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22ジョーカー  作者: 蜂夜エイト
一章 Surface And Reverse
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第十三話 集いし三英雄






 藍色の軍服を着た男が、夜道を歩いていた。

 時刻は既に深夜の三時を回り、辺りは既に誰も居ない。

 それも当たり前だ、ここは人の踏み入らない暗い森の獣道。

 男がこの時間に歩くのは訳があった。

 彼の“公の立場”では決して容易に会うことの出来ない存在に会う為。

 そして、その先にある“真実”を知るために、彼は歩いていた。


 やがて夜目が慣れ始めた頃、景色は開け、森の中に開けた場所が現れる。

 そこに鎮座しているのは、古ぼけ、自然に侵食された教会であった。

 決して大きくない尖塔に嵌められたステンドグラスの欠片だけが、不気味に月の光を反射していた。


 「……ここか。森の教会」


 男は呟くと、意を決したように教会へと近づいていった。

 近づくほど分かったのは、誰も好んで近寄ろうとは思わない教会の外見だけである。

 汚らしい壁は白を無くし、苔と煤の入り混じった緑と黒に彩られている。

 それはこの教会が“焼失”したことを思わせ、実際、そうなのであろう。

 ここは“第三次世界大戦”の激戦区。

 戦火に尤も晒されていたこの地域には、戦火を耐えた建物のほうが稀だ。


 入り口の扉は腐り、既に扉としての機能を果たしていなかった。

 だが、大柄の男が入るには扉の残骸が邪魔で、半ば強引に扉を開けた。

 壊れた扉の破片が落ちると同時に、月明かりに照らされた教会に埃が舞う。

 男は顔を顰めるが、同時に、細めた目で教会の奥を見つめた。

 大きくない教会の最奥、十字架の前に男が立っていた。


 「―――ようこそ。お待ちしておりました」


 背を向けていた男は振り返ると、月明かりの下に一歩歩み出て、恭しく礼をした。

 黒いカソックに身を包んだ、片眼鏡の男である。

 刈り揃えられた短い金髪が、彼の本質を表していたのかもしれない。

 律儀、真面目、頑固―――それらの感想が、訪問者の頭を過ぎった。

 だが、そんなことはどうでもいい、と頭を振るう。

 彼が男に聞きたい事は、ただひとつ。


 「……本当に、何でも教えてもらえるんだろうな」

 「ええ、何なりと……とは言いますが、質問の内容は察しが付いておりますがね」


 嫌味の無い笑顔でカソックの男が笑う。

 正反対に歯を軋ませる男は、静かに拳を握り締めた。

 怒りを噛み締めるようなその様を見て、カソックの男が益々笑みを深めた。


 「では、聞こうか……俺の姉さんを殺したのは、何処の誰なんだ?」

 「これをお読みなさい。全ての真実が、その書類に」


 カソックの男は脇に抱えていた書類を投げ渡した。

 ひらりと足元に舞い落ちた書類を見て、訪問者の男は訝しげな顔でそれを拾った。

 その書面に題されていたのは、“部隊編成書第708陸隊”。


 「これは、姉さんの……」


 男は驚きと同時に、書類を斜め読みした。

 そして、瞠目と共にその一番下に書かれたサインの名前を見つける。


 「まさか、そんな……嘘だろう……!?」

 「いえ、それは全て、真実です」


 カソックの男は断言し、柔らかに笑んだ。

 それはまるで天使のような笑みであるが、同時に、あまりにも“寒気”を喚起させる笑み。


 「私、嘘を吐くなら“人を幸福に出来る”嘘しか吐かない性分でして」

 「馬鹿な……!これが本当なら、アイツは……!!」


 男の戸惑いはやがて怒りに変り、その様子を見たカソックの男は更に笑みを深めた。

 そう、このまま、口が裂けてしまうのではないかと見紛うばかりに―――口の端を、吊り上げたのだ。

 月下、男は笑う。

 誰よりも高らかに、誰よりも純粋に。






      *       *       *






 砂漠での龍との邂逅から直ぐ後に、リヒト達は砂漠との別れを告げた。

 イナドにはまともな挨拶すら交わせなかったのだが、それでもいいか、などと楽観的にリヒトは考えていた。

 それよりも、重要な案件がある。


 「―――これが護送機……!私、護送機って乗ったこと無かったんですよ!」

 「……なんで、テメェが平然と俺達の軍用護送機に乗ってやがる?」


 ベルランドが迎えにと寄越した護送機の中ではしゃぐ、リラ・アーノートの存在である。

 中に居るのはパイロットを除けば、リヒト、フェリア、リラの三人。

 しかし、最初の邂逅の件もあり、リラはリヒトを、リヒトはリラを敵視している。


 「だって私、重要参考人よ?それを無事に送り届けるのは軍人の義務じゃないの?馬鹿なの?死ぬの?」

 「俺は軍人じゃねぇし、テメェみてぇなのから参考になることなんて何一つありゃしねぇんだよ!」

 「五月蝿いわよ、馬鹿!」

 「何だと、馬鹿女が!」


 互いが互いを牽制し、空には皮肉交じりの怒声や罵声が響く。

 そんな雰囲気は何処吹く風、といったふうでフェリアだけが平然とくつろいでいた。


 「大体、街でいきなりぶつかって無理矢理助けさせようとかテメェは常識ってモンがねぇのか?」

 「……乙女のピンチに見向きもしない底辺男」

 「あん?乙女ェ?何処にそんなもん居やがる?」

 「絶対、アンタ碌な死に方しないわよ。夜道に気をつけなさい」


 物騒な問答を繰り返す二人に、フェリアは呆れたような眼差しをくれた。

 こういう犬猿の仲というものは、得てして存在するものだ。

 故に、巻き込まれないためにも干渉は避けるのがフェリアの流儀。


 「痴話喧嘩もほどほどにしておけよ?」

 「「誰が痴話喧嘩!?」」

 「お前ら仲良いな」


 だが、何故か喋りかけずにはいられなかった。

 不思議に首を傾げるフェリアだったが、結局答えは出ない。

 彼女自身の心に芽生えた―――否、蘇りつつある“感情”という答えには、辿り着けなかった。

 二人が再び喧嘩を始めた最中、不意にコックピットから声が掛かる。


 『目的地に到着します。全員、しっかりと掴まっていってください』


 パイロットの声に従い、三人はそれぞれ己の近くに在った手摺に掴まった。

 リヒトは堂々と扉の前に立ち、“誰よりも早く出て行こう”という意思を如実に表していた。

 それ即ち、リラと同じ空間から一刻も早く抜け出そうという魂胆なのだろう。

 対してリラは、ややへっぴり腰で奥のほうに陣取っていた。

 そして、フェリアはその中間。


 「おいおい、ヘッピリ腰だが大丈夫か?着地の時に腰を折るなよ?」

 「ううううう五月蝿いッ!!アンタこそ、落ちるんじゃないの!?」


 二人を隔てる距離を泳ぐ罵声を両耳で浴びて、フェリアは何度目になるか分からないため息を吐いた。

 既に癖と化してしまったか―――小さく項垂れた直後に、衝撃は柔らかく全員を襲った。


 「きゃあっ!?」


 約一名大げさな声を出すが、それ以外は冷静に着地したことを知った。

 それと同時に、鋼鉄の扉は勢い翼開け放たれて―――


 「あらぁん?」

 「げっ」


 リヒトの時が止まる。

 その視線が示すのは、扉の近くに居た人影。

 引きつった顔で、リヒトは一歩後ずさるが―――


 「あぁーん、お久しぶり、リヒトぉ!」

 「宇和ぁあああぁああぁああぁああぁあぁああぁあっ!?」


 人影はリヒトを強襲。

 その力一杯の抱擁に、リヒトの絶叫が響いた。






      *       *       *






 「……不本意ながら」


 そう前置きして、リヒトは言う。


 「コイツが“三英雄”の最後の一人、“魔獣”の名を冠する……」

 「やぁーん!魔獣なんて物騒な名前で呼ばないでよぉ!」


 リヒトの隣の男―――否、性別不詳の存在が、リヒトの肩を豪快に笑いながら叩いた。

 あまりの衝撃に前につんのめるリヒトを見て、リラはいい気味だと笑っている。

 一方、フェリアは“魔獣”と呼ばれた存在を改めて観察した。


 ―――筋骨隆々の肉体は、この中の誰よりも強靭で、大きい。

 しかし、その白い髪はところどころピンク色のメッシュが施されており、パンクロッカーを髣髴とさせる。

 厳ついであろう顔にはメイクが施されており、どちらかというと女のようなメイク。

 ジーパンにシャツとラフな服装だが、所作は所々女らしくもある。


 「……オカマ」

 「誰がオカマよぉ!」


 フェリアの心の内を代弁したリヒトが、再びどつかれる。

 どついた張本人は笑ったままだが、どこか威圧感を増したような気がしていた。


 「アイリ・フォードよ。気軽にアイリって呼んでね?」

 「フォード?フォードって、あの、フォードPMCの?」

 「そうよぉ」


 すぐさまに反応したのは、意外にもリラであった。

 流石は戦争ジャーナリストといったところか、とフェリアが頷く。


 ―――フォードPMC(軍需産業)。

 文字通りに軍備や戦争に関するあらゆる仕事を請ける会社だ。

 第三次世界大戦が終わったものの、未だ各地で起こる紛争などに対する傭兵家業で稼いでいる。

 人権団体が如何に抗議デモを挙げようと消えない仕事の一つでもあった。


 「気をつけろ、ヤツの本名はアイクとか言う感じのゴツい名前だ」

 「乙女の秘密をバラさないでよぉ!」


 三度どつかれたリヒトは、今度こそ床へと転がされる。

 学習能力が無いのか、とフェリアは呆れの溜息。

 それを見てもにやにやと笑うだけのリラ。


 「緊張感の無いメンツだな」

 「まーいいじゃないですか!変に緊張するよりは!」

 「……そうだな」


 リラの言葉に、薄く微笑みながらフェリアが同意した。

 今、彼らが存在する場所は、ベルランド属する軍基地の廊下であった。

 砂漠での戦いの直後、ベルランド直々に呼び出しが掛かったのだ。

 それが果たして、吉報なのか凶報なのかは未だ分からない。

 そして何よりも―――


 「あらぁん、そろそろ到着するみたいよぉ?」


 目の前を行く、アイリ・フォード。

 “魔獣”の名を冠する彼女は、一体どのような思想でここに足を運んだのか。

 真意を掴みかねるフェリアは、ただ黙して歩いていた。


 「これじゃありませんか?」


 リラの言葉に、全員がその扉を見た。

 “第五会議室”―――この基地に幾つかある会議室の一つである。

 いつの間にか先頭を行っていたリヒトが扉を開ける。

 そしてフェリアの前を行く人間は次々と会議室へとなだれ込んだ。

 数瞬遅れて、フェリアも会議室へ。

 飛び込んできた光景は、整然と並べられた長机とパイプ椅子、そして、奥に居座る一人の男。


 「―――久しぶりだな。“英雄”、そして“魔獣”」

 「テメェ散々こき使っておいて“久しぶり”だと?マジではっ倒すぞ」

 「うふふふふ、お久しぶり“猛禽”。そして……」

 「戦争以来だな。“三英雄”が集結するのは」


 ベルランドが締めくくり、三人は一同へと介した。

 目で、耳で、鼻で、三人は互いの存在を確認し、一糸乱れずに頷いた。

 それは戦争で培った“英雄の絆”とでも言うのか。

 その光景に、フェリアは珍しく、ただただ圧倒されていた。


 「フェリアさん、席に着かないんですか?」


 リラが声をかけ、思い出したかのようにフェリアは席へと腰掛ける。

 隣にはリラとリヒトが既に着席していた。

 全員が着席したのを見て、最後にベルランドが最奥の場所に座る。


 「まずは、フェリアにも紹介しておこう。フォードPMCの社長にして、“魔獣”。アイク……アイリ・フォードだ。アルカナマシンの話以前から“魔力”の研究を手伝って貰っていた」

 「そのまま引き続けてデイブレイク対策に情報収集などを担当していたけれど、余計だったかしらぁ?」


 フェリアを流し目で見たアイリに、リヒトがぎょっと身体を跳ねさせた。

 肝心のフェリアはそんなことは無い、と感情無く言っただけであったが。


 「―――さて。過去を懐かしむ暇も、世間話に花咲かせる時間も我々には無い。本題を切り出そう」


 そう言うと、全員が静かに息を呑んだ。

 この場に漂う緊張感が、全員の喉から水分を奪う。

 全ての視線がベルランドに注がれ、彼は、そっと口を開いた。


 「恐らく、近いうちに“デイブレイク”は本格的に動き出す」

 「やはりか……」


 その言葉に相槌を打ったのは、フェリアだ。

 懸念通りの展開に、苛立ちを隠せない。

 とはいえ、それを感知できたのはリヒトのみであったが。


 「最近の大胆な行動。ジョーカーマシンの使用。それはデイブレイクを光に晒す危険性のある行為だ」

 「無論、秘密組織である連中がそんな行動を取った前例は今まで殆ど無い」


 ここ二週間ほど以外はな、とフェリアが付け足した。

 満足気に頷いたアイリが、続きを言う。


 「詰る所、もう“隠れる必要は無い”……デイブレイクがガンガン行動してくるわよぉ。それこそ、グラインダー狙いで強襲とか、ね?」

 「ウインクやめろ!俺を見るな!」


 リヒトが全力で嫌悪感を表すと、それでもアイリは熱烈な視線をリヒトに投げた。

 散々な男だ―――フェリアがそう思うと、隣のリラがおずおずと聞く。


 「ということは、もしかしてその“デイブレイク”の目的に必要な準備は整ったってことですか……?」

 「然り。当然、推論ではあるがな」

 「ってこたぁ、こりゃ本格的に追い詰められてんじゃねぇか」


 やってらんねぇ、と吐き捨てて、リヒトはパイプ椅子の背もたれに体重を預けた。

 ぎぃ、と軋む音の後、数秒の沈黙が辺りを包んだ。

 が、その静寂を破る声もある。


 「現状の戦力を確認しておこう。言わずもがなだが、皆、デイブレイクに抗う覚悟はあるな?」


 フェリアが音頭を取り、リラ以外の全員が頷いた。

 リラは訳が分からない顔をしているものの、その場の空気に自分の言葉をさしはさむ余地は無いと諦める。


 「まずは、味方だが……アルカナエンジンは三つ」

 「グラインダーの“皇帝”だろ……後は?」

 「“教皇”、“戦車”だ」


 リヒトの疑問に、間髪入れずににベルランドが口を挟んだ。


 「対して、デイブレイクに確認されているのは“女教皇”、“正義”、“塔”。新たに“魔術師”も奪取されていたわねぇ」

 「そして“戦車”は元々敵の物……更に数を増やしているとみてもいいだろう」


 フェリアの言葉は正しい。

 この短期間で二つもアルカナエンジンを増やしているのだ。

 デイブレイクは更に数多くのアルカナエンジンを所持しているだろう。

 手段を選ばなくなれば、尚更である。


 「戦力自体は大体互角か?こっちには軍とPMCが居るからな」

 「悪いが、軍自体は動けんぞ。自衛という名目があれば別だが……」

 「PMCも今の紛争に機体が出払ってるからねぇ……」


 リヒトの楽観的な考えに水を差すように、二人が難しい顔をした。

 あからさまに肩を落としたリヒトに変わり、フェリアが続ける。


 「どうにか用意できる最大の戦力を集めよう。アルカナエンジンは今、三つも集っているのだから」

 「基地の方にアルカナエンジンを置いておけば問題ない……か」

 「PMCの傭兵達は、ベルランドに雇ってもらえば解決ねぇ。私もガッポガッポ儲けられるしっ!」


 その言葉に一瞬、ベルランドが眉尻を下げた気がした。

 しかしそれも次の瞬間にはいつもの真顔に戻って、検討しよう、などと取り繕う。


 「しかし、恐らく相手もそれを予見してるぜ……本当に勝てんのかよ?」

 「大丈夫だ、問題ない」


 ベルランドはそう言い切ると、珍しく口の端を挙げて不敵に笑んで見せた。


 「秘密兵器を用意している。次の戦闘には間に合う筈だ」

 「秘密兵器ねぇ……」


 胡散臭げに見つめるリヒトを既に意識から外し、ベルランドは一つ咳払いをした。

 辺りには再び沈黙が生まれ、同時に、ベルランドが第一声を飾る。


 「これから襲い来るであろうデイブレイクに対して、相応の準備を始めようと思う」


 言うと、ベルランドはまず、フェリアの方へと顔を向けた。


 「フェリアはジョーカーマシンの元・研究員。彼女にはジョーカーマシンの改修、強化を担当して貰おう。今、ウエマツがこの基地へと向かっている筈だ」

 「ウエマツが?アイツ、ジョーカーマシンの研究なんてやらないって言ってなかったか?」

 「曰く、“これはジョーカーマシンの研究ではなく、魔力兵器の研究”と言う話だ」


 相変わらずの屁理屈をリヒトは鼻で笑った。

 だが、悪くない。

 その腕を以ってすれば、ジョーカーマシン関連を任せても問題ないだろう。


 「そして、アイリ。貴様には兵の準備を進めると同様に、情報収集も続けてくれ」

 「オッケーってか、やるのは私じゃないんだけどねぇ」


 アイリは勢いよく返答し、その厚い胸板に拳を当てた。

 直後、“サービスシーンよ”などとのたまったために、リヒトが精神的ダメージを受ける。

 気を取り直して、といったふうにベルランドが続けた。


 「俺はここでいつも通りの事をやる。同時に、全体の総括を取る。そして、リラ・アーノート」

 「ひゃっ、ひゃい!?」


 呼ばれると思っていなかったのだろう、リラが肩をびくつかせながら返事をした。


 「君には悪いが、暫くこちらの保護下に置かせて頂く。デイブレイクに一度関わってしまった以上、一般人の君でも命の危険があるのでな」

 「え、えぇ、そりゃあもう、勿論……護って貰えるなら、何でも……」


 しどろもどろになりながらも、リラが了承の意を返した。

 それに頷き返して、ベルランドは一度全体を見回す。

 その中にはまだ、呼ばれていない人間が居た。


 「待て待て、じゃあ俺は何をするんだよ?」


 リヒトだけが、未だにやることが決まっていない。

 既に自分でやれるような事も思い浮かばないが、それでも、リヒトは抗議をした。

 ベルランドがそれを意地悪く笑ったのは、気のせいではあるまい。


 「リヒト。お前にはリラ・アーノートの護衛を担当して貰う」

 「え?」

 「は?」


 その言葉に、その場に居た二人が立ち上がった。

 リラは一席離れたリヒトを、リヒトも同様にリラを見た。

 目を丸くして、一度ベルランドに目線を戻す。


 「……無論、反論は受け付けない」


 満足気に微笑むベルランドの顔は、二人には最早悪意しか感じられなかった。

 改めて、二人が互いを見た。

 両者共に敵意を向けて、ベルランドに向けて等しく叫んだ。


 「「何でこんなヤツとっ!?」」


 二人の大声に挟まれたフェリアが、五月蝿そうに顔を顰めた。








起承転結で言えばまさに“起”といったところですね。


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