1-2,プロローグ(2)
中学生の書いた小説ですので、少し変な部分などあるかもしれません。ですが、精一杯の想像力と文章力を使って、私のできる限り最も面白い小説を書いたつもりです。ぜひ一話だけでも読んでいただけると幸いです。
私が目を覚ますと、そこはコンクリート打ちっぱなしの室内だった。
「やっと起きた〜?君、3日も寝てたんだよ〜」
「み、3日も!?」
私の枕元に置かれていた軽く埃をかぶっているデジタル時計は、今日が日曜日であることを示していた。なんで私はこんなところにいるのか、なんで3日も気絶していたのかを必死になって思い出す。
「たしか私、の、のっぺらぼうに…」
「へ〜、覚えてるんだ〜。初めて怪異に遭遇した人は、混乱して記憶がなくなったりすることが多いんだけどね〜。そういえば、自己紹介がまだだったね。私は白魅橈。」
「白魅さん、昨日は助けていただいてありがとうございます。私の名前は──」
「相蘭メルナ、葉桜高校1年生、でしょ?私一応探偵なんだよね〜。君が寝てる間に、このくらいは調べておいたよ〜」
「は、はい…あってます…。白魅さん、探偵の方なんですね…」
「まあ、ほとんど怪異討伐の依頼しか入ってこないけどね〜」
既に結構な個人情報が知られていることに若干の恐怖を覚えながら、私は恐る恐る質問する。
「あの、さっきから仰ってる【怪異】って何なんですか?」
「え〜っと、一言で言えば化け物だね〜。都市伝説とか妖怪とかの架空の存在が、具現化して人間を襲うの。もちろん、昨日君を襲ったのっぺらぼうも怪異だよ〜。」
昨日の昼までの私なら非現実的な話だと切り捨てたかもしれないが、超科学的体験を何度もこの目で見た今の私には、そうすることができなかった。
「具現化…ですか?それは、どうして……」
「詳しいことは私も知らないんだよね〜。多分、人がその都市伝説を恐れる気持ちの集合体とか、そんなのじゃないかな〜」
「そうなんですね……」
緊張して会話が続かない──本当に今さらだが、私は今何をさせられているのだろうか。白魅さんにもう一度お礼を言って、ここを出たほうがいいのではないか?
「えっと…私、帰っていいんですかね?」
白魅さんの目が左上を向く。何かを思い出そうとしている時の仕草だ。
「う〜ん、このまま帰っていいよって言ってあげたいところなんだけど、そういうわけにもいかないんだよね〜」
「えっ?私、何かしないとなんですか?」
「君、怪異のこと覚えちゃってるからね〜。一般人に怪異のこと知られたらいけないんだよ〜。怪異を意識する人が増えすぎると、怪異がより生まれやすくなっちゃうから。だから色々手続きがあるんだけど…。とりあえず、ここにサインしてくれる〜?」
白魅さんはそう言って、1枚の書類とボールペンを私に渡した。
じっくりすべての文を何度か読み返したかったが、白魅さんの「早くして」という無言の圧に負けて、一周だけ読み終えるとそのままサインしてしまう。特に怪しいことは書いていなかったはずだ。
すると、急に白魅さんがニヤニヤと笑みを浮かべた。
「サインしてくれてありがとね〜、助手一号さん?」
「えっ?どういうことですか…?」
「私、気づいちゃったんだよね〜。一般人が怪異を知ってたら駄目だけど、その一般人を"こっち側"に引き込んだらいいんだって。そして、この探偵事務所にはまだ助手がいないんだよね〜。だから、君には私の助手になってもらったってわけ〜」
「いやいやいや!?そんなこと書類のどこにも……」
「もしかして、裏面に文字書いてるって気づいてない〜?」
「ちゃんとなにも書いてないことは確認して──あっ」
紙をめくりあげてみると、裏面の右隅にフォントサイズ1くらいの大きさで薄い灰色の文字が打ち込まれていた。
「は〜い、契約成立だね〜」
そう言うと、白魅さんは私の手から契約用紙をひったくってしまった。
「ちょ、ちょっと!」
「依頼手伝ってくれたら、お小遣いくらいはあげてもいいよ〜?」
「そういう問題じゃ…」
白魅さんは私から取り上げた契約用紙を棚にしまうと、改めて私に向き直った。
「そうそう、確認忘れてた。君、日頃からなにか身の回りで不思議なことが起きたりしてない?」
「急になんですか!?えっと…偶然かもしれませんが、なにか嫌なことが起こる前にはいつも強い寒気を感じます。のっぺらぼうに襲われる直前にも、その寒気を感じました。」
すると、急に白魅さんは真剣な目つきになった。
「やっぱりね。それ、君の能力だと思うよ。」
「え?」
「君はいつも無意識に超能力を使ってるんじゃないかな〜」
あの寒気が私の超能力?私は一般人だし、超能力を持っているはずがない。しかも、寒気を感じるだけが私の超能力なんて、ずいぶんと超能力のイメージからかけ離れている。
「君がのっぺらぼうに追いつかれた場所、君の家からどのくらい離れてたか知ってる?」
「500メートルとか、そのくらいじゃないですか?」
「不正解。正解は、約10キロだよ〜。」
「そ、そんなに!?」
息も忘れて必死に忘れ続けていたからどのくらい走っていたのか自覚はなかったが、まさかそんなに走っていたとは思わなかった。もはや住所が特定されていることは気にならない。
「10キロも全力で走り続けるなんて、普通の女子高生であれば100%無理だよね〜。だから、”魔力”を使っているんじゃないかって思ったの。」
現実世界で初めて聞く単語の連続で、頭がこんがらがってしまう。白魅さんの言葉が、右の耳から入って左の耳からそのまま流れ出ていく。
「でも君、意図的に魔力を使えるわけではなさそうだったからね〜。だったら、無意識のうちになにかの能力を使っていて、魔力の流し方を体が覚えてるのかなって思って質問したんだけど、ビンゴみたいだね〜」
「えっと…つまり、どういうことなんですか?」
「悪いことの直前に寒気を感じるのは君の超能力で、君は必死になると無意識に魔力で身体を強化してる、ってこと〜」
「そ、そうなんですね…」
自分のことのはずなのに、急に私が魔力を使えるなんて言われてもすぐには受け入れられず、どこか他人事のように返事をする。
「あ、そうそう、助手の契約は明日からだから〜。明日学校終わったら、ここに来てね〜」
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