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22ジョーカー  作者: 蜂夜エイト
一章 Surface And Reverse
16/41

第十四話 疑念






 「ふざけんなっつってんだろ!俺はここを離れる気はサラサラねぇんだよ!」

 「アンタの都合なんて知らないわよ!護衛を命じられたなら、それらしく振舞ってみたらどうなの!?」


 狭苦しい格納庫の隅では、男女の怒声が響いていた。

 痴話喧嘩とは無縁の筈のこの場所で、何故その声が響いているのか。

 それはリヒトが格納庫に居座っているからに過ぎない。

 やはり愛機であるグラインダーのことが心配なのか、はたまた別の理由なのか。

 フェリアに推察することはできないが、とにかく、リヒトは一日の大半を格納庫の隅で過ごしていた。


 「あぁ、もう!大体なんで私までここに居なくちゃいけないのよ!」

 「護衛して欲しければ俺について来い……あ、やっぱ今のなしで。ついて来るな、邪魔臭ぇから」

 「アンタ、本当に碌な人間じゃないわね!」


 一応は護衛であるため、リラを引き連れて、だ。

 数日はリラも、見たことのないジョーカーマシンの整備に目を輝かせて眺めていたものだが。

 今ではその光景もすっかり見飽き、リヒトとの口喧嘩に興じている。

 勿論、それを聞きながら作業を続ける技術者達の顔色は芳しくない。

 その様子を見て、フェリアはやれやれとため息を吐き、グラインダーの足元から離れて両名の元へと向かう。


 「あぁん?もう一度言ってみろ」

 「ジジイかアンタは!いい!?私が言ってるのは―――」

 「ストップだ」


 フェリアはそれぞれの手を二人の頭に振り下ろす。

 リラの頭には素手、リヒトの頭にはコーヒーの入ったマグカップ。


 「痛っ!?」

 「くぅおぉおおぉおおおぉおぉお……っ!?」

 「お前ら、痴話喧嘩は外でやれ」

 「痴話喧嘩じゃありません。断じて、有り得ません」


 あらん限りに拒絶するリラ。

 そして、その横に転がっているリヒトは未だ頭を抱えて悶絶していた。

 声にならない叫びが、リラにほんの少しだけ同情の念を芽生えさせる。


 「痴話喧嘩云々はどうでもいいが、お前らはそろそろ邪魔になっているということを自覚すべきだ」

 「うぅ……とは言っても、そこに転がってる底辺男が……」

 「少し待っていろ」


 言うと、フェリアは未だ声を上げることも叶わないリヒトの襟首を掴んだ。

 呻くリヒトを無視して、そのまま耳元まで口を近づける。


 「リヒト―――」


 そこから先の言葉はリラには聞くことはできなかった。

 が、先ほどまでの様子からは一変してこくりと頷くリヒトを見て、いい気味だ、と思うのである。


 「さて、これでリヒトは言う事を聞くだろう。護衛として存分にこき使ってやれ」

 「ありがとうございますっ!」


 げんなりと項垂れたリヒトが身体を起こすと同時に、絶望に苛まれたような表情をする。

 心なしか得意げに笑んだフェリア。

 恨みを籠めた視線でそれを見上げたが、フェリアは何処吹く風といったふうである。

 不貞腐れたように床に座り込むリヒトに向かって、リラはその片手を差し出した。


 「底辺男、お手」

 「誰がするかボケ!!」


 一際大きな怒声が響くが、リラは満足そうに笑んだ。


 「で、底辺男。護衛主に従ってくれるのよね?」

 「誰が……」

 「ね?」


 リラが強い意味合いを込めて視線を投げた。

 その視線の先にあるのは、既にグラインダーの足元へと戻ったフェリア。

 リラの示す意味合いを理解したリヒトは、頭を掻き毟って一言。


 「……死にてぇ」

 「死ぬなら私を守ってから死になさいよ」


 リラが言い放つと、リヒトが立ち上がるのは同時だった。

 ―――改めて見ると、リヒトの身体は大きい。

 それは女性と男性という性の違いを考慮したうえでも、大きいのであろう。

 線は細いが身長が高く、どこか近寄りがたい雰囲気を発しているのだ。


 「……んで、一体何処へ行こうってんだよ」


 その疑問で、リラの意識は戻ってくる。

 リヒトを目の当たりにして、一瞬気圧されていた。

 そんな事実を振り払うかのように頭を振り、リラは虚勢を張って宣言する。


 「決まってるでしょ。私の家よ」

 「はぁ?」


 リヒトの素っ頓狂な声を最後に、格納庫から二人の姿が消えた。






      *       *       *






 「ホラホラホラホラ退いて退いて!肉団子に踏みつぶされたく無かったら早急に退いてー!」


 痴話喧嘩の次に響いてきた声は、甲高い少女の声。

 フェリアの周りに居た技術者達も、何事かと格納庫入口を振り返り見た。


 「肉団子て……」

 「そんなモンじゃない?悔しかったら痩せなよ、御主人!」


 ぼやく男の恰幅は、確かに肉団子と言えたかもしれない。

 それを気にしてか、当人も付き従うメイド服の少女に文句を言わず、困ったように頭を掻くだけであった。

 奇妙な二人組であり、格納庫の空気にはそぐわない二人でもあった。

 その正体を知るフェリアは、ようやくか、と一人呟く。


 「やれやれ、長い道のりだったよ」


 フェリアを見つけて、開口一番に男は言った。


 「御主人は贅肉の付き過ぎで動くのがダルいだけでしょ!もっと運動しなよっ!」


 横でぴょこぴょこと嬉しそうに跳ねる少女が、頭につけたネコミミを揺らした。

 変わらぬ二人を見て、フェリアは思わず微笑を浮かべる。


 「遅かったなウエマツ。そして、フーもよく来た」


 本来、召集されたのはウエマツだけだったのだが、フーも同行していた。

 同居人―――否、唯一の家族を置いて行くことは出来なかったのだろう。

 知り合いに預けるとは言えど、ウエマツは人付き合いが出来なさそうなタイプの外見であり、近所に知り合いは居ないと見える。

 そもそも、ウエマツの居住する研究所はアパートの外装を持ってはいるが、実質、そのすべての部屋はウエマツが所有するものである。


 「遅かったのは御主人が荷物を選ぶのに時間が掛かってたから……」

 「言うな!」


 フーの言葉を、ウエマツが途中で静止した。

 不満げな顔を浮かべて頬を膨らませるフーに対し、ウエマツは必死の形相で訴えかけていた。

 “頼むから言うな”、“フェリアにだけは知られてはならない”と。

 それを本能的に感じ取ったフェリアが、密かにウエマツの荷物を点検しようと思うのと同時に、フーが大きな声を発した。


 「うわー、凄いねコレ!何がどうなってるのさ?」

 「わ、私に聞くな!」


 フーが訪ねたのは白衣の一般研究員で、存分に狼狽えたさまを見せていた。

 それを見てからからと笑い、フーは一先ず満足するのであった。


 「……しかし、本当にこれは、何をどうしたんだい?」


 ウエマツは自分の頭上に存在するグラインダーを見上げた。

 通常のジョーカーマシンよりも幾分か小さいとはいえ、人間とは比べるべくもない。


 「見たところ、追加装甲の類にも見えるけど……」


 グラインダーの両手両足には、見慣れぬパーツが取り付けられていた。

 未だカラーリングされていない鉄の塊であるが、見たところは確かに、装甲板のそれに近い。

 だが、それよりも少しばかり厚く、また、先細りした特徴的なフォルムを持っている。

 それらが四肢に取り付けられ、グラインダーを幾ばくか大きく見せていた。


 「ふふん、まあ、秘密兵器という奴だ。機会があればお披露目しよう」

 「うーむ、果たして装甲なのかそうでないのか……或いは、もっと別の……」


 一人想像を膨らませるウエマツを見て、フェリアは満足げに鼻を鳴らした。

 そして改めて、“息子”同然のグラインダーを見上げる。

 ―――それは、彼女がデイブレイクに居た頃からの付き合い。

 最早腐れ縁とも言える仲であり、同時に、彼女がここに存在するための切っても切れない理由の一つなのだ。


 「違うよなぁ……グラインダーのスピードを殺すような装備をする訳が無いし……」


 未だグラインダーを見上げたまま考察を続けているウエマツを見て、フェリアは苦笑する。

 やはり、彼も優秀な科学者なのだ。

 好奇心と探究心は、如何に“戦争嫌い”と言えども切り離せるものではない。

 “好奇心は猫を殺す”とも言うが、この男は一度殺されたぐらいじゃあ諦めないだろう。


 「わからん……ああ、首が痛くなってきた」

 「それよりもだ」


 諦めて視線を落とし、首を抑えるウエマツ。

 そこに機を見て、フェリアが切り出した。


 「ベルランドとアイリの機体については考えているのか?正直、私はグラインダー以外はあまり手伝えそうにないのだが」

 「それについてはもう、心配ナッシングだよ」

 「御主人!」


 得意げにウエマツが指を振ると、何処からともなくフーが歩み出た。

 その手には見慣れぬ紙束があるが、おそらく資料であろう。

 それをフェリアに手渡して、フーはまたどこかへと走り去っていった。

 悪戯好きのフーのことだから、また技術者か研究員をからかいに行ったのだろう。


 「アルカナマシンを作るうえで必要な事、物は調達済みさ。あとは君のお墨付きを貰うだけって訳」

 「成程」


 一言呟くと、フェリアは手元の紙束へと目を落とした。

 確かに、筋の通った形で“アルカナマシン”を作ろうとしていることがうかがい知れる。

 元々は軍属の科学者とは言え、ここまで独学で突き詰めたのは偉業であろう。

 中でも、フェリアはある項目に目を奪われた。


 「“簡易(イージー)アルカナオーバー”……?」

 「それが目玉さ」


 食いついたフェリアの顔を見て、嬉しそうにウエマツが続けた。


 「グラインダーのアルカナオーバー、時止め。こいつに準ずる能力を付加してやろうってことさ」

 「ジョーカーマシンのシステムとして搭載する、と」

 「勿論本物のアルカナオーバーと比べれば弱くなるけど、その分負担も少ない筈。アルカナオーバーが“覚醒必殺技”だとしたら、こっちは“必殺技”って感じかな」


 ウエマツの喩に頷くことは出来なかったが、理には適っているとフェリアは考える。

 その実現方法も資料には載っていたが、それには問題もあった。


 「……この、“発動にはコマンド入力を要する”っていうのは何なんだ?」

 「ああ、それは僕のとって置きのコマンドで、レバーを半回転―――」

 「御主人、ふざけるのもいい加減にしなっ!」


 言おうとした瞬間、何処から再びフーが現れ、その頭を強打した。

 そのままウエマツのことを見ようともしないことから、いつもの事なのであろうと察する。

 手にした紙束と地面に転がるウエマツを交互に見て、フェリアは呆れた口調で言った。


 「……全部書き直して提出。今日中にだ」

 「待って!今日は見たいアニメの再放送が―――」

 「却下だ」


 取りつくしまもないとは、このこと。

 直後のウエマツは、ハイスクールで留年した男子学生のように絶望の表情をしていたという。






      *       *       *






 「ったく、本当にベルランドの許可貰ったんだろうな?」

 「勿論。アンタとは違って用意周到で頭の回る女ですから」


 厭味ったらしく言うリラにも慣れた様子で、リヒトは大型バイクの座席に深く腰を下ろした。

 その隣には、取り付けられたサイドカーに座るリラの姿がある。

 完全防備のフルフェイスヘルメットを用意する周到なさまに、リヒトは怪訝な目を向けた。


 「……なぁ、本当にサイドカーで行くのかよ?ちょーっと時代が古すぎるんじゃねぇか?」

 「五月蠅いわよ!アンタは黙って運転してればいいの!」


 リヒトは最初からバイクで行く気だったのだが、リラがそれを拒否したのだ。

 恐らく、リヒトと密着せざるを得ないからだろう。

 が、彼女を連れて行くためには歩きか、バイクかの二択であり、リラの家までの距離はそれなりに長い。

 苦悩の末に、リラはどこからかバイクのサイドカーを持ち出してきたのである。


 「それにしても、こんなモンどっから……」


 リヒトが感心よりも呆れのほうが比率の高い声を漏らす。 

 リラの表情はそのフルフェイスヘルメットのせいでうかがい知れないが、きっと不満げな仏頂面なのだろう。


 「さあ、行くわよ!」

 「へいへい、分かりましたよ……っと」


 小さな女王様の号令を受けて、リヒトはバイクを走らせ始めた。

 気筒から吐き出される煙とともに、バイクは風を切り始める。

 それと同時にリヒトの全身を覆うのは、風の流れで出来た“膜”だ

 この膜はバイクを包み込み、すべての物を置き去りにする快適な視界を提供してくれる。

 同時に、速度という概念を思い知り、それを操る自分へと陶酔できる。

 リヒトにとってのバイクとは、ジョーカーマシンと同様の“自分を活かすマシーン”だった。


 「ところで、お前よぉ」


 “そよ風”のように全身を覆うそれがやがて“突風”に変わる頃だった。

 リヒトが口を開き、リラに話しかけた。


 「家まで何をしに行くんだ?忘れ物でもしたのかよ」

 「アンタには関係ないでしょ!」


 しかめっ面―――であると思われるリラが、怒声を飛ばした。

 が、リヒトもこの高速で移り変わる景色に退屈しており、なお、話しかける意思を崩さない。


 「オイオイ、俺はテメェの護衛だぜ?ミッション内容ぐらい知る権利はあるだろ?」

 「知らないわよ!」

 「お前だって自分の知らない事情で振り回されるのは嫌だろ?」


 リヒトのその言葉に、リラは低く唸った後、観念したかのようにため息を吐いた。


 「……そうよ、忘れ物よ!これで満足!?」

 「いーやまだだね。果たして一体何を忘れたのか」

 「そこまで教える義務は無いわ!」


 これで終わりだ、と言わんばかりにそっぽを向くリラに向かって、リヒトは底意地の悪い笑みを浮かべていた。


 「お前、相当大切な物を家に置いてきたな」

 「……!」


 その一言に、リラの身体が一瞬跳ねる。

 ビンゴ、と指を鳴らすリヒトに、リラは益々不機嫌になってしまった。

 だが、その態度こそが証拠を提示しているようなものである。


 「こんな非常事態になっていても、危険を承知で取りに戻る物……替えの利かない何かだな」


 尚も続くリヒトの考察に、リラは完全に閉口している。

 それは全て当たっているからなのか、単に不機嫌なだけなのかは分からないだろう。

 だが、リヒトには確信に近いものだと思っていた。

 だから、その言葉はこう締められる。


 「恐らく、テメェが“戦場ジャーナリスト”なんて危ねぇモンをやってる理由……その根幹に根差す何か」

 「……アンタ!!」


 リヒトの言葉に、リラが怒声を放った。

 今までの怒声とは違い、もっと強い感情的な怒りの言葉である。

 リラのその様子に、リヒトはおどけて見せる。


 「おお、怖い怖い。これぐらいはやり返させて貰っていいじゃねぇか。これ以上は何も言わないからよ」


 それきり、リヒトは閉口した。

 しかし、何故か上機嫌なリヒトは鼻歌を歌いながらバイクを走らせる。

 調子はずれなBGMを聞きながら、リラはぎゅっと両の手を握りしめた。


 ―――大丈夫、バレちゃいない。

 これ以上無い絶好のチャンスを逃すわけにはいかないのだから。

 嫌に力の入った目線を投げると、脳裏には彼の姿が過る。

 そしてその姿を幻視するたびに思うのだ。


 「……絶対に、真相を掴みとる」


 心の中で固く誓って、リラは今しばらくはリヒトの鼻歌を我慢することにした。

 二人の旅程は、既に半分を切っていた。






      *       *       *






 「何とも強引な女性だ……これでは事後承諾ではないか」


 地方守備隊機動兵器駐屯基地の隊長室。

 その部屋の主であり、この基地の事実上の主であるベルランド・ヴィスビューがため息を吐いた。

 彼の机の上にあるのは一枚の紙切れ。

 それは作戦会議室に残されていたものであり、宛名にあった“ベルランド”の文字を見た副官が届けたのだ。


 「俺の所へ届かなかったらどうする積りだったんだろうな……いや、それは邪推か」


 中身には、たった一言だけ書かれている。

 外出してくる、夜までには帰る、と。

 文字は女らしく丸まっていることから、書置きの内容はリラが書いたことがわかる。

 何せ“宛名”はあれど、“差出人”の名はどこにも書かれていなかったのだ。


 「ロウ、リラ・アーノートについての情報は揃ったか?」

 「こちらに」


 隣に控えていた副官―――ロウが、資料である紙を数枚手渡した。

 そこにはリラ・アーノートの大まかな経歴やパーソナルデータが載っている。

 本来、ベルランドはこのようなことをするのを嫌ってはいたが、状況が状況のため、止むを得ずにそれを取り寄せた。

 彼の内心を渦巻いているのは、疑心である。

 果たして、リラ・アーノートがデイブレイクの構成員でないという証拠があるのか―――


 「……カレッジを出るまでには何も変わったところはない、が」


 含みを持たせて、ベルランドは次の項をめくった。


 「ここだ。まず、彼女の弟が亡くなっている」


 そこに表示されていた事実は、リラ・アーノートの弟が戦災で亡くなっているのだ。

 それは彼女を戦場ジャーナリストという仕事に導くには易いことだったのかもしれない。

 しかし、ベルランドは一点、奇妙な項を見つけて瞠目する。


 「―――当時指揮していた隊は、第708陸隊……?」


 第708陸隊。

 それは当時ベルランドが隊長として指揮を執っていた陸隊であり、機動兵器が満足に配備されていなかった頃の隊だ。

 それ故にベルランドの記憶は薄かったが、確かに、戦っていたことは思い出せる。

 が、それこそが新たな疑念の種。


 「馬鹿な……戦闘を行ったあの場所は更地だった。一般人が居る筈がない……」


 疑念は更なる疑念を生み、ベルランドは頭を抱えた。

 リラの経歴に何もなければ、まだ楽だった。

 だがしかし、そこには無視できない“謎”が残されている。


 「これは、俺達にも関係する話だな」


 リラが帰って来た時に、少しばかり話を聞いてみよう。

 そう決意したベルランドは、再び資料の項をめくった。

 他には特に変わったところはなく、職業以外は至って普通の女性であるといえよう。

 ベルランドは張りつめた息を吐き、首を一度鳴らした。


 「大変ですね、隊長」

 「全く、損な役回りだ」


 ロウのねぎらいの言葉に、ベルランドは憂いを交えて答えた。


 「“三英雄”も、楽ではないものだな……」


 その呟きに、ロウが目を鋭く光らせたのは、誰も気づいていなかった。

 そう、本人でさえ―――気づいてはいなかったのだ。


 「デイブレイクの侵攻までに全て整える。資料を引き続き頼むぞ、ロウ」


 ベルランドの言葉に、ロウは微笑で返す。


 「勿論です……隊長」






ようやく一章も終わりが見えてきたような、そうでもないような……。

とりあえず、ここからは一気に加速したいと思います。

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