(^q^)
大人一人が寝る基本サイズで、狭くもないが広くもないという、可もなく不可もなくという大きさのシングルベットの上。
私はまるで猫の香箱座りのような格好で居た。
亀の甲羅のように布団を被り、芯に宿るぼんやりとした木漏れ日を感じながら、目は瞑想に耽るように終始閉じていた。
日が暮れることを見越しているのだろう、カラスたちが寝床を求めているのだろうか。
気の抜けるマヌケなカラスの鳴き声はすごく耳に突っ込んでくる。
声はマヌケでもホームレスでその日暮しの彼らは日々生命の危機にされ、生存戦争の真っ只中にいるのだろうか。
彼らに対してまで劣等感を持ちたくはない。
私もそろそろ動かねばなるまい。
排泄物を気張る時のように力を入れ、立ち上がる努力をした。
「 ふん。」
ダイヤモンドより硬い腕と足腰の前にただなす術もない。
であるならば、できることから初めて見る事も一考かもしれない。
カラスに対する競争心と必要に迫られなければ動く必要はあるまい、という堕落した心の間に葛藤を覚えつつも、瞳に光を差し入れた。
今日始めての仕事をした。
ベットの上の視界内という狭い平面をくまなく凝視して点検する、局所的寝台警備である。
何も異常がなかったわけではない。
一本の縮れ毛があった。
平和で所在なき時であるからこそ、真の知的好奇心は沸き立つものではないか。
この縮れ毛をプロファイルしてみたいと思うようになったのである。
まずこれは一見して陰毛のように見える。
しかし、いったいどうしてこの縮れ毛を陰毛だと判断したのであろうか。
髪の毛であってもまだ伸びきっていないうちに抜けた童は縮れ毛になりうるのはずだ。
また、この縮れ毛が私のものであると判断した理由はなんなのであろうか。
視覚でDNA鑑定など出来るわけがないが…。
可能性から言えば、私のフェロモンに誘われ、部屋に侵入した謎の峰不二子のような女がベットで陰毛を落としていったというのもあり得る。
それだけでなく、パンチパーマの男がベットに頭をひたすらこすりつけ、一本残して立ち去っていったという可能性もある。
もちろん、ただの私の落し物という可能性もある。
同様に確からしくないものの無限通りである。
ひたすらに問いを求め、眉間にシワを寄せ、険しい表情を浮かべた。
「くるみぽんちお!!。」
突然素っ頓狂な声でそう呟いた。
「………。」
これ以上できないくらいひっそりと瞼を閉じた。