで良いよ!う、うん!」
「でもさっき『気軽に下の名前』って、言わなかったっけー?」
焦る彼女の顔をまじまじと見つめながらニヤッとした顔で少しいじってみせた。
「そ、そんなこと言ってないもん!!」
「あれ〜?僕聴力いいほうなんだけーどな♪」
すごく恥ずかしがる山園さん。...可愛い。
それに、綺麗な茶髪におさげの髪型。綺麗な瞳。
(あれ、僕、今可愛いって...)
そうだ、僕は今まで女の子と話したこともたくさんあるし、告白だって何回かされたこともある。だけど、どの子も可愛いなんて思わなかった。何故だ?そう考えると、僕の心臓の鼓動が少し速くなった気がした。
「...めだくん?染田くん?」
「わっ」
「どうしたの?ボーッとしてたよ?」
心配そうに見つめる山園さん。
「いや、ちょっと考え事してた。ごめんごめん。」
「もうすぐ授業始まる時間だよ。先生来てるし」
「え、嘘。気づかなかった...ありがとう」
「どういたしまして」
ちょっとぎこちのない僕らの会話は、ここで一旦途切れた―。
――――――――――――――――――――――
―お昼の時間―
「染田くん」
「ん?なに?一緒に食べる?」
僕がシンプルにそう聞いたら少し照れながら「ちょっとだけ」と、答えてきた。
「話があるんだけどね...」
「どんな話?」
「染田くん、入る部活とか決まってる?」
「いや、特に。帰宅部でいようかなーなんて思ってたよ」
「そうだったのか...中学生の頃は?」
「吹奏楽部。中二の冬の部活の関係がゴタゴタしてきて、中三の春にやめちゃったんだ。もうすぐコンクールで卒業ってところだったけど、楽しくなくなっちゃったから」
そう言って、僕と山園さんは微笑し合った。
すると、その後に目を輝かせて、
「なんの楽器吹いてたの?!」
と聞いてきた。
「そんなにキラキラしなくても...ふふっ、トランペットだよ」
「え?!トランペット?!イイなぁ。私、中学生の頃から吹奏楽部で、今年も入ろうとしてたの。トランペットやりたかったんだけど、トロンボーンになっちゃってね」
「そっかそっか。トロンボーンも楽しいと思うよ?」
「楽しいんだけど、トランペットの方が目立つし、かっこいいし、それに、先輩がいい人だったから。一緒のパートで吹きたかったなーって」
「そっかー。俺のと逆だね。怖くて厳しくて恐ろしい先輩だったよ。その先輩が中三の冬に問題起こしたからやめたんだ」
「そうだったんだ...あ、じゃあ入らない?吹部」
「え」
後から『入らなければ良かった。でも、今入ってる方が良いのかな。でも』なんて考えるなんて、思ってなかった。
それは、僕が君に惚れてしまったから―――
読んでいただき、ありがとうございました。
茶髪のおさげ...これは僕の好みです(笑)
一つ結びとか、ショート、ロングなども好きですがね!(ロングはキャラによるけど)
次回もお楽しみに頂けると幸いです。