1.鶯は悪役www
みなさまの悪役主人公にあこがれましたが、路線がおかしいです。
作中の主人公ちゃんはセンスがおかしいのでご注意ください。
----- 今、わたしの心境を表すならばこうだ。
目が覚めたら悪役って、どこの二次元だよ。
まあ、状況を説明しよう。時は遡り……
☆
バシャーーーン
「アハハ、いい気味!」
「クソ女、学校やめろよ!」
え、なにこれ。
さて、みなさん質問です。わたしの名前は宮本色葉といいます。今日は、休日だぁああああああということで、自宅に引きこもり愛する子たちとイチャコラしていました。そんなわたしがなぜ今、トイレの個室と思われる(妙にキレイ。白すぎる便器がめっちゃまぶしい)ところにいて、上から水をかけられているのでしょうか?
え、え、え、え、え?はい?分けわかんね、わけわからんわかめ。
イジメですか、これ。ええええええええ。
んんんん?まず、なぜわたしはトイレにいるの?
ま、まあ、水かけてきたあのサル女たちはほっといてだね。と、とりあえず個室から出て、状況確認を……
----------------------え?だれこれ?
鏡を見たら、見たことのないわたしがいた。
☆
トイレの鏡を見たわたしはある仮説を立てた。
----これって、トリップってやつでっか?と。
ええええ。トリップなら、あの子たちがいるところがよかったな……、ハッ、じゃなくて!転生っていうのにはなんか違和感があるし、憑依って感覚じゃないし……。トリップだとしてここはドコ……?制服?(もしかしたらコスプレかもしれないorz)を着ているということは、今、学生……か?んで、水かけられたっていうことは、イジメられている?
イジメられているとすると、大体はトゥー(2)パティーン(パターン)だ。
パティーン1:逆ハーヒロインが、ヒーローたちのことが好きな女の子たちに嫉妬でイジメられる。(でも、大体この後はヒーローたちがイジメに気付いて、ヒロインは助かるっていうのがオキマリだよね!)
パティーン2:超極悪ライバル、または性悪女、逆ハー希望女が、ヒロインに負けた後。
である。
個人的にパティーン1はあんまし好きじゃない。無意識逆ハーだろうが意識的逆ハーだろうと、両方悪質だと思うからだ。パティーン2は当然起こるべき結果だけど、本当に心優しいヒロインならばそういう悪女たちも救済するのがフツーじゃね?とおもう。
まあ、あんまし、わたしは逆ハーヒロインに興味はないのでどうでもよかった。
……のは、過去の話である。自分の身に降りかかれば人間なんとでも変わるのだよ。
え?フツーにイジメられてる可能性は?って?
そりゃないと思う。そして、わたし的には今わが身に降りかかっているのはパティーン2だと断言したい。
冷静になって、宮本色葉のときのことを思い出して分かったんだ。
わたしにお水をおかけになさったサル女たちの言葉と、
-----今の自分の容姿からだ。今のわたしは名悪女:鶯宮色葉そのものだから。
☆
鶯宮色葉。彼女は、前世(?というべきなのか)での友人が好んでやっていたとある恋愛シュミレーションゲーム、いわゆる乙ゲーに出てくる悪役なのだ。わたしはやったこともないし、乙ゲーには縁がなかったので詳しくは知らないが、簡単に言うと金持ちたちが集まる学園の女帝として君臨していた鶯宮色葉は、学園にやってきたヒロインちゃんが攻略対象に好かれていくのを見て、嫉妬しイジめ、王道通りヒロインに恋するイケメソ(あ、わざとソだから)にばれて、逆にイジメられてしまうのだ。
お気づきだろうか?悪役と前世のわたしの下の名前は同じ。それゆえ、わたしの友人はこの乙ゲーをわたしに教えたのであった。そのときわたしはキャラが違うにしても鶯宮色葉には名前が同じだったから親近感を覚えたし、逆ハーヒロインが苦手なわたしは鶯宮色葉に好感すら覚えた。(友人いわく、ネット上ではアホの子として一部愛されているらしい。)結果、わたしは攻略方法なんて覚えてないけれど、キャラの名前と顔ぐらいなら一致するようになったのであった。チャンチャン。
うーーーん、鶯宮色葉か……。嫌いなキャラクターではないにしろ、悪役だし、この様子だとヒロインさんがどなたかとゴールインまたは逆ハーエンドした後なのだろう。このままだと、イジメられるし、うーん、転校すっかなぁ。鶯宮家って確か、親はこの事件(鶯宮色葉がヒロインちゃんイジメていたこと)で娘に一気に失望して、鶯宮色葉は周りから完全に味方がいなくなってしまう……という設定だったから、仲は悪いだろうけれど親も面倒事は嫌いそうだし、転校できるかもね。ま、人生楽観的にですな。
ん、それでは……、あ、わたしなんか持ってきてないのかな。ほら、トリップ特典みたいな。
ガサゴソ
制服の中には何にもない。うーむむ、やっぱりあの子たちは前世に置いてけぼr……。
わたしは声が出なかった。
水をかけられた個室にはあの子たちがいたのだ。
☆
そこから、わたしはとりあえず教室に向かった。時間を見たら放課後ではなさそうだし、授業に出ようかなぁと。わたし、マジメだから。(教室はふやけた学生証で確認済み。)
ガラッ
シーン
ヒソヒソ
オノマトペを使うとこんな感じ。まあ、展開は予想していたのだよ。
「ッチ。鶯宮、着席しなさい。」
おい、お前、いくら好きな女の子をイジメてた生徒でもその態度、アウトだろ……。
教師失格め!教師失格くんの名前は柴田家成。ヒロインちゃんの担任ではないが、攻略対象である。ちなみに、担当教科は数学。
「ん?」
わたしの机と思われるもの(そこだけ空席だし、机の中になんかつまってる)の上に、箱が……。
んー、どうせイジメだろうし、でも、教師失格くん、長いなよし格くんの前でイジメられてるアピールしても無駄だし、んんんんー、ま、開けますか。
パカッ
ゲコゲコゲコ
「きゃーーー!気持ち悪い!」
「カエルかよ、ま、性悪女にはピッタリだな」
「クスクス」
「鶯宮、お前のものか。早くしまいなさい。」
クラスメイト+格くんがなんか言っている(格くん言ってることおかしくね?笑)が、今のわたしは目の前の子に釘付けだ。それは、気持ち悪いとかじゃなくて……
「カワイイイイイイイイイイイ!!!!!」
そう、カワイイのだ。
は?
まさに教室の空気は凍てついた。
え、なになに、アマガエルかぁ。カワユイな、このこの。トノサマガエルも好きだけど、アマガエルが一番ポピュラーだし、小さくて、この緑色のバディ(ボディ)がたまらんですn……
「ちょっと!」
「はい?」
「あなた、そんな気持ち悪いものによく素手で触れますのね!この数日で、頭が壊れたのね!汚い!」
え、だれこれ。あ、モブさんか。わたしもモブの方がよかったかもなぁ。そっちの方が気が楽だし……、じゃなくて、え、とりあえず、1つ言いたいことが(そして、ギャラリーうるさい)
「あの」
「なに!性悪 鶯宮色葉!」
「なんでカエルが気持ち悪いんですか?」
シーン
ゲコゲコ
再び、教室は静かに。その静寂の中のカエル。んん、よし、ここで一句
「ヌルヌルしてて、気持ち悪いわよ!」
「古池や 蛙飛びk…」
あ、やば
「ふざけないでくださる!!あなたは、この学園の嫌われ者ですのよ!」
相手、余計怒らしちゃった。どうしようかな。
「もう、やめておけ。」
「不知火様!」
ここでモブ子さんを止めたのは格くんと同じく攻略対象 不知火薄暮である。この学園で、元女帝 鶯宮色葉と並んで皇帝 不知火薄暮と称された男の子である。わたしの友人は彼をエンパイアと呼んでいたのでイアイアと呼ぶことにしよう。カワイイ名前だ!まあ、そんなことは置いといて、女帝が地に落ちたこの学園内では皇帝イアイアが最高権力?をもっている。(個人的にはヒロインの尻にひかれているだろうから、実質はヒロインが権力を掌握してるんだろうね。)そんなイアイアに止められたら、モブ子ちゃんは止まるしかないだろう。てか、誰かわたしがびしょ濡れなことを指摘してよ。さみしいな。
「こんな女、カエルのような下等生物とお似合いだ。ハッ。」
イアイアのその発言とともにクラス中が笑いに包まれる。
「なんですって。」
わたしのその発言をクラスメイトは予想していたらしい。その顔はお嬢様お坊ちゃまとは思えないくらい下衆だった。
「The frog in the well knows nothing of the great ocean.」
わたし、いや、鶯宮色葉からこんな言葉が出てくるなんて予想してなかったんでしょうね。クラスメイトの顔はまさに唖然。
「井戸の中の蛙大海を知らず。これは、見聞が狭い事をいいますよね。元々は諸子百家の一人であり、道家、老荘思想の1人、荘子が述べたものとされています。」
「侮辱か!お前にいわれたくな!うぐいs…」
イアイアが反論しそうだが、わたしは止まらない。
「ええ、知っていますわ。わたしだって、まさに井の中の蛙。世の中のすべてを知っているわけではありませんもの。全知全能のカミサマでもないですから。
ですが、言わせていただきます。カエルちゃんが下等生物?笑わせんな、イアイア。カエルは知っての通りだろうが、両生類だ。わたしは両生類を尊敬している。なぜか?彼らは、水の中であろうと陸の上だろうと生きていける。と言っても、彼らは水に依存している。どちらでも生活できる----というのは言い過ぎだろうね。そうは言っても、平泳ぎなんてまさにカエルちゃんたちだ。オタマジャクシからの変態。あれを素晴らしいと思わないのかい?」
シーン
ゲコゲコ
え、なぜ黙る。
ハッ、今度こそ
「古池や 蛙飛び込む 水の音。」
え、スルーですか。
あの子:色葉が溺愛している
古池や蛙飛び込む水の音:有名なお方の俳句。静かさと蛙の声が引き立てあっている。
鶯宮色葉:とある恋愛シュミレーションゲームでの当て馬かつ悪役。言動が直情径行、幼く頭は緩いため、一部から支持されていた。
宮本色葉:現在鶯宮色葉になってしまった人の前世?周りの変人に感化され自分も変だが、本人にあまり自覚はない。今作の主人公さん。




