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土佐の高知は、今日も晴れぜよ! 作者:はちきん乙女
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土佐の女は「はちきん」ながやき。

 先の章で私は、高知には酒豪が多いという話を書きました。
 しかし、当然ですが、すべての高知県民が酒豪と言うわけではありません。あたりまえですが、高知県民の中にも「一滴も呑めない」という人もいますし、ちょっと呑んだだけで真っ赤になる人も、もちろんいます。
 なにしろ高知県民と言えども所詮は日本人。他県のみなさんと人種が違うわけではありませんから、肝臓の機能にそれほどの差があるわけではないのです。おそらく大酒を呑むのは高知県民という気質で、体質的には、それほど酒が強いわけではないのだろう……と、私は思っています。だって、何をかくそう、不肖わたくし、お酒は大好きですが、高知的レベルで言うとそれほど強くはありません。呑めば普通に酔いますし、記憶もよくなくします。なのに、「おきゃく」になるとなぜかテンションが上がる他称「宴会部長」で、酔っぱらって失敗したことも、数え上げればきりがありません。
 ……と、そんな私の恥ずかしい話はさておき。
 高知では、酒豪かどうか、呑めるか呑めないかは別として、気質として「おきゃく」が好きなのだと思います。なにしろ、私の友人には「お酒はあんまり呑めないけど、宴会の雰囲気が好き」と言う人も多いですし、男女を問わず、呑める呑めないを問わず、仲間内の吞み会にはたいていみんなが参加します。一滴も呑めないけれど、宴会では常連で、いつもハンドルキーパーなんて人もいるくらいです。高知の「おきゃく」は呑めん人でも盛り上がる……と、言えるかもしれませんね。
 ただ、他県に比べると、高知にはお酒が好きと言う女性が多いのも事実でしょう。
 たとえば、高知の女性に「酒が呑めるか?」と訊くと、「少々」と答えるという都市伝説(?)もあるくらいです。この話は、高知出身の作家、有川浩さんの著作「阪急電車」の中にも登場するので、もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、これは、高知的にはわりと有名なエピソードで、少々の「少」を「升」にたとえた暗揄なんです。つまり、高知の女性は升々呑めるで、二升は呑めるってことですね(もちろんこれは、高知特有の大げさな話で、普通はそんなに呑みませんが)。
 この暗喩は、高知の女性は宴会の時に初めは呑めないふりをするけれど、実はうわばみ。土佐の女の気質は男勝り。女を酔わせてどうにかしてやろうなどと思っていたら、あべこべにつぶされてひどい目にあうからやめておけっ、ていうことのたとえ話とでも言えばいいでしょうか。ようするに、女を酔わせてどうにかしてやろうなんていう無粋なことはするなっ、ていう戒めの話なのだと私は思っています。なぜなら、残念ながら、自称「酒好き」の私でも、二升も呑んだら翌日はきっと晩まで頭が上がりませんし、そこまで呑んでも翌日平気という人は、きっと、高知中を探しても、そうたくさんはいないでしょう。ただ、「二日酔い覚悟で臨めば、二升くらいなら呑めるわ」って言う人は結構いるかもしれません(笑)。なにしろ、高知の女性ですから、「二日酔いが怖くて酒が呑めるか!」って言う人が多いですから(そして私もその一人……かな?)。

 さて、高知ではこのお酒に限らず、男勝りな女性が多いとよく言われます。
 私がユーザー名で使用している「はちきん」も、実は男勝りな女性を指して言う土佐弁で、威勢がいい、気の強い高知の女性の代名詞と言ってもいいでしょう(ただ、私が「はちきん」なのはおきゃくのときだけですが)。そして「はちきん」は、一歩間違えれば「じゃじゃ馬」と勘違いされそうですが、「じゃじゃ馬」とは違います。男勝りな中にも女らしさがあり、ちゃんと「男をたてる」と言うことを忘れないのが真の「はちきん」。なので、かの坂本龍馬の姉「乙女」などは、典型的な「はちきん」だと言えますね。何しろ、「泣きミソで寝小便たれ」の坂本龍馬を鍛えたのは「乙女ねえやん」だと言われているくらいですし、ドラマや小説などでも「乙女ねえやん」がおしとやかに描かれているものは一つもないのに、気が強いけれどちゃんと女らしさをもった、芯の強い女性として描かれているものがほとんどです。
 そう、高知では、男が「いごっそう」で、女は「はちきん」というのがスタンダード。「いごっそう」というのは、頑固で気骨のある男性を指して言う土佐弁で、高知の男性には頑固者が多いなどとも言われます。しかし一方では、土佐の男はギャンブル投資額、飲酒量、テレビや映画の視聴時間の長さ、飲酒以外の浪費などにおいて全国一位という統計も出ているそうで、頑固なうえに家庭を顧みない男性が多かったせいで、女性が強くなったのだという説もあります。そして、そんな説に私は「なるほど」「やっぱり」と、納得してしまうところがあるのです。ここだけの話、私の父も、その例外ではありませんでした。家庭を顧みないタイプで、競輪競馬、競艇は言うにおよばず、いまだに年末の宝くじも必ず買うというギャンブル好きですし(宝くじは三百円以上が当たったことはありません)、飲酒量も半端ではありませんでした。
 ……と、こんな父の恥ずかしい話も脇にどけておきましょう。

 ところで、この「はちきん」、語源については諸説あるようですが、一番有力なのは、やはり、「八金」と書く「金が八つ」説でしょう。
 なんと、この「金が八つ」説、「金」と言うのは、いわゆる男性の金○のことだそうで、「金○が八つ」で、男性四人を指すらしいのです。はっきり言って、立派な下ネタです(笑)。そしてこれには「男の人四人と対等に渡り合う」という説もあれば、「男の人の金○を一度に八つも手玉にとる淫乱な女」という説もあるらしいです。ただ、土佐弁的には「はちきん=男勝り」という意味なので「男の人四人を相手にしても勝つ強い女」という説のほうが一般的です。といっても、この「金が八つ」説を私が知ったのも最近のことで、語源なんて知らない高知県民も多いのではないかと思うのですが……。

 まあ、語源がなんであれ、土佐の女が「はちきん」なのは変わりません。
 そんなわけで、「土佐の女をなめたらいかんぜよ!」と、気炎を吐きながら、高知の女性たちは夜の巷を闊歩するのでありました。
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