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1-7,開眼

長い間期間が空いてしまい申し訳ないです!

高校生になって最初の定期テストがあって、どうしても点を取りたかったので、思うように執筆できない時間が続きました…。

私の想像力の及ぶ範囲で、最も面白い物語を書いているつもりです!ぜひこの話だけでも読んでみてください!

「零空ちゃん…本当にこれで行けるの?」


「この世に絶対はない。怪異が絡んでくるものだと、余計にね。」


 私と零空ちゃんは、無意味に電車を3回乗り換え、環状線を1周した。

 零空ちゃん曰く、これは白魅さんが行ったであろうきさらぎ駅へ到達する為に必要な行為であるようだが、私にはよく分からない儀式にしか感じない。


 f分の1のゆらぎの音を出しながら、電車がトンネルへと入る。それから数分経つが、トンネルを出る気配はない。


「このトンネル、こんなに長かったっけ?」


「成功したってこと。ここはもう怪異の異次元なの。きっとそろそろアナウンスが──」


 ちょうどのその時、疲れ果てた男性のような声のアナウンスが聞こえてきた。


『次は活造り〜、活造りです。』


「!?」


 状況が掴めない私をよそに、いつもポーカーフェイスの零空ちゃんが明らかに驚いている。


「ど、どうのしたの零空ちゃん!?」


「まずい。きっと今私達がいるのは、きさらぎ駅じゃなくて"猿夢"…。」


「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 電車の後ろの方から女性の悲鳴が木霊する。振り返ると、この車両の一番後ろの席に血が飛び散っていた。


 女性の膝の上には猿の小人のようなものが乗っていて、小人は鋭い刃物で女性を腹部を切り裂いている。


「ひっ…」


 女性は恐怖に顔を引きつらせる。そして、腹部から臓器を取り出されながら息を引き取った。まだ遺体は痙攣している。


「な、なんなのこれ!」


「落ち着いて。これは猿夢っていうインターネット掲示板発祥の怪異。」


 零空ちゃんによると、"猿夢"とは、電車の中で拷問内容を表すナレーションが流れ、席が後ろの人から順番にナレーション通りに殺されていくという怪異だそうだ。


「やばいよ!早く逃げないと!」


「逃げられるならそうしたら?」


 私は座席から立ち上がろうとするが、身体が金縛りにあったかのように動かない。手足を動かすくらいはできるが、立ち上がろうとすると途端に身体が動かなくなる。


「ど、どうすれば…」


 またナレーションが聞こえてきた。


『次は吊るし上げ〜、吊るし上げです。』


 今私達の後ろにいる人は9列。私達が乗ってからさっきのナレーションまでおよそ1分だったから、私達が殺されるまでに残された時間はたった9分だ。


「どうしたらあの人達を助けられるの!?」


「無理。少なくとも私達が動けないうちは、絶対に助けられない。それに、この人達が本当に人間である保証だってないから。」


 零空ちゃんは淡々と言う。


「普通、怪異は近い場所で複数発生しない。餌をお互い奪い合うことになるから。なのにきさらぎ駅と猿夢が同じ路線で発生しているのは、何か特殊な理由があるから。」


「今、そんな事考えてる場合なの!?」


「さあ。でも、今手探りでできることはそれくらいしかないでしょ。」


 私は電車の中を見渡す。後ろに血痕があること以外は特に変わった様子はない。


 しかし連結部に目をやると、電車の内装に見合わないレトロな公衆電話が置かれていた。


「零空ちゃん、あれ…」


 私は公衆電話を指さす。


「確かに、魔力が濃い。廃旅館のときのブラウン管テレビと同じような魔具…か。」


「どうにかして使えないかな?」


「硬貨の投入口はないから、きっと料金は必要ない。ダイアルも数字板もないから、多分繋がるところも固定。受話器を落とせば起動すること自体はできるはず。」


「でも、私達はここから動けないし、どうやって受話器を落としたら…」


 零空ちゃんは私の全身を見る。そしてその視線は、腰につけていたナイフの位置で止まった。


「メルナ。そのナイフ貸して」


「あ、うん…」


 私はナイフを零空ちゃんに手渡した。すると零空ちゃんはナイフに重力を込め始め、私の前髪がナイフの方へと引っ張られる。


 零空ちゃんはそのナイフを公衆電話の方へと投擲した。ナイフは勢いよく飛んでいき、公衆電話のやや下に突き刺さる。


 すると、ナイフに引っ張られるように受話器が浮き上がり、ブラリと落ちた。


「零空ちゃん、すごい!」


「肝心なのは、これでどこに掛かるか。」


 公衆電話がブルブルと震え、電波が何処かへと発信されていく。



 公衆電話の振動が止まる。どこかに繋がったのだ。私は息を呑む。


「え〜と、君は誰なのかな〜?」


「白魅さん!」


 電話先から聞こえてきた声は、間違えなく白魅さんの声だった。私はほっとして胸をなで下ろす。


「助手1号くん?機能する電波が無いはずのきさらぎ駅に電話をかけられるってことは…。」


 電話先からは発砲音などの雑音が絶えず聞こえてくる。やや息切れした様子の白魅さんの声から察するに、何かとかなり長時間戦い続けているのだろう。


「あんまり時間がないから、手短に状況を説明してもらっていいかな〜?」


「ええと、私と零空ちゃんが、"猿夢"って言う怪異の中に入っちゃったみたいで…」


「猿夢…わかった、夢なら私の得意分野だからね〜。今動けるようにするよ〜」


 白魅さんがそういった数秒後、私達の身体が一気に軽くなる。恐る恐る立ち上がろうとすると、いつもと同じように足が動いた。


「どう、動けるようになった〜?」


 何か凄いことをした風でもなく、白魅さんは平然と話す。


「あんたの能力、一体何なの…?その怪異の前提となる性質に干渉するなんて…」


「時間ないから、その話はまた後でね〜。理由は分からないけど、このきさらぎ駅と猿夢は繋がってるんだよ〜。」


「この2つの怪異の異空間は、同一空間上にあるってこと」と白魅さんは続けるが、その声は途切れ途切れだった。


 相変わらず戦闘音が聞こえ続け、収まるどころかその激しさは増している。


「一つの異空間に核は一つ。つまり、一つの核を破壊すれば、きさらぎ駅と猿夢は、どちらも崩壊するってことになるよね〜」


「なるほど…なら、その核はどこにあるんでしょうか?」


 この間にも、車両の後方から悲鳴が聞こえてくる。時間に余裕はない。


「猿夢の中で間違えないかな〜。怪異の核っていうのは、効率よく全体に魔力を流せるように、その怪異の中心部にあるんだよね〜」


「なのにきさらぎ駅には核がなかったから、この異空間の主は猿夢って言いたいの?」


「概ねそうかな〜。きさらぎ駅は静止しているのに対して、猿夢は常に動いてる。なら、魔力を多く使うのは猿夢だよね〜」


「なるほど、分かりました!なら、こっちで核を探して、壊せないか試してみます!」


「お願いね〜。私の方も余裕はないから、できるだけ早く──


 唐突に白魅さんの声にノイズが走り、電話が切れてしまった。


「メルナ、動くよ。多分、この電話が猿夢にバレた」


「う、うん!」


 私は立ち上がろうする──その瞬間、私の頭に電撃が走った。白黒の光景が脳裏に浮かび上がったのだ。

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