4.越冬の鶯
今回は話の雰囲気が変わります。色葉の友人の名前が登場します。
色葉の心情の描写が多いです。色葉の気持ちの乱れ具合が文章にそのまま表れいるので、いつもより読みにくいかもしれません……。スミマセン…
前回までのストーリー☆
ちょっと(?)変わっている宮本色葉は、ある時気がついたらとある乙女ゲームの悪役 鶯宮色葉になっていた。そんな彼女が、イケメンたちをヒロインちゃんと取り合う
話になるはずもないのです。
★
あ、うん。わたしね、なんで鶯宮色葉が家族を嫌がっていた(そういう設定)のか分かったよ。そりゃね!いくらハイスペックだったとしても、あんなに溺愛されていたら距離を置きたくはなるわな!(笑)
でもまぁ、鶯宮色葉があんなに家族に壁を作っていた理由は分からない。いい家族だと思うんだ。だって、どんな理由であれ自分の娘(妹)が他人の子をイジメてたというのに、頭ごなしに叱りつけたりしない。しかもね、溺愛してるから怒らないというわけではないのよ。どうして、そんなことをしたのか?というふうにまず理由を聞いてくれた。理由を聞いてから初めて怒られた。それで、怒られたあと、お兄様もお父様もお母様も鶯宮色葉を抱きしめてくれた。
こんなに温かい巣(家族)に住んでいるのに、鶯宮色葉はどうしてここでその傷ついた羽を休めなかったんだろう?
☆
翌日
さあさあさあ!このわたくしが!シリアスな展開にずっと居座るとでもお思いで!?
まあ、わたしがこの世を司る神でもないから時は流れ続けるから、次の日が来るのは当たり前だけど。
昨日は、あの後大好きな友人のことを思い出して涙が止まらなかった。そんなわたしは、涙を止めるためにもシスコンハイスペックブラザーの元に行って、高木貞治先生の解析概論をご教授していただきました。まあ、お兄様のハイテンション(自分の大好きな数学を自分の最愛の妹に語れることによって、こんな現象が起きている。)につられて、わたしもハイテンションになってしまい兄妹で完徹してしまった。
(ちなみに、そのことを知った両親はズルイズルイ!とダダをこねていました(笑))
ガラッ
宮本色葉が鶯宮色葉になって、初めての登校だ。(昨日はお昼休みの時になったからね。)クラスメイトの反応は
チラッ
まあ、無視ですね。ふん、だって、わたしは学園1の嫌われもの☆
やばい!我が友のことを思い出して、センチメンタル(使い方あってるか?)になってる。やばい、あーー、我が友よ……。
よし、どっか、どっかで、泣こう!!!涙の数だけつよくなればいい!!!!!!!!!
色葉は知らない。あの後、クラスで鶯宮色葉は学園1の嫌われものになって心が病んでしまっていて前の鶯宮色葉じゃないのだから、せめて同じクラスだから彼女に優しくしないかと話が出ていたことを。
☆
グスッ。
グスッ、グスッ。
うううううう!!こんな、シリアスモード、わたしに似合わないのに!やっぱり、さみしいよぉおおおおおおお!!!会いたいよ、リク!!
φ
リクはわたしの大親友。ひねくれ者で友達もいなくてずっと独りぼっちだったわたしを助けてくれたのがリクだった。わたしが好きなものは全部リクが教えてくれた。
わたしは、数学なんてキライダ!と思っていたけれどリクはその楽しさを教えてくれた。ゲームが楽しめなかったわたしにゲームの楽しさを教えてくれた。(といっても、乙ゲーだけは楽しめなかったけど。)
わたしは、あの日宮本色葉から鶯宮色葉になった。だからと言って、宮本色葉であることを忘れられることなんてないし、鶯宮色葉として振る舞うことなんてできない。ここでもわたしは宮本色葉として振る舞いたい。リクと一緒に過ごした宮本色葉として、生きていきたい。
なんて、思ってる。だから、だから、リク、会いたいよ。
☆
そんなわたしは、今図書館の人気のない数学コーナーに来ている。今は授業中だけれど、目を真っ赤に腫らして泣いているわたしを見た司書さんは黙ってわたしを図書館に入れてくれた。ありがたい。
授業中だからトメは勿論、だれもいない。そんな場所でわたしは、本を、と言っても数学の本だけど、読もうと思った。なんとなくだけど、数学の美しさに触れれば落ち着ける。何か、変わらないものを求めているんだろうね。なんか、ロマンチストみたいなセリフだな。笑えちゃうね。
よし、キャラを戻そっ!しんみりなんて、ダメダメ!
えーと、ガロアの本は家でじっくり読むとして(わかんなかったらシスコンハイスペックブラザーに聞こう(^ω^))、何を読もうかな……、
パラッ
?ノート?んんん、ルーズリーフの切れ端か……。何か書いてある。
【1,1,2,3,5,8,13,21,34,□,89,……】
これって、数列……?
□に入る数字をってこと?
んんんん、まだ書いてある。
【この□に入る数字が分かったら、何かに答えを書いて「フィボナッチの旅」という本に挟んでください。 by.75】
ププッ!な、なにこれ、面白い!これって、文通ってやつなのかしら……。しかも、この人「フィボナッチの旅」に答えを書いたものを挟めって……。ただのヒントじゃない!?
【1,1,2,3,5,8,13,21,34,□,89,……】
これは、フィボナッチ数列。世界で最も有名な数列の1つ。リクも好きなやつ。この数は、1つ目と2つ目の数を足した数が3つ目の数になる。
それでね、この数列はもっとすごいんだ!だってね、…………(以下略)
よし、語るのはここまでにして、この数列問題の出題者さんにお返事を書かなくちゃね!えっと、
【75さん、はじめまして。あの数列問題の答えは55。理由としてはあれはフィボナッチ数列なので21+34で55となるからです。
ところで、75さんは数学がお好きなんですか?わたしは数学が大好きです。なんていうか、誰でも同じ美しさに到達できること、そして何よりも数学の美しさというものがわたしの心を奮い起こすのです。
えっと、よかったら、わたしも問題を作ったので解いてみてください。これの答えは、「数学の声がする」という本に挟んでください。
問
a=b
a^2=ab
a^2-b^2=ab-b^2
(a+b)(a-b)=b(a-b)
a+b=b
2b=b
2=1
この変形の矛盾点を指摘してください。
by.48】
よし!48はわたしの誕生日4月8日から来てる。もし、75さんの誕生日が7月5日だったら運命かもしれない!
ふふふ、この問題リクくんが出してくれたんだけど懐かしいなぁ。ちゃんと見ないと気づかないんだよね。(わたしはすぐ気づかなかったorz)読者の皆様、いかがですか?
「数学の声がする」
これは、わたしがまだ宮本色葉だった頃リクと一緒に読んだ本。そんな本がわたしが今、鶯宮色葉として生きているこの学園のこの図書館にあった。著者も内容も宮本色葉の時に読んだものとまったく一緒だった。
この本を昨日実は既に見つけていて、とても寂しくなったんだ。リクとわたしをつなぐモノがあるのに、わたしはリクと会えないなんてって。だけど、わたしは、わかったんだ。わたしもう独りぼっちじゃない。
このルーズリーフの切れ端に書かれた数学でも、わたしはリクと繋がっている。そして、わたしはここで75さんみたいに、リク以外の人とも繋がっている。鶯宮色葉には家族がいる。独りじゃない。寂しがる必要なんてないんだよ。
☆
ガラッ
チラッ
そう、わたしは、やっとわかったんだ。
クラスメイトがわたしをチラチラと見て、様子を伺っている。(なんの因果か、わたしはまた格くんの授業中に教室に戻ってきた。)ここにいる人達は、いいや、鶯宮色葉の家族だって、だれも宮本色葉を知らない。けど、それでもいいじゃないか。リクとどんなに離れていても会えなくても、彼はわたしの忘れられないほど大切な友達だ。
彼を、宮本色葉としての人生を、このわたしが忘れなければ問題はない。
大丈夫、目を閉じて耳をすませば、リクと楽しんだ「数学の声がする」。
※作者から
色葉はこれまでの話で自由に振る舞っていますが、その心の底では突然鶯宮色葉になってしまったことのショックのようなものを感じています。トメと図書館で論争した後に、「数学の声がする」を見つけ考えないようにしていた宮本色葉であったことを考えてしまいます。(友人は……みたいにリクのことを前の話でも考えていましたが、その時色葉はリクともう会えないとは考えていません。なんというか、リクとの思い出の本を見て、ああ自分はもう宮本色葉じゃないんだ と確信してしまった。という感じです。)
でも、75から数学クイズを出され、リクとの日々を思い出します。そこで、確かにリクにもう二度と会えないかもしれないけれど、彼とわたしを繋ぐもの“数学”はここにあるって気づいたんです。
今回で色葉が宮本色葉への後悔を完璧とは言いませんが、ある程度振り払うことが出来ました。
※今回でてきた言葉
独りじゃない…死亡フラグが乱立しそうなセリフ。




