閑話 蟲帝の思い
「助けて!。」
その声が聞こえたとき、我は恐らく初めて興奮という感情を感じた。あいつが、そう我が幼少のときに出会い、そして初めての友となったものの声が聞こえたのだ。我がいつか迎えに行く言葉を言ったのだ。興奮しないはずがない。周りは我の事を蟲帝と呼び、だだの「力の権現」として他の五人の帝も同じように負の感情を向けられることが多く自由に動くことが出来ない。そんな月日がこの世界で1000年以上たったと思われる。いや、それ以降は数えることを放棄しだだそこに¨存在¨
しているだけのようなものだった。だが、そんな日々は終わりを告げたのだ、我があいつに会いそして我と共に生きていてくれると誓った言葉が今、聞こえたのだ!それは決して幻覚の類いなどでは
無かった。今まで我は不安だった。いくらこの世界とあいつの生きている世界では時の流れは違うと言えど1000年以上だ、人はそんなに長く生きているはずがない。もしかしたら死んでいるかもしれない...だがそんな不安とは未来永劫別れるのだ。さっさと迎えに行かねば。
我は早速あいつの世界に転移した。だがここで一つ問題が発生した。我は人に通じる念話が話せないのだ、だが話さなければあいつに通じない。仕方ない過去の記憶から発音を引っ張ってこよう。
-ヤットミツケタ
なんとか発っせた言葉にあいつは振り返った。よかったあいつは人間の成長期真っ只中の顔立ちだ。ふと我は不安になった、我はあのときより何倍もデカクなってしまった。もしかしたら我の世界の人間達のように負の感情の目で我を見るのではないかと。だが、やっぱりあいつは違った。たしかにあいつは涙を流していた。だがその表情はどこか嬉しそうだった。まるで懐かしい友に再会したかのような顔だった。その顔を見たとき我は一瞬頭が真っ白になりそうだった。はっと意識を取り戻し、ほぼ反射的にあいつを引き寄せていた。人間どもが何者も捕らえ離さないと恐れた脚に捕まってもあいつは臆することなく我を見ていた。遠い記憶の中から我を見つけるかのように。我は
その姿に歓喜しつつも、もうひとつ問題にぶつかった。あいつの輸送手段を何も考えていなかったのだ。だがその問題について深く考察する前に我はいつの間にかあいつを自分の口のなかにいれていたのだ。我はあいつにトラウマを作ったのではないかと不安になったが、口のなかのあいつは大人しかった。更には「寝てもいい?」と聞いてきたのだ。我はその事に驚きつつも肯定するとあいつはすぐ眠りに落ちた。それを確認した我はあいつの心を見ていたが見えるのはいかなる我を受け入れている、幼少のときに感じたあたたかく優しい心だった。そしてこれまでの記憶を読み取りあいつがどう生きてきたのかを知った。そして眼前にいるあいつでさえも化け物と言ったもの達に怒りを感じたが口のなかのあいつがきになって仕方なくなり、災害を振り撒くだけにして我は帰路に着いた。さて独占したいのは山々だがそうすると残りの5人の友が煩い。手紙だけ書いてあとは、
あいつが起きるまでその寝顔を堪能していよう。